台風19号の翌日に『クロール -狂暴領域ー』
粗筋 カテゴリー5のハリケーンがフロリダを直撃した。避難区域に住む父と連絡が付かないため、少女ヘイリーは実家に向かう。縁の下で重傷の父を発見した彼女もまた、アリゲーターに襲われてしまう…。


 やべー台風が去ったので、嵐でやべー目に遭う新作サメ映画ワニ映画の『クロール -狂暴領域ー』を見てきました。
 
 水棲肉食動物に襲われる映画と言えばサメ映画が有名ですが、今作はきちんと差別化出来ていたのがポイント。「1発で捕食されない」んですね。サメ映画はクソ映画ジャンルだけあって人間とのサイズ差は圧巻、パクっと一口で食い千切られたり、丸呑みされるのが多い。
 一方今作、ヘイリーも父も、何度もワニに噛まれます。喰いつかれ毟られ、それでも人間は簡単に死なない。監督のアレクサンドル・アジャは「ホーンズ」「ルイの9番目の人生」など近年アート志向の映画が続いていますが、もともとサメ映画「ピラニア3D」の監督。なくても良いのに抉られた部位を押さえ止血するシーンを入れる辺り、ゴアを分かってる監督です。

 ゴアと言えば、ワニに由来しないシーンすら入れてるのもポイント。開放骨折した足にスパナを添え木代わりに充て、内側にめこめこっ…と戻すシーンが堪らない。流石「ミラーズ」で顎ぶち割り、「ヒルズハブアイズ」で部位欠損を描いたアジャ監督!

 
 とはいえ欠点もある。人間がバカ揃い。モンスターパニック、それもリアル方向のサスペンス映画の場合、「人間側が最善の行動」をしているかが否かが緊迫感に関わってきます。落ち度はないのに、捕食側の性能がチートだったり、こちらの裏をかく高知能だったりするからこそ怖い。それがモンスターサスペンスの肝なんです。
 ところが今作、誰もかれも水に不用意に近づきすぎる。砂や雪に潜ったり、飛んだり陸上ダッシュしたり、ワープするサメ映画とは違うんです。それなのに皆水に近づいて噛まれる。ここで「1発で死なない」ところがネックになる。気を抜いて即死ならまだしも、ヘイリーも父も身に沁みて分かってる筈なのにまた水面に寄る。ショックシーンのための無理くり展開が透けて白けてしまいます。
 舞台のフロリダは、アリゲーターの生息域のため、自然な設定です。それだけに、誰一人対策しないってありえますかね?バカ父は「ちょっくら思い出の家見てくる!」と湿地帯に向かい(そもそもハリケーンの日に外出するか?)、訓練を受けた筈の警察は器具も携帯せず、ボートを降りて腰まである水に浸かって行動する始末。誰ひとり水を怖がらないため、「ワニが本当に要るんだ」という実在感が欠片も伝わりません。
 
 
 今公開中の動物映画で言えば、「ジョン・ウィック3 パラベラム」が断然お勧め。動物こぇえ!つぇえ!ってのがビンビン響いていますので。

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