「歴史もの」と「時代もの」を一応分けてるけど、100%の記実文なんか読んでて面白い訳ないから創作要素がどうしても入るよね。これも全部司馬遼太郎ってヤツが悪いんだ。
https://magiclazy.diarynote.jp/202104052348382267/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104072042068576/


④風刺ギャグ
・テコンダー朴
粗筋:列島民族(チョッパリ)は今すぐ日本列島から出ていけ!
https://magiclazy.diarynote.jp/202103042123096335/
「お前さ…シャニマスネタ出すの、反則。」


・最後のレストラン
粗筋:死の瞬間に歴史の偉人がタイムスリップし、料理で満足し元の時間軸へ帰っていくレストランの話
「スカイハイ」のような特殊な空間・超越的な存在が迎えるのではなく、現代社会+普通のコックが何とかもてなそうと四苦八苦する設定は秀逸。
 ただ、「偉人は最後に思い出の品を残す」「レギュラー偉人のジャンヌダルク、安徳天皇は未だ現世に未練がある」っていう伏線を連載長期化して以降全く転がす気がないのはちょっとなー。マンネリ気味。


・妖怪の飼育員さん
粗筋:妖怪飼育員がお騒がせ政治家・タレントを妖怪でお仕置きするぞ!
 こちらも同じく藤栄先生の作品。ただ、妖怪という何でもありファンタジー設定なので、問題解決のとんちが面白くなりようがない…。最後のレストランより後に始まったのにマンネリ度はこっちの方が上。

 もう一つ気になるのが妖怪のチョイス。石燕だって水木大先生だって、時代や社会を反映した妖怪を勝手に作ってそれが受け継がれていったんだから、登場させる妖怪を黄表紙や民話や漢籍に限定するのはナンセンスだと思うのよね(とりわけ今作は「時事風刺漫画」なのだから)。
 だから昭和の都市伝説を出したって良いし、何なら現代ネットミームのSCPなりスレンダーマンなり野獣先輩なり出したって良いよ。昭和中期を舞台にした京極堂スピンオフで「青マント」を出す志水先生の方が妖怪的なセンスは良いね。




⑤広義の歴史もの
・7人のシェイクスピア
粗筋:7人が強み持ち寄って虚像作家を演じ続ける
 ハロルド作品って才能を無条件の肯定する節があって(「RIN」や「BECK」)、それが不快さを醸しがち。一方今作はケイパー的な分担があり、なおかつ「だってシェイクスピアだから」で許せるパワーがある。


・碧いホルスの瞳
粗筋:唯一の女性ファラオ、ハトシェプストの生涯
 史実ものだから仕方ないのかもしれないが、折角魅力的なサブキャラが複数いるのに政治闘争にどう関わるのかがはっきりしない。これで次回最終巻だとあっさりし過ぎかなあ…。


・ふしぎの国のバード
粗筋:女性探検家、秘境の国ヤーパンを北上する
 イザベラバードの日本旅行記コミカライズ。実際の日誌では通訳圏従僕の伊藤は「金勘定がはっきりせず抜け目ない悪党」評価なんだが、流石にエンタメ漫画として設定を変えていて上手い。良い白人・悪い白人の二項対立でサスペンスアレンジを加えているのも物語の推進力になっていて素晴らしい。


・チェーザレ ~破壊の創造者~
粗筋:ボルジャ家の麒麟児、チェーザレの生涯
 枢機卿から還俗、イタリア統一のため権謀術数の限りを尽くしたチェーザレボルジアを描く漫画…なのだが、連載ペース遅すぎて100年かかりそう。マキャベリズムを発揮しだすのにすらあと10年は必要。
 原作監修が非常に緻密で、卒業試問の「芸術と利子とキリスト」、コンクラーベの力学構造の話はそこだけで価値がある。だからこそ完結して欲しいんだけどね…。
 チェーザレを知りたい人は塩ばあさんの「チェーザレボルジア 或いは優雅なる冷酷」か、大ドゥマの「ボルジア家」がお勧め。


・ヴィンランドサガ
粗筋:元ヴァイキング、戦塵なき理想郷を目指す
 オリエント交易編をばっさり省略して、恐らく最終章になるだろう入植篇を始めている辺り、いよいよ風呂敷を畳む段になってきた。こっちは完結が期待できる。 
 史実ではヴィンランド入植は1世紀足らずで終わる(それも戦乱ではなく資源欠乏によって)ので、それをお話のラストにどう盛り込むのかも楽しみ。


・ヴラドドラクラ
粗筋:ブラムストーカーのせいで後年フリー素材モンスターになる人
 ドラキュラってオスマン兵士串刺しがやたら有名だけど、今作はきちんとワラキア中央集権・諸侯粛清から入っているのがポイント。ヴラドは結局貴族連の追い落としで破滅していくから、この下りは大事。


・応天の門
粗筋:在原業平×菅原道真
 平安の世に起きる人災を、検非違使の剛腕と天才文章生の知恵で化け物仕立ての因縁譚に落ち着かせる時代ミステリ。お話構造としては京極先生の「巷説百物語」に似てるけど、この時代の習俗・宗教観・政治闘争などをしっかり盛り込んでおり毎話毎話面白い。そのうえ菅原道真を巡る大きな物語も進行していて、ストーリーが非常にしっかりしている。


・乙女戦争外伝
粗筋:フス戦争が東欧にもたらした余波と、中世の終わり
 半エロ漫画ながら、歴史考証とそれをエンタメに落とし込む手腕はなかなか。単行本末尾にある「西洋甲冑術を学ぶ若人より来たれ!」って宣伝写真のセンスが「キ」てるのもポイント高い。


・新九郎、奔る!
粗筋:下剋上の先駆け、北条早雲
 1巻は文字による説明に次ぐ説明で食傷気味だったが、応仁の乱が本格化する2巻、父の後を継ぎ領地経営に乗り出す3~4巻から抜群に話が面白くなってきた。ゆうきまさみ印の気の抜けたギャグもあるので、読みやすい歴史もの。


・チ。 ~地球の運動について~
粗筋:「それでも地球は動く。」
 激エモ。エモ過ぎる。
 人間が想像で生み出した天理を、科学的な観察による真理で打ち倒す漫画で言うと、沖方先生原作の「天地明察」を思い出す。
 ただ、今作が違うのは「主人公が次々と移り変わっていく大河性」にある。天動説の誤謬に気づいたものは、或る者は異端審問で、また別の者は老いで無情にも死んでいくが、真理を求める意志は受け継がれていく。
 主人公側は死んでいくのに、異端審問官はのうのうと暮らしているのも読者のヘイトを良い感じに溜めてくれる。この構造は傑作「狼の口 ~ヴォルフスムント~」に似てるかな。あの異端審問官はぜひ悲惨な最期を迎えてくれ~。

 地動説論争は「コペルニクス的転回」の言葉とは裏腹に一夜にして正誤が入れ替わるものではなかったのだけど、物語をどういう落ち着け方にするのか気になる。ニュートン、コペルニクス、ガリレオのうち誰かひとりの登場で終わるのかな。



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