最近読んで面白かった漫画
2016年7月3日
・死人の声をきくがよい
うぐひよどり祥子作、チャンピオンRED連載。霊能少年が幽霊少女の手を借りながら、日々降りかかる怪奇事件に悪戦苦闘する。
一読して覚えるのは「レトロ感」でしょうか。といっても世界観や時代設定が、という訳ではありません。
日本にはホラーブームが3回ありました。60~80年代は心霊写真・怪獣・妖怪、90年代から2005年にかけて学校の怪談・Jホラー、それ以降がソリッドシチュエーションスリラー・理不尽系です。例えばオチョナン様で有名な「不安の種」は最後者に属します。
対し「死人の声をきくがよい」は、宇宙人、オカルトアイテム、カルト宗教、土俗信仰といったものがズラズラ出てきます。これは第1・2ホラーブームの作品に多く見られたモチーフです。祥子女史が短編を掲載されていた「ホラーM」という漫画雑誌には高橋葉介というホラー漫画の大家もよく名を連ねますが、彼の代表作「学校怪談」(1995~2000)にとても良く似ています。長編ではなく独立短編で、登場人物が容赦なくザクザクモロモロ死んでいくのも同じですね。
が、特筆すべきオリジナリティーがあります。幽霊少女の早川さんが可愛い!。ああ^~~。
背後霊キャラというのはテンプレがあって、「百鬼夜行抄」の青嵐のような鷹揚たる守護神、若しくは「黄昏乙女×アムネジア」の夕子のような押しかけ愛嬌女房がこれまでのものでした。
ところが「死人~」では、無口無表情アクティブという離れ業をやってのけました!これは革命的ですよ!無口無表情は本来パッシブとセットです。しかし早川さんは主人公岸田を助けるために、通せんぼをしたりジェスチャーをしたり、健気に危険を回避させようと奮闘します。しかも幽霊という設定上、安易なクーデレがない!鉄面皮は聊かも崩れず、一言も発さない。
パントマイムデレという新ジャンル。文字にすると意味不明なので是非お買い求めを!子供の心を持った紳士のための漫画雑誌チャンピオンREDは毎月19日発売。
・ゴールデンカムイ
野田サトル作、週刊ヤングジャンプ連載。亡き友人との約束のため、元軍人の杉元がアイヌの埋蔵金を求めアイヌの少女アシリパと北海道の原野を旅する。
マイナーテーマの漫画と云うのは何時の時代にもあります。その中でゴールデンカムイが何故群を抜いているかと云えば、サバイバル、アイヌ文化、ミリタリー、グルメなど様々な側面を持ちそのどれもが作り込まれているからではないでしょうか。完成度の高さは連載から2年で数多くの漫画賞を取ったことからも伺えます。
例えばサバイバル。動物の習性、北海道の気候の記述が博引旁証されリアリティーを与えます。最大の肉食獣、ヒグマに襲われた人間の死に様も容赦なく、「シャトゥーン ヒグマの森」のように漫画でしか伝わらない凄絶さを湛えます。
コミックスの裏カバーにまで書き込まれたアイヌ資料も、矢張り視覚媒体ならではでしょう。とはいえ「可哀想な先住民、過去の遺物」と哀れがるのではなく、コミカルな(グロテスクな?)食事風景でもってその可笑しさ、ゆえの力強さが伝わってきます。(ゴールデンカムイと多くの共通点を持つ赤松健の小説「旋風伝 レラ=シウ」の違いはそういうところだと思います)あとアシリパさんがナコルルみたいで可愛い
もう一つ、是非とも付け加えたいのは映画オマージュ。用心棒篇のヤクザ二派に支配された町、というのは黒沢明の「用心棒」とそのオマージュであるセルジオレオーネの「荒野の用心棒」を見事に溶け込ませています。また、モンスター編の競馬元締めと博打うちの扉絵は、「緋牡丹博徒」あたりのヤクザ映画のポスターと惹句を彷彿とさせます。ヤンジャンレーベルのメインターゲットは10代後半~20代らしいですが、「東京喰種」なり「イエスタデイをうたって」なり、おっさん別の層をも取り込む力のある作品が成功しているように思えます。
ぐだぐだ書きましたが、二つの漫画ともに女の子が最高に可愛いです。可愛いから、買おう!
一読して覚えるのは「レトロ感」でしょうか。といっても世界観や時代設定が、という訳ではありません。
日本にはホラーブームが3回ありました。60~80年代は心霊写真・怪獣・妖怪、90年代から2005年にかけて学校の怪談・Jホラー、それ以降がソリッドシチュエーションスリラー・理不尽系です。例えばオチョナン様で有名な「不安の種」は最後者に属します。
対し「死人の声をきくがよい」は、宇宙人、オカルトアイテム、カルト宗教、土俗信仰といったものがズラズラ出てきます。これは第1・2ホラーブームの作品に多く見られたモチーフです。祥子女史が短編を掲載されていた「ホラーM」という漫画雑誌には高橋葉介というホラー漫画の大家もよく名を連ねますが、彼の代表作「学校怪談」(1995~2000)にとても良く似ています。長編ではなく独立短編で、登場人物が容赦なくザクザクモロモロ死んでいくのも同じですね。
が、特筆すべきオリジナリティーがあります。幽霊少女の早川さんが可愛い!。ああ^~~。
背後霊キャラというのはテンプレがあって、「百鬼夜行抄」の青嵐のような鷹揚たる守護神、若しくは「黄昏乙女×アムネジア」の夕子のような押しかけ愛嬌女房がこれまでのものでした。
ところが「死人~」では、無口無表情アクティブという離れ業をやってのけました!これは革命的ですよ!無口無表情は本来パッシブとセットです。しかし早川さんは主人公岸田を助けるために、通せんぼをしたりジェスチャーをしたり、健気に危険を回避させようと奮闘します。しかも幽霊という設定上、安易なクーデレがない!鉄面皮は聊かも崩れず、一言も発さない。
パントマイムデレという新ジャンル。文字にすると意味不明なので是非お買い求めを!子供の心を持った紳士のための漫画雑誌チャンピオンREDは毎月19日発売。
・ゴールデンカムイ
野田サトル作、週刊ヤングジャンプ連載。亡き友人との約束のため、元軍人の杉元がアイヌの埋蔵金を求めアイヌの少女アシリパと北海道の原野を旅する。
マイナーテーマの漫画と云うのは何時の時代にもあります。その中でゴールデンカムイが何故群を抜いているかと云えば、サバイバル、アイヌ文化、ミリタリー、グルメなど様々な側面を持ちそのどれもが作り込まれているからではないでしょうか。完成度の高さは連載から2年で数多くの漫画賞を取ったことからも伺えます。
例えばサバイバル。動物の習性、北海道の気候の記述が博引旁証されリアリティーを与えます。最大の肉食獣、ヒグマに襲われた人間の死に様も容赦なく、「シャトゥーン ヒグマの森」のように漫画でしか伝わらない凄絶さを湛えます。
コミックスの裏カバーにまで書き込まれたアイヌ資料も、矢張り視覚媒体ならではでしょう。とはいえ「可哀想な先住民、過去の遺物」と哀れがるのではなく、コミカルな(グロテスクな?)食事風景でもってその可笑しさ、ゆえの力強さが伝わってきます。(ゴールデンカムイと多くの共通点を持つ赤松健の小説「旋風伝 レラ=シウ」の違いはそういうところだと思います)
もう一つ、是非とも付け加えたいのは映画オマージュ。用心棒篇のヤクザ二派に支配された町、というのは黒沢明の「用心棒」とそのオマージュであるセルジオレオーネの「荒野の用心棒」を見事に溶け込ませています。また、モンスター編の競馬元締めと博打うちの扉絵は、「緋牡丹博徒」あたりのヤクザ映画のポスターと惹句を彷彿とさせます。ヤンジャンレーベルのメインターゲットは10代後半~20代らしいですが、「東京喰種」なり「イエスタデイをうたって」なり、
ぐだぐだ書きましたが、二つの漫画ともに女の子が最高に可愛いです。可愛いから、買おう!
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