思い出の映画100選 ~暗い青春映画~
え、明るい青春ってあるの?(陰キャ特有の発想



・レクイエムフォードリーム,2000
 4つの季節の中で、薬物で転落していく4人を描く鬱映画。ヘロイン中毒で窶れていく売人、その恋人でデザイナーを夢見る少女、別天地を求める売人仲間、ダイエットのために向精神薬に溺れる老婆…。どん底人生で一度は夏を体験し、秋(Fall=転落)を迎えていく。
 悲壮な表題曲が流れる中、皆が幸せな夢に逃げ込んで胎児座りになるエンディングはあまりにも有名。スポットライトが否定を示す「×」になるラストカットはね…もうね…。
https://www.youtube.com/watch?v=nLQgcZnZq6A


・アメリカンアニマルズ,2019
https://magiclazy.diarynote.jp/201905202135076454/
 評した通り。救済を劇映画というフィクション内に求めるのではなく、ドキュメンタリー性に託す構成はまことに見事。


・サマーオブ84,2019
https://magiclazy.diarynote.jp/202007251630441491/
 これも評した通り。自業自得と呼ぶには余りにハードだけど、好奇心の報いとして必然性のある結末。


・バッドジーニアス,2018
 中国で起きた集団カンニング事件を元に、舞台をタイに置き換えたクライム青春もの。
 4人チームによるケイパー要素、ピアノ音階や時差を活かしたカンニング描写のディテール、絶望的なまでの格差社会構造など、見所は多数ある。でも、青春映画としての要素も外せない。
 チームに最後に加わった少年は、最も純朴な性格だった。作戦を続けるうち、主人公と淡い恋仲にもなった。けれど彼一人が割を食う結果となり、1年経って再開した時には一端の替え玉屋に変貌していた…。忠告しに来た主人公に言い放つ、「お前が引き込んだせいじゃないか!」の言葉は余りに重い。


・オカルト,2009
 通り魔事件を追う映像ディレクター。被害達は一様に「神の啓示」を語るが、その中でひときわ異様な青年が居た。危険思想を語る彼に初めは忌避感を覚えるディレクターも、取材を続けるうちに奇妙な友情が芽生え始め…。土俗系オカルト色の強いホラー映画だが、僕は青春映画として評価したい。
 撮影対象の暴力性に撮り手側も感化されて…という映画は(白石監督自身も影響を名言しているが)『ありふれた事件』など前例がある。その中で今作の特異性を挙げるならば、その底辺描写のリアルさだ。派遣日雇い労働のディティール、底辺仲間の「ヤカラ」感、カップ焼きそばやマックを食べるときの「グルメネタ」、寝泊まり出来る部屋を確保出来たときの充足ぶり…。どれもがみじめで、切実で、胸に迫る。

 白石監督のフィルモグラフィーでいえば、(アイドルDVDばっかり作らされていた)低迷期にこの映画は作られた。「コワすぎ」シリーズがカルト的な人気を呼び、再び人気監督に咲き返った白石監督。だが雇われ映画ばかりを撮って、野心的な低予算映画に戻ってくれない現状には、一抹の寂しさをファンとしては覚えてしまう。

コワすぎ完結させて?

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