2021年度下半期 印象に残った本その4(漫画編)
2022年3月24日 読書
新しく追い始めた単行本を中心に。
ビジャの女王
モンゴル帝国が版図を広げる時代に、独立を保つ小国があった。城下を守る姫は、伝承に聞く「墨家」に最後の望みを託す…。
作者が画業40年を超える人であり、劇画タッチは流石に古臭い。…けれど、それが伝奇系歴史作品の外連味、「ハッタリ感」とマッチしている。類似ジャンルの近作では「天竺熱風録」もあったけど、あれと違って「個人の凄い戦闘力で何とか頑張る」って話ではないのが好き。
SANDA
超少子化の未来で、サンタの末裔が悪い校長と戦う話。
板垣パル先生は、良くも悪くも週刊向きの作家だと思う。『BEASTERS』は後半失速したんだけど、風呂敷の畳み方が雑だったんだよね。「肉食/草食の過去の戦争」「壮年ビースターの選出」「海と陸の価値観」などは回収されず終いだった。それを思えば、今作の「超少子化」「学校の外部世界」などの大きな物語は、うやむやに終わるのだろう。
けれど、やっぱ板垣先生はネームの切り方が抜群に上手い。自由闊達なコマ割り、影を活かした凄みのある感情表現、ダイナミックで外連味のあるアクション一枚画、びっしりした書き込まれた小ネタや小物のディティール…。これを週刊ペースで読めるのは、ただただ幸せ。
ジーニーアース
頭のネジ飛んだ超人VSヒャッハー管理社会、勝手に戦え!
押切先生の最新作。暴力超人が拳で語るってのはお決まりだが、「能力はないが泰然とした主人公」って作りは初めてかも。キャラの幅がある分、そこそこ長く続けられそう。
超人X
超能力の出現で歴史がズレた現代日本で、ヒーローと悪人が戦う話。
石田スイ先生の新作。1巻前半までは「『ヒーローアカデミア』を悪趣味にした」ような演出で若干嫌味だったが、後は『東京喰種』のテンションに戻った。編集がコントロールして何より。
よくあるバトルものだが、「死んで蘇ってパワーアップする」って設定は『家庭教師REBORN』や西尾維新くらいでしか見たことがない。バトルシーンでどう生かすか楽しみ。
虎鶫
異界化した未来の日本を舞台に、犯罪者たちが軍事機密をサルベージする旅物語。
ケモ娘のつぐみが本当に可愛い。…だけではなく、画力がとんでもない。『メイドインアビス』のように、書き込まれた背景の中にちっぽけなキャラを配する作品って、読者を世界へと没入させてくれるよね。世界が殺伐としているからこそ、ころころ表情の変わるキャラが愛おしくなる。
光が死んだ夏
山から帰って来た親友が、バケモノに乗っ取られてた。
やおい系から1本。「莫逆の友が、バケモノに食われた。しかしバケモノは記憶や感情を引き継いでいるため、これまでと変わらず親愛の情を寄せてくる」…。いやー業が深い!!!しかも片田舎の夏という舞台立て、関西方言でのじゃれ合いも手伝って、僕のやおいマインド♂にビンビン響いてくる。
漫画的表現も卓越している。蝉のすだく音・環境音をまるでアミカケのように使う表現、魚眼レンズを覗くような構図、陰影の濃い背景…。土俗ホラーとしてきっちり作り込んでいるからこそ、光(のようなもの)との交流に緊張感が生まれる。
ワールドイズダンシング
能の大成者、世阿弥の生涯。
歴史漫画って、単行本末尾の解説も大きな魅力じゃない?重厚な政治劇なら本編だけで理解出来るが、『逃げ上手の若君』や『乙女戦争』のような、アクション漫画は解説があるからこそ補完出来る。その点、本作は身体芸術を感覚的に描くのだから、言語的解説がしっかりしているのは矢張り嬉しい。
話は…まだ序盤なので何とも。
任侠転生ー異世界のヤクザ姫ー
老任侠が姫に転生して、暴力説教。
性別反転する異世界転生って、美貌を武器にしたり、後宮などの女性の園で(男ならではの気風で)惚れ♀させるものが多いじゃない?(特になろうは)。その点、今作は主人公が女性アバターになる物語的必然性がないんよな。可愛いイケメンってだけで、割と美少年とかでも成り立ちうる。
その意味で言えば、視覚芸術である漫画だからこそ、なのかな。この話ノベライズされても、魅力は引き立たないだろうね。
ぷにるはかわいいスライム
https://www.corocoro.jp/episode/3269754496804969156
ああ^~っ。(ぷにる)
各所の変態オタクが大いに沸いた、コロコロ初のラブコメ。
コロコロは購読層がガキンチョなのに、性癖クラッシャー要素がこれでもかと詰め込まれている。「パーカー/厚底スニーカー/スパッツ/ポシェットのキャラデザ」「丁寧語のスライムぼくっ娘と同棲」「一途に可愛いアピールするのに、恋愛感情はない距離感」…。
大人ぷにるに変身すると、「はだけパーカー/ボウタイトップス/プリ―ツスカート/ニーハイ/ローファー」姿でぐっと色っぽくなる辺りも、ああ^~っ(絶頂)。
一口にスライム娘と言っても色々ある。例えばみぞね先生なら「半透明・表面もちもち」ぐらいでほぼ人間だが、ぷにるはもっとバケモン寄り。水道管を通る/コーヒーカップに潜むように変形するうえ、切断・胎内取り込みのような(若干猟奇じみた)描写もある。無論これらはギャグ演出ありきだけれど、エロ方面の妄想が捗る設定ですね、はい(もん娘マイスター感)。
さて、それにしてもコンテンツのヒットには「フック」が重要だとつくづく思う。「100ワニ」が過大評価されたように、今作も第一話末尾の
という抜群の引きでバズりが運命づけられた。この一言があるだけで、もう妄想や考察が掻き立てられるよね。
①本命:恋仲でハッピーエンド
②対抗馬:大親友のような半歩進展
③NTR/BSS/絶交で疎遠ビターエンド
のどれになるか。僕は③が推しです(鬼畜派
負けヒロインは2話で出たので、ぷにるに惚れる男子をレギュラーで出せば2on2の四角関係ラブコメが期待出来ますね。
ぷにるは単行本出たら絶対買う、皆も買え(命令
ビジャの女王
モンゴル帝国が版図を広げる時代に、独立を保つ小国があった。城下を守る姫は、伝承に聞く「墨家」に最後の望みを託す…。
作者が画業40年を超える人であり、劇画タッチは流石に古臭い。…けれど、それが伝奇系歴史作品の外連味、「ハッタリ感」とマッチしている。類似ジャンルの近作では「天竺熱風録」もあったけど、あれと違って「個人の凄い戦闘力で何とか頑張る」って話ではないのが好き。
SANDA
超少子化の未来で、サンタの末裔が悪い校長と戦う話。
板垣パル先生は、良くも悪くも週刊向きの作家だと思う。『BEASTERS』は後半失速したんだけど、風呂敷の畳み方が雑だったんだよね。「肉食/草食の過去の戦争」「壮年ビースターの選出」「海と陸の価値観」などは回収されず終いだった。それを思えば、今作の「超少子化」「学校の外部世界」などの大きな物語は、うやむやに終わるのだろう。
けれど、やっぱ板垣先生はネームの切り方が抜群に上手い。自由闊達なコマ割り、影を活かした凄みのある感情表現、ダイナミックで外連味のあるアクション一枚画、びっしりした書き込まれた小ネタや小物のディティール…。これを週刊ペースで読めるのは、ただただ幸せ。
ジーニーアース
頭のネジ飛んだ超人VSヒャッハー管理社会、勝手に戦え!
押切先生の最新作。暴力超人が拳で語るってのはお決まりだが、「能力はないが泰然とした主人公」って作りは初めてかも。キャラの幅がある分、そこそこ長く続けられそう。
超人X
超能力の出現で歴史がズレた現代日本で、ヒーローと悪人が戦う話。
石田スイ先生の新作。1巻前半までは「『ヒーローアカデミア』を悪趣味にした」ような演出で若干嫌味だったが、後は『東京喰種』のテンションに戻った。編集がコントロールして何より。
よくあるバトルものだが、「死んで蘇ってパワーアップする」って設定は『家庭教師REBORN』や西尾維新くらいでしか見たことがない。バトルシーンでどう生かすか楽しみ。
虎鶫
異界化した未来の日本を舞台に、犯罪者たちが軍事機密をサルベージする旅物語。
ケモ娘のつぐみが本当に可愛い。…だけではなく、画力がとんでもない。『メイドインアビス』のように、書き込まれた背景の中にちっぽけなキャラを配する作品って、読者を世界へと没入させてくれるよね。世界が殺伐としているからこそ、ころころ表情の変わるキャラが愛おしくなる。
光が死んだ夏
山から帰って来た親友が、バケモノに乗っ取られてた。
やおい系から1本。「莫逆の友が、バケモノに食われた。しかしバケモノは記憶や感情を引き継いでいるため、これまでと変わらず親愛の情を寄せてくる」…。いやー業が深い!!!しかも片田舎の夏という舞台立て、関西方言でのじゃれ合いも手伝って、僕のやおいマインド♂にビンビン響いてくる。
漫画的表現も卓越している。蝉のすだく音・環境音をまるでアミカケのように使う表現、魚眼レンズを覗くような構図、陰影の濃い背景…。土俗ホラーとしてきっちり作り込んでいるからこそ、光(のようなもの)との交流に緊張感が生まれる。
ワールドイズダンシング
能の大成者、世阿弥の生涯。
歴史漫画って、単行本末尾の解説も大きな魅力じゃない?重厚な政治劇なら本編だけで理解出来るが、『逃げ上手の若君』や『乙女戦争』のような、アクション漫画は解説があるからこそ補完出来る。その点、本作は身体芸術を感覚的に描くのだから、言語的解説がしっかりしているのは矢張り嬉しい。
話は…まだ序盤なので何とも。
任侠転生ー異世界のヤクザ姫ー
老任侠が姫に転生して、暴力説教。
性別反転する異世界転生って、美貌を武器にしたり、後宮などの女性の園で(男ならではの気風で)惚れ♀させるものが多いじゃない?(特になろうは)。その点、今作は主人公が女性アバターになる物語的必然性がないんよな。可愛いイケメンってだけで、割と美少年とかでも成り立ちうる。
その意味で言えば、視覚芸術である漫画だからこそ、なのかな。この話ノベライズされても、魅力は引き立たないだろうね。
ぷにるはかわいいスライム
https://www.corocoro.jp/episode/3269754496804969156
ああ^~っ。(ぷにる)
各所
コロコロは購読層がガキンチョなのに、性癖クラッシャー要素がこれでもかと詰め込まれている。「パーカー/厚底スニーカー/スパッツ/ポシェットのキャラデザ」「丁寧語のスライムぼくっ娘と同棲」「一途に可愛いアピールするのに、恋愛感情はない距離感」…。
大人ぷにるに変身すると、「はだけパーカー/ボウタイトップス/プリ―ツスカート/ニーハイ/ローファー」姿でぐっと色っぽくなる辺りも、ああ^~っ(絶頂)。
一口にスライム娘と言っても色々ある。例えばみぞね先生なら「半透明・表面もちもち」ぐらいでほぼ人間だが、ぷにるはもっとバケモン寄り。水道管を通る/コーヒーカップに潜むように変形するうえ、切断・胎内取り込みのような(若干猟奇じみた)描写もある。無論これらはギャグ演出ありきだけれど、エロ方面の妄想が捗る設定ですね、はい(もん娘マイスター感)。
さて、それにしてもコンテンツのヒットには「フック」が重要だとつくづく思う。
これはスライムのぷにると中学生コタローが
ともだちじゃなくなるまでのお話…。
という抜群の引きでバズりが運命づけられた。この一言があるだけで、もう妄想や考察が掻き立てられるよね。
①本命:恋仲でハッピーエンド
②対抗馬:大親友のような半歩進展
③NTR/BSS/絶交で疎遠ビターエンド
のどれになるか。僕は③が推しです(鬼畜派
負けヒロインは2話で出たので、ぷにるに惚れる男子をレギュラーで出せば2on2の四角関係ラブコメが期待出来ますね。
ぷにるは単行本出たら絶対買う、皆も買え(命令
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