名探偵ピカチュウ
2019年5月12日 Magic: The Gathering コメント (2)
上半期観た映画の中では紛れもなくワースト作品だったなと。
人とポケモンが対等に暮らすライムシティが舞台…なんだけど、1分くらい情景見てるだけでダメ―な雰囲気が漂うのよね。ポケモンの実在感がまるで感じられない。
「スタートレック」のような人型同士であっても、異種間共生には努力が必要でそれがデザインにも反映されるわけ。一方ポケモンはサイズもフォルムも多様な生物なのに、何でライムシティは「人間にとって住みやすい街」になってるの?ピカチューとティムが一杯引っかけにバーに行くよね。何で背の低いポケモン用の高さ調整スツールが無いの?何で手(前肢)が器用じゃないポケモン用のストローとかジョッキがないの?「ズートピア」何年前だっけ?
極めつけは前半の見せ場となる地下闘技場ね。あのさ、毒霧や火炎をどばどば吐き散らして戦うんだから、高低差付けて上から見下ろすコロシアムにするとか、別室の戦闘をモニターで観戦するとかあるでしょ。隙間がら空きの金網で囲うだけとかありえないから!
ディティールを詰める気がさらさらないってことは、作り手が誰一人「ポケモンがこの世界には本当に存在してるんだ!」と信じてない。「あ、役者が演技した上にCG貼り付けてるだけなのね」って醒めるのよ。
もう一つが「パートナーシステム」。発想そのものは良い。ポケモンバトルって引いて見れば瀕死になるまで6匹づつを殺し合わせる代理戦争な訳じゃん。舞台となるライムシティではバトルが禁止され、人間はポケモン1匹を対等なパートナーとして共に暮らしている…。ポケモンが従来胚胎していた悪趣味さを解消すると共にバディムービーとしての魅力を打ち出せるので成程面白そうではあるのよね。
でもライムシティの風景を見れば分かる。ポケモンは「常に人間の側に居る」。それって対等か?どのポケモンも、独りで商業活動、社会活動を営む者はいない。完全にペット、良くてイスラム圏の夫唱婦随の風景。
愛くるしいピカチュウが野太いおっさん声で話す。この「テッド」チックなギャップ萌えそのものは良いけど、「飼い主」と話せるペアをティム×ピカチュウだけにしたのもの問題だったと思う。渡辺謙が「このブルーは不機嫌そうに見えるけど、実は違うんだよ」とへらへら笑ってるけど、それテメェの胸三寸じゃねえか!ポケモンに自主性はなく、人間とポケモンの間にコミュニケーションがない。ただ支配層である人間側が心が通じ合っている「という思い込み」で玩弄する。結局、先進都市ライムシティにあってもポケモンは人間の奴隷に過ぎない。
そしてそれを「ミュウツーの逆襲」で茶化すという無神経さね。あの1作目にしてポケモン映画最高傑作は、被造物が造物主に対し自由意志の闘いを挑む失楽園ジャンルだったワケじゃん。この映画のペットたちに救いはありましたか…?
お話も粗末すぎて逆に難解。黒幕のハワードは故意犯としてミュウツー捕獲をティムの父ハリーに頼むのに、なぜ遺伝子研究施設の情報を漏らすのか。ミュウツーは神のような力を持ちピカチュウ越しに事態を把握してるのだから、わざわざピカチュウを走狗として使わずともハワード殺せる筈では、とか。下半身不随のハワードがミュウツーと「ゲットアウト」式交換術をするのは分かるが、全人類家畜人ヤプー計画を企む必然性がないとか…。
兎も角駄作。これを見るなら少年チャンピオン連載中の「ビースターズ」を全巻買おう。名探偵ピカチュウにはない、世界の実在を確かに感じられる傑作だから。
人とポケモンが対等に暮らすライムシティが舞台…なんだけど、1分くらい情景見てるだけでダメ―な雰囲気が漂うのよね。ポケモンの実在感がまるで感じられない。
「スタートレック」のような人型同士であっても、異種間共生には努力が必要でそれがデザインにも反映されるわけ。一方ポケモンはサイズもフォルムも多様な生物なのに、何でライムシティは「人間にとって住みやすい街」になってるの?ピカチューとティムが一杯引っかけにバーに行くよね。何で背の低いポケモン用の高さ調整スツールが無いの?何で手(前肢)が器用じゃないポケモン用のストローとかジョッキがないの?「ズートピア」何年前だっけ?
極めつけは前半の見せ場となる地下闘技場ね。あのさ、毒霧や火炎をどばどば吐き散らして戦うんだから、高低差付けて上から見下ろすコロシアムにするとか、別室の戦闘をモニターで観戦するとかあるでしょ。隙間がら空きの金網で囲うだけとかありえないから!
ディティールを詰める気がさらさらないってことは、作り手が誰一人「ポケモンがこの世界には本当に存在してるんだ!」と信じてない。「あ、役者が演技した上にCG貼り付けてるだけなのね」って醒めるのよ。
もう一つが「パートナーシステム」。発想そのものは良い。ポケモンバトルって引いて見れば瀕死になるまで6匹づつを殺し合わせる代理戦争な訳じゃん。舞台となるライムシティではバトルが禁止され、人間はポケモン1匹を対等なパートナーとして共に暮らしている…。ポケモンが従来胚胎していた悪趣味さを解消すると共にバディムービーとしての魅力を打ち出せるので成程面白そうではあるのよね。
でもライムシティの風景を見れば分かる。ポケモンは「常に人間の側に居る」。それって対等か?どのポケモンも、独りで商業活動、社会活動を営む者はいない。完全にペット、良くてイスラム圏の夫唱婦随の風景。
愛くるしいピカチュウが野太いおっさん声で話す。この「テッド」チックなギャップ萌えそのものは良いけど、「飼い主」と話せるペアをティム×ピカチュウだけにしたのもの問題だったと思う。渡辺謙が「このブルーは不機嫌そうに見えるけど、実は違うんだよ」とへらへら笑ってるけど、それテメェの胸三寸じゃねえか!ポケモンに自主性はなく、人間とポケモンの間にコミュニケーションがない。ただ支配層である人間側が心が通じ合っている「という思い込み」で玩弄する。結局、先進都市ライムシティにあってもポケモンは人間の奴隷に過ぎない。
そしてそれを「ミュウツーの逆襲」で茶化すという無神経さね。あの1作目にしてポケモン映画最高傑作は、被造物が造物主に対し自由意志の闘いを挑む失楽園ジャンルだったワケじゃん。この映画のペットたちに救いはありましたか…?
お話も粗末すぎて逆に難解。黒幕のハワードは故意犯としてミュウツー捕獲をティムの父ハリーに頼むのに、なぜ遺伝子研究施設の情報を漏らすのか。ミュウツーは神のような力を持ちピカチュウ越しに事態を把握してるのだから、わざわざピカチュウを走狗として使わずともハワード殺せる筈では、とか。下半身不随のハワードがミュウツーと「ゲットアウト」式交換術をするのは分かるが、全人類家畜人ヤプー計画を企む必然性がないとか…。
兎も角駄作。これを見るなら少年チャンピオン連載中の「ビースターズ」を全巻買おう。名探偵ピカチュウにはない、世界の実在を確かに感じられる傑作だから。
コメント
どんな感じになるのやら期待半分不安半分です
板垣先生の漫画は台詞回しやインパクトのある一枚画が魅力ですが、何といってもディティールの細かさによる圧倒的な世界観提示能力があってこそなので、映像化に当たっては是非丁寧に作って欲しい処です。