2018年映画振り返り
2018年12月31日 劇場で150くらい。
〇ワースト
候補としては
・オリエント急行殺人事件
・パシフィックリム・アップライジング
・空飛ぶタイヤ
・華氏119
・ファンタビ2
1本決めるなら華氏119。トランプを過去・現在の独裁者になぞらえて分析しているけど、そこで挙げられる①媒体に即した表現で民心を掴む②不安と恐怖を煽ることで熟慮より行動を促す③敵の像を作り上げ憎悪で団結させる④始めは道化として取り入る、この4特徴は全部この映画=マイケルムーアに当てはまるのよね。
ムーアはこれまでもプロパガンダ監督と言われてきたけれど、対象と自身は非対称的だった。でも今回の「独裁者とは何か」ではまさに鏡像関係になっている。森達也監督のように「ドキュメンタリーは嘘をつく、意志が入り込む」ことを直視しない。ドキュメンタリーとして不誠実だし、何よりトランプ批判として不適だよね。トランプのやり口への敗北宣言となっている。
トランプは怖いよ。でもこの映画を観て「トランプは悪い奴だ!」と素直に受け取る人間の方が余程怖い。反トランプの旗手が政権を取った時、彼らはきっと次なる権力者の奴隷となる。
〇ベスト10
・ザ・プレデター
きゃっきゃ感がどうしても憎めねえ…。
・カメラを止めるな!
劇は観ていないけれど、端々まで手の込んだ演出を見てなお盗作とよく主張できたなと感心する。創作がアイデア一発だと言うのなら、「全員共犯」というネタを与えられればオリエント急行を越えるミステリーを書けるんですかね?
・ランペイジ 巨獣大乱闘
全員有能。下らない口論も値値観の葛藤もない、主人公側全員が状況から最適の行動を最速で取る。この手の映画で役人は無能と決まっているのに、事態を超速理解して問題解決に出るとはたまげたなあ…。
総じて廉価版怒りのデスロード。褒めてます。
・シェイプオブウォーター
美しいモンスター映画。
・ヘレディタリー 継承
野村芳太郎監督を彷彿とさせる情念と憎悪の激突。超常現象が起こらなくとも、気が狂うほど怖い。
・万引き家族
是枝作品の持ち味「傷と変化の受容」「子役の抜群の活かし方」はそのままに、エンタメ性もきちんとある集大成作品。
・犬が島
ウェス・アンダーソンの俳味に満ちた二ホン映画。
〇ベスト3
・スリービルボード
こと脚本に関して今年これを越える映画はない。
・デスウィッシュ
オリジナル「狼よさらば」よりエンタメ性を増しながらも、自警主義・復讐精神の怖ろしさ批評性はきちんと担保されている。公開はかなりひっそりと終わったけれど、隠れた傑作なので是非見てほしい。
・フロリダプロジェクト
万引き家族と同じ貧困層の話なのだけれど、あちらは是枝監督の反権力主義がはっきり表れていて「家族は社会の被害者」とはっきり示されていた。一方こちらはホワイトラッシュぶりが余りに生生しくて自業自得に見える。それが余りにも哀しい。それが証拠に、安モーテルの住民との対比がしっかり描かれている。カフェのウェイターとして定職に就く者、金を貯める者、そんな中あの母娘だけはその日の享楽に甘んじている。
ではその自堕落は悪なのかと云うと、子供特有の何にでも輝きを見つける瑞々しい視点から撮られているからとても憎むことが出来ない。万引き家族が貧困問題で止まっているとするなら、フロリダプロジェクトは人間であることのどうしようもなさまで投射できている。是枝監督は「子供は顔を撮るのではなく、背中から映すことで活きる」と語っていた。この映画はまさに、背中から、同じ目線から世界を見る映画だ。
〇ワースト
候補としては
・オリエント急行殺人事件
・パシフィックリム・アップライジング
・空飛ぶタイヤ
・華氏119
・ファンタビ2
1本決めるなら華氏119。トランプを過去・現在の独裁者になぞらえて分析しているけど、そこで挙げられる①媒体に即した表現で民心を掴む②不安と恐怖を煽ることで熟慮より行動を促す③敵の像を作り上げ憎悪で団結させる④始めは道化として取り入る、この4特徴は全部この映画=マイケルムーアに当てはまるのよね。
ムーアはこれまでもプロパガンダ監督と言われてきたけれど、対象と自身は非対称的だった。でも今回の「独裁者とは何か」ではまさに鏡像関係になっている。森達也監督のように「ドキュメンタリーは嘘をつく、意志が入り込む」ことを直視しない。ドキュメンタリーとして不誠実だし、何よりトランプ批判として不適だよね。トランプのやり口への敗北宣言となっている。
トランプは怖いよ。でもこの映画を観て「トランプは悪い奴だ!」と素直に受け取る人間の方が余程怖い。反トランプの旗手が政権を取った時、彼らはきっと次なる権力者の奴隷となる。
〇ベスト10
・ザ・プレデター
きゃっきゃ感がどうしても憎めねえ…。
・カメラを止めるな!
劇は観ていないけれど、端々まで手の込んだ演出を見てなお盗作とよく主張できたなと感心する。創作がアイデア一発だと言うのなら、「全員共犯」というネタを与えられればオリエント急行を越えるミステリーを書けるんですかね?
・ランペイジ 巨獣大乱闘
全員有能。下らない口論も値値観の葛藤もない、主人公側全員が状況から最適の行動を最速で取る。この手の映画で役人は無能と決まっているのに、事態を超速理解して問題解決に出るとはたまげたなあ…。
総じて廉価版怒りのデスロード。褒めてます。
・シェイプオブウォーター
美しいモンスター映画。
・ヘレディタリー 継承
野村芳太郎監督を彷彿とさせる情念と憎悪の激突。超常現象が起こらなくとも、気が狂うほど怖い。
・万引き家族
是枝作品の持ち味「傷と変化の受容」「子役の抜群の活かし方」はそのままに、エンタメ性もきちんとある集大成作品。
・犬が島
ウェス・アンダーソンの俳味に満ちた二ホン映画。
〇ベスト3
・スリービルボード
こと脚本に関して今年これを越える映画はない。
・デスウィッシュ
オリジナル「狼よさらば」よりエンタメ性を増しながらも、自警主義・復讐精神の怖ろしさ批評性はきちんと担保されている。公開はかなりひっそりと終わったけれど、隠れた傑作なので是非見てほしい。
・フロリダプロジェクト
万引き家族と同じ貧困層の話なのだけれど、あちらは是枝監督の反権力主義がはっきり表れていて「家族は社会の被害者」とはっきり示されていた。一方こちらはホワイトラッシュぶりが余りに生生しくて自業自得に見える。それが余りにも哀しい。それが証拠に、安モーテルの住民との対比がしっかり描かれている。カフェのウェイターとして定職に就く者、金を貯める者、そんな中あの母娘だけはその日の享楽に甘んじている。
ではその自堕落は悪なのかと云うと、子供特有の何にでも輝きを見つける瑞々しい視点から撮られているからとても憎むことが出来ない。万引き家族が貧困問題で止まっているとするなら、フロリダプロジェクトは人間であることのどうしようもなさまで投射できている。是枝監督は「子供は顔を撮るのではなく、背中から映すことで活きる」と語っていた。この映画はまさに、背中から、同じ目線から世界を見る映画だ。
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