2021春アニメ 最終雑感
〇ダイナゼノン
 神。
 7話辺りからの演出が本当に光る。各人の屈託を全て「映像的演出の積み重ね」で丁寧に描き出し、合体ロボ文法に沿った成長として回収する。そして最終回の全部盛りバトル!敵味方それぞれのペアでの殴り合い→全形態変身→初期形態での決着…。完璧だった。
 完成度的にはグリッドマンより断然今作ですね。キャラクターの作り方が段違い。原作特撮、外伝全く知らなくとも楽しめる1クールアニメでした。


〇スーパーカブ
 演出素晴らしい。
 …けど、ダイナと違って作品への思い入れはそんな無いんだよな。原作ポエムを直球台詞で発するのはぎょっとするし、6話炎上に対して原作者のポエムツイートは正直引いた。


〇ゾンビランドサガリベンジ
 ラスト3話でびっくりするほど盛り下がった。
 僕、アイドルアニメの面白さって「個人的事情をパフォーマンスに乗せる」ことにあると思うんです。作品内の観客はアイドルの事情なんて知らない。けれど神の視点の視聴者は、前半部のドラマで語られた事情と感情を後半のパフォーマンス内に見出すから、感動出来る。それが身勝手な想いだとしても、いや身勝手だからこそ、芸道に昇華する姿が素晴らしいんですよ。

 で、ゾンサガR。「災害復興」という無条件に素晴らしい(と思うべき)一般論をぶち上げられて「良いこと言ってるでしょー」は、ねぇ…。災害サバイバルや舞台裏でゾンビ働きをして、適度にコメディーに振るならまだ許せた。でも全部シリアスに振って「良いこと言ってる!」はキツイ…。おまけにラストライブでのQUEENコール&レスポンスのパロシーンを長々1分やるのは…センスが無さ過ぎる。

 でも、Cパートで宇宙船→地上殲滅レーザーのオチは流石に笑った。
・ゾンビ生成方法の謎(巽の吐血と関係が?)
・徐福と幸太郎の馴れ初め
・伝説のたえの正体(および源さくらとの関係)
・サガを襲う災厄
これを3期で回収したら再評価できる…かもしれん。


〇Vivy -Florite Eye’s Song-
ゴミ。マジで予想通りだった。
https://magiclazy.diarynote.jp/202105010507381472/
・11話マツモト「シンギュラリティ計画は失敗しました!」
…え、自称スーパーAIの癖に君マジで無能だったん?表舞台での干渉はしないにせよ、100年かけて地下で鉄人兵団作ったとかないの?何でバックアッププラン全く立ててないの?

・12話黒幕「人間よりAIの方が賢い!」
「シンギュラリティ」の定義がふんわりし過ぎ。改変前の世界、現行世界の両方でAIの叛乱が起きたのだから、各事象の差異はあるにせよ「どちらも特定の要件を満たしから叛乱に至った」っていう答え合わせは必要。ありていに言えば「ロボット3原則の穴」的な。
 オペレーター程度の扱いだったアーカイブが黒幕だったというのは映像的な面白みはある。でも「人類抹殺マザーAIをぶっ潰すために、本拠地高層ビルにカチコミかける」展開、これ「アイ、ロボット」の丸パクリなんだよなあ…。

・12話ラスト科学者「Vivyの記憶を過去に送るよ!」
 それ出来るんだ!?一つの世界線だけの奇蹟の技術じゃないなら、博士(そしてマツモトは)何でも出来る筈だよね。マツモトは先ずvivy以外の「タイムトラベル先の素体」を100年前地点に無数に配置して、「vivyが100年後失敗してもやり直せる選択肢を増やす」プランも取れるワケじゃん。
 それと、何で「数千人規模の虐殺が開始された」近過去に飛ばすの?もう一度100年前からやり直すとかのプラン無いの?13話で「100年分の膨大なデータを過去でも引き継げる」ってあるから、それで100年前時点のピュアな黒幕説得すれば?
 事象の確定率を上げるために近過去にしか行けないなら、せめて虐殺開始ー10分くらいの地点指定しない?それでタイムトラベル博士の身柄だけは保安すれば、vivyは無限にタイムトラベルの権利を確保できるワケじゃん?


 僕が思うに、今作のクソさ加減って「制約」を設定しなかったことにあります。時間SFってジャンルは、
①回数制限がある(跳躍者の精神、タイムマシンの耐久度が減衰する、内在する負の累積効果がある)
②事態が収束する(特定の結果が必ず起きる、事象は違うが跳躍者自身の判断基準ではどれも許せる結果にならない)
③断片的なコミュニケーションゆえに、叙述トリック的な齟齬が起きる(予言、手紙・無線・日記などの非対面アイテムによる交信)
④跳躍幅に制限がある
⑤跳躍幅を伸ばすとデメリットがあるため、実質的に制限がある(幅を伸ばすと情報量・記憶の精度が劣化する)

 などの制約設定があります。それがあるからこそ、「他にやりようあるじゃん?」って僕みたいな陰キャの御託を避けられるんです。長月センセは「深く考えずに楽しめるライトSF」とか抜かしてるけど、それ作り手側が手を抜く言い訳じゃねえから…。「論理的必然のある帰結」がないとか、それ時間SF失格だから…。ならSF陰謀ものやサイバー空間の話にでもしてろ。

 
 それに加え、13話ラストライブの演出もどうかと思いましたね。回想使い過ぎ。違うんだよ、ライブシーンでの回想表現っていうのは、例えば
ライブ:手を差し伸べる
過去:伸ばした手が届かなかった
とか、
ライブ:足を踏み出す
過去:尻込みする、逃げ出す
とか、対比・類似的な演出の異同で面白がらせるものなんだよ。それに引きかえVivyと来たら1話~12話までの回想の単なるごり押しで、現代時勢でのライブ映像は殆どない…。「歌っとけばアイドルアニメやん?」って浅薄としか言いようのない考えが透けて見える。
 黒幕は「創造に感動したー!ヤックデカルチャー!」って虐殺止めるんやろ?
でも、それは「詩の朗読」「絵画」「物語」とかでも良いワケじゃん。歌と踊りでしか表せないものがあると、映像で示せてないのはバカ過ぎるよ。


 クソほど悪口言いましたが、僕はSFに何よりも「論理的明快さ」を期待する人種だからです。抒情とか世界観で語れるSFはありますが、そういうのはブラッドベリとかリドリースコットのような怪人にしか出来ない芸当。なんで、「普通の名作」狙う分にはきちんと脚本ブラッシュアップして欲しかったなあ…。




 Vivyの風刺絵で吹いたものがあったので、画像→乗っけときます。

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