『グリンチ』観てモヤモヤ
2018年12月18日
フーヴィルはクリスマスを控え大賑わい。ところが村はずれの洞窟に住むグリンチだけはしかめ面。皆が幸せそうにするのが嫌でたまらないグリンチは、聖夜に村中のクリスマスを盗む計画を立てる。
一方、村に住む少女シンディ・ルーも計画を立てていた。いつも仕事と育児でクタクタの母親を助けるべく、サンタを捕まえようというのだ…。
良かったのはイルミネーションスタジオアニメらしさが出ていたところ。具体的には奇天烈なメカ・基地のディティールの凝り、ウザ可愛い動物サイドキックの2点。
グリンチは変てこマシーンを駆使する。ピタゴラスイッチ的なコーヒーメーカー、地下に潜行する指令椅子、伸縮自在のバネ靴、プロペラバックパック…。荒唐無稽で楽しいアクションが展開する。
相棒は犬のマックスとトナカイのフレッド。表情や動きが可愛いだけでなく、グリンチの魅力も引き立てている。グリンチはひねくれ者…という設定なのだけれど、仲間の動物にはとても優しい。決して扱いを粗略にしないし、諍いがあっても自分から謝る。「根っからの悪人ではなくトラウマを負った実は善良な人」であることを示すから、憎めないキャラクターなのよね。メカ+動物+トラウマ…まあ「怪盗グルー」の焼き直しだわな。
でもラストの展開が非常に不快に感じた。
グリンチは孤児で寂しいクリスマスを送る余り捻くれるようにになったが、シンディ・ルーの利他の心に胸打たれる。村にクリスマスを返し、自己卑下に項垂れるグリンチをシンディ・ルーが夕食に招く。自分はクリスマスが嫌いだと思っていたが独りぼっちが嫌だったことに気付いたグリンチは、初めて楽しいクリスマスを過ごす…。話は良いよ。でも絵面が酷すぎる。だって村の姿が、シンディの家はクリスマスを盗まれる前と後で何も変わっていないから。
孤児院は何で寒々しいの?何でシンディの母親は忙しいの?資本主義で富の不均衡があるから。サンタにツリーにプレゼントに、(現代イメージとしての)クリスマスはドイツ移民がアメリカに持ち込んで、それが商業主義と結びついて広まった現象。だからこそ、クリスマス映画の名作は商業主義の批判なんだ。「素晴らしき哉人生」は貧しい人間を助ける仕事に絶望した人間が、聖夜に再帰する話だし、「34丁目の奇蹟」はサンタ=利他の精神を証明する話だった。
クリスマスの精神は物質的な豊かさにない。グリンチが盗んだことで図らずとも知らされたからこそ、村人はこぞりて歌を唄った。なら村の様相も変わらなきゃ。より富める家が貧しい家に分け与えることで、均等で調和の取れたものにならなければ。村一番の金持ちブリクルバウムの持ってきた特大ツリーが鎮座したままなのは醜悪だよ。あれではグリンチは「幸せな側」に回ったに過ぎない。きっと村の外れの孤児院では、今でも外の明かりを羨ましそうに眺める少年が居る。
一番の皮肉は上っ面のクリスマス精神をイルミネーションスタジオが謳うことだよね。ミニオンズをアホほどマーチャンダイジングして、クソほど儲けたアニメ会社だよ?
https://grinch.jp/
↑サイト見ただけでも、コラボだグッズだキャンペーンだと大変な商売上手。客寄せパンダのミニオン短編同時上映を付けておいて「クリスマスの精神」、とはね?
一方、村に住む少女シンディ・ルーも計画を立てていた。いつも仕事と育児でクタクタの母親を助けるべく、サンタを捕まえようというのだ…。
良かったのはイルミネーションスタジオアニメらしさが出ていたところ。具体的には奇天烈なメカ・基地のディティールの凝り、ウザ可愛い動物サイドキックの2点。
グリンチは変てこマシーンを駆使する。ピタゴラスイッチ的なコーヒーメーカー、地下に潜行する指令椅子、伸縮自在のバネ靴、プロペラバックパック…。荒唐無稽で楽しいアクションが展開する。
相棒は犬のマックスとトナカイのフレッド。表情や動きが可愛いだけでなく、グリンチの魅力も引き立てている。グリンチはひねくれ者…という設定なのだけれど、仲間の動物にはとても優しい。決して扱いを粗略にしないし、諍いがあっても自分から謝る。「根っからの悪人ではなくトラウマを負った実は善良な人」であることを示すから、憎めないキャラクターなのよね。メカ+動物+トラウマ…まあ「怪盗グルー」の焼き直しだわな。
でもラストの展開が非常に不快に感じた。
グリンチは孤児で寂しいクリスマスを送る余り捻くれるようにになったが、シンディ・ルーの利他の心に胸打たれる。村にクリスマスを返し、自己卑下に項垂れるグリンチをシンディ・ルーが夕食に招く。自分はクリスマスが嫌いだと思っていたが独りぼっちが嫌だったことに気付いたグリンチは、初めて楽しいクリスマスを過ごす…。話は良いよ。でも絵面が酷すぎる。だって村の姿が、シンディの家はクリスマスを盗まれる前と後で何も変わっていないから。
孤児院は何で寒々しいの?何でシンディの母親は忙しいの?資本主義で富の不均衡があるから。サンタにツリーにプレゼントに、(現代イメージとしての)クリスマスはドイツ移民がアメリカに持ち込んで、それが商業主義と結びついて広まった現象。だからこそ、クリスマス映画の名作は商業主義の批判なんだ。「素晴らしき哉人生」は貧しい人間を助ける仕事に絶望した人間が、聖夜に再帰する話だし、「34丁目の奇蹟」はサンタ=利他の精神を証明する話だった。
クリスマスの精神は物質的な豊かさにない。グリンチが盗んだことで図らずとも知らされたからこそ、村人はこぞりて歌を唄った。なら村の様相も変わらなきゃ。より富める家が貧しい家に分け与えることで、均等で調和の取れたものにならなければ。村一番の金持ちブリクルバウムの持ってきた特大ツリーが鎮座したままなのは醜悪だよ。あれではグリンチは「幸せな側」に回ったに過ぎない。きっと村の外れの孤児院では、今でも外の明かりを羨ましそうに眺める少年が居る。
一番の皮肉は上っ面のクリスマス精神をイルミネーションスタジオが謳うことだよね。ミニオンズをアホほどマーチャンダイジングして、クソほど儲けたアニメ会社だよ?
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↑サイト見ただけでも、コラボだグッズだキャンペーンだと大変な商売上手。客寄せパンダのミニオン短編同時上映を付けておいて「クリスマスの精神」、とはね?
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