Understanding Comics

2017年11月5日
Understanding Comics
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 表題の本を読了。漫画の歴史、特徴、分類を漫画の形で評論した古典的名著。日本で言えば「さるマン」が有名だが、より包括的・抽象的な分析をしていると言えよう。
 中でも漫画における「時間表現」の項が面白かった。「漫画はコマの形、大きさ、背景効果、吹き出しによって1コマの時間、コマとコマの間の時間を自由に伸び縮みさせられる」というのは成程漫画にしかなしえない機能だ。それゆえに、漫画をそのまま映像にしても巧く行かないことが多い。

 今期アニメ「血界戦線 & BEYOND」の第2話「幻界病棟ライゼズ」でこんなくだりがあった。
http://www.nicovideo.jp/watch/1508124806
 2人がかりで押し止めるのが精一杯の強敵が伏兵を放った。彼らの背後には病院があり、
    <○√  ここはオレに任せて先へ行け―!
     ∥
     くく
 展開になるのだが、 原作台詞をそのまま喋らせてしまった。
「君一人では1分も持たないだろう!」
「いいから行くのだ」
「20秒で倒して戻ってくる」
1秒さえ惜しい筈の状況下でダラダラくっちゃべるのだから映像では馬鹿らしさが強調されてしまう。例えば台詞の大部分を心内モノローグの形で済ませ、実際の会話を「だが」「行け」のみに絞ればシーンの緊迫感も保持できたと思うのだが。

 逆に改変が良い効果をもたらすこともある。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm26320316
 「ジョジョの奇妙な冒険」第3部で、アブドゥルがヴァニラ・アイスに殺されるシーンを見てみよう。david production(最新のテレビアニメ版)では原作に忠実なだけにテンポが悪い。その点OVAでは一瞬で体が四散するので、そのあっけなさが敵への恐怖感に繋がっている。ラスボスDIOとのバトルも、時間停止能力をねちっこく描かず一瞬で視界から外れる演出を多用したのは素晴らしい。

 原作に忠実=良作という風潮があるが、それぞれの媒体に合った表現もあるのではないか、と今更ながら思う。

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