2020年下半期映画 振り返りその1
2020年12月31日 映画〇ワースト
ドクターデスの遺産 BLACK FILE
https://magiclazy.diarynote.jp/202011300000375360/
流石にこれと比較できる映画ねえわ!でも、ジャンルへの理解も腕もないとしても変に高尚ぶらずにエンタメに徹しようとしてる辺り、嫌いにはなれない。今年の映画だと「事故物件 怖い間取り」と似てますな。
〇過大評価部門
鬼滅の刃 夢幻列車編
https://magiclazy.diarynote.jp/202010260052545119/
まあ、コロナで大打撃を受けた興行界が息を吹き返しただけで意義はあったよ(やんわり)。子供が映画館に来てくれることが大事。
『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』Ⅲ.spring song
https://magiclazy.diarynote.jp/202008202313364863/
こっちは分からん。「ファン映画としては」などの留保なしに余りに絶賛が過ぎた。鬼滅より年齢層明らかに上でしょ?なのにそんな無邪気に観れる?
〇ベスト10
・恋するけだもの
白石晃士監督は「不能犯」「地獄少女」が誰得案件、「善悪の屑」に至っては主演がリアル屑で制作中止になるなど、コミック原作ものの仕事でかなり低迷していた。それが短編「恋のクレイジーロード」をセルフリメイクした今作で、久々の当たりとなった(監督もパンフの中で「今回は安心して下さい!」と前3作の任され仕事へのホンネをぽろっと漏らしている)。
低予算バイオレンス映画と聞くとキワモノに思えるが、撮影・照明・音楽が(この手の映画にしてはだが)しっかりしており、脚本もきちんとしたエンタメ映画に仕上がっている。
でも、一番の見所は本編後だね。この映画、本編90分の後に30分のメイキング映像が付くのよ。円盤の映像特典なら兎も角、普通劇場作品でこんなのありえないよ?映画は尺が長くなればなるほど観客の満足度が下がると統計で出ているので、興行側は可能な限り削ろうとする。では、何故それが可能になったかというと、白石監督自身が配給・興行共に賄っているから。
ミニシアター系の映画を見に行く楽しみは「大手にはない特異さ」を求めてだろうし、こういう「手作り」感のある映画を好きな層も居る。コスト・納期意識も非常に高いながら、きちんと作家性も損なわない作り。日本のロバート・ロドリゲス的な立ち位置になって来てるね。
・ミッドナイトスワン
草彅剛の圧倒的な演技力(特に、面接に向かう朝の一果とのやり取りは白眉)、間接的な表現(破く写真の見せる順番、タイへ性転換手術を受けに行く下り)など、芸能人キャスティングの大作映画でこれほど高品質な邦画は近年ないのでは?
ただ、発作の夜、一果への抱擁、ラブホ廊下の三シーンでおもっくそ直接台詞で心情を吐露するところは頂けなかった。問題が矮小化しちゃうし、余情が無くなる。
・ウェイブス
邦画の家族映画がミッドナイトスワンとすれば、洋画ではこっち。2年前に監督の作品をくさしたけど、
https://magiclazy.diarynote.jp/201811262231476236/
今回は良かったねー!誰一人決定的な悪人は居ないのに、歯車が最悪の噛み合い方をして破滅へと転がり落ちていく。プレイリストから逆算して作った脚本なので当然とはいえ、その悲哀に満ちた物語に音楽がマッチすることといったら。全てかなぐり捨て、夜に飛び込むシーンでかかる歌詞が" I am a God."なのが、もう…。
まあ、前半部の完璧さを思えば第二部が駄作という声も分かる。でも、「家族の崩壊と再生」がシュルツ監督の作家性なので…許せ!
・劇場版 スパイの妻
映像派黒澤監督とは思えないほど、脚本がしっかりしてる。トップにクレジットされている濱口監督の手腕なのかな、伏線演出の貼り方が非常に巧み。
たださ、物語が転調する45分あたりまでが、正直退屈。2時間ドラマの編集版だから仕方がないとはいえ、画面が安っぽいのよなー。黒澤監督ってストーリーバランスが歪であっても、パキッした画面、幻想的な演出と映像の力だけで観客を持っていく作家じゃん。金取って劇場公開するんだから、もうちょっと、序盤に見せ場が欲しかった。
・TENET
インターステラー、ダンケルクと文句なしの傑作続きだっただけに、久しぶりに晦渋ノーラン映画来たなあ!と嬉しくなる一作。理に落ちる部分は良く出来た映画として、不可解なところは深読み考察の手段として楽しめるほど映像の力がある。まさにカルト映画的な監督やね。
長くなったので、残りは元旦に。
ドクターデスの遺産 BLACK FILE
https://magiclazy.diarynote.jp/202011300000375360/
流石にこれと比較できる映画ねえわ!でも、ジャンルへの理解も腕もないとしても変に高尚ぶらずにエンタメに徹しようとしてる辺り、嫌いにはなれない。今年の映画だと「事故物件 怖い間取り」と似てますな。
〇過大評価部門
鬼滅の刃 夢幻列車編
https://magiclazy.diarynote.jp/202010260052545119/
まあ、コロナで大打撃を受けた興行界が息を吹き返しただけで意義はあったよ(やんわり)。子供が映画館に来てくれることが大事。
『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』Ⅲ.spring song
https://magiclazy.diarynote.jp/202008202313364863/
こっちは分からん。「ファン映画としては」などの留保なしに余りに絶賛が過ぎた。鬼滅より年齢層明らかに上でしょ?なのにそんな無邪気に観れる?
〇ベスト10
・恋するけだもの
白石晃士監督は「不能犯」「地獄少女」が誰得案件、「善悪の屑」に至っては主演がリアル屑で制作中止になるなど、コミック原作ものの仕事でかなり低迷していた。それが短編「恋のクレイジーロード」をセルフリメイクした今作で、久々の当たりとなった(監督もパンフの中で「今回は安心して下さい!」と前3作の任され仕事へのホンネをぽろっと漏らしている)。
低予算バイオレンス映画と聞くとキワモノに思えるが、撮影・照明・音楽が(この手の映画にしてはだが)しっかりしており、脚本もきちんとしたエンタメ映画に仕上がっている。
でも、一番の見所は本編後だね。この映画、本編90分の後に30分のメイキング映像が付くのよ。円盤の映像特典なら兎も角、普通劇場作品でこんなのありえないよ?映画は尺が長くなればなるほど観客の満足度が下がると統計で出ているので、興行側は可能な限り削ろうとする。では、何故それが可能になったかというと、白石監督自身が配給・興行共に賄っているから。
ミニシアター系の映画を見に行く楽しみは「大手にはない特異さ」を求めてだろうし、こういう「手作り」感のある映画を好きな層も居る。コスト・納期意識も非常に高いながら、きちんと作家性も損なわない作り。日本のロバート・ロドリゲス的な立ち位置になって来てるね。
・ミッドナイトスワン
草彅剛の圧倒的な演技力(特に、面接に向かう朝の一果とのやり取りは白眉)、間接的な表現(破く写真の見せる順番、タイへ性転換手術を受けに行く下り)など、芸能人キャスティングの大作映画でこれほど高品質な邦画は近年ないのでは?
ただ、発作の夜、一果への抱擁、ラブホ廊下の三シーンでおもっくそ直接台詞で心情を吐露するところは頂けなかった。問題が矮小化しちゃうし、余情が無くなる。
・ウェイブス
邦画の家族映画がミッドナイトスワンとすれば、洋画ではこっち。2年前に監督の作品をくさしたけど、
https://magiclazy.diarynote.jp/201811262231476236/
今回は良かったねー!誰一人決定的な悪人は居ないのに、歯車が最悪の噛み合い方をして破滅へと転がり落ちていく。プレイリストから逆算して作った脚本なので当然とはいえ、その悲哀に満ちた物語に音楽がマッチすることといったら。全てかなぐり捨て、夜に飛び込むシーンでかかる歌詞が" I am a God."なのが、もう…。
まあ、前半部の完璧さを思えば第二部が駄作という声も分かる。でも、「家族の崩壊と再生」がシュルツ監督の作家性なので…許せ!
・劇場版 スパイの妻
映像派黒澤監督とは思えないほど、脚本がしっかりしてる。トップにクレジットされている濱口監督の手腕なのかな、伏線演出の貼り方が非常に巧み。
たださ、物語が転調する45分あたりまでが、正直退屈。2時間ドラマの編集版だから仕方がないとはいえ、画面が安っぽいのよなー。黒澤監督ってストーリーバランスが歪であっても、パキッした画面、幻想的な演出と映像の力だけで観客を持っていく作家じゃん。金取って劇場公開するんだから、もうちょっと、序盤に見せ場が欲しかった。
・TENET
インターステラー、ダンケルクと文句なしの傑作続きだっただけに、久しぶりに晦渋ノーラン映画来たなあ!と嬉しくなる一作。理に落ちる部分は良く出来た映画として、不可解なところは深読み考察の手段として楽しめるほど映像の力がある。まさにカルト映画的な監督やね。
長くなったので、残りは元旦に。
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