・前置き
細かな数値とか、戦略概況についてはアルタフォックスのページを参照して下さい。
https://freethewizards.com/the-case-to-repair-hasbro/
アルタフォックス側だけだと偏るし、ことの経緯やハズブロ側の反応も知れるのでマスメディア記事の方を翻訳します。
https://www.providencejournal.com/story/news/local/2022/02/17/free-wizards-hasbro-faces-proxy-fight-over-dungeons-dragons/6831392001/
なお、訳出時に省略を一部加えています。
=====本文ここから=====
経営陣を巡る委任状争奪戦なんて退屈なものだが、こんなにキャッチーな標語にはなかなか出会えない。
”魔術師(Wizards)を解放せよ”
何の話かって?RPGの”D&D”やTCGの”Magic:The Gathering"を展開する、あの企業の話だ。
ポータケットに拠点を置くゲームメーカー、ハズブロ社はこの度クリス・コックスをCEOに昇格させる。彼は現在、子会社のWOTCの代表取締役でありデジタルゲーム部門を統括している。
テキサスの資産管理会社アルタフォックス(同社はハズブロの発行済株式2.5%を保有)は、以下を要求している。WOTCの独立会社化、ハズブロ経営陣の変革、役員賞与の減額だ。
アルタフォックス、株主に委任状送付
「時間と金をかけ、ハズブロとその事業区分を徹底的に調べ上げた」。株主への公開書面の中で、AF社はそう語る。
「この調査を経て断言出来る。ハズブロには潤沢な資金があり、固定客に恵まれ、従業員はやる気があって、素晴らしいブランドを持っている、と。だが同時に、実態より遥かに過小評価され業績も芳しくない。何故なら、『ブランド青写真』(※1)はパッとせず、企業構造に欠陥があり、資本投入を誤っているからだ。」
※訳注:ハズブロ社が2015年に打ち出した施策。グローバル化、物語による顧客満足、長期戦略などを謳っている
「役員を再編し、経営陣のやる気を起こさせれば、ハズブロは間違いなく変わる。株価は最低200ドルを達成し、ご愛顧下さる消費者・ファンの信頼を回復出来るのだ。」
ハズブロの株価は17日付で99.08ドル、前日の終値97.04ドルから2ポイント以上あがった。
17日、ハズブロは声明を出した。「わが社の役員及び経営陣は、株主の利益最大化に注力している。達成のためには、3区分をカバーする『ブランド青写真』を余すところなく活用していく。3区分とは、消費者向け製品、WOTC、デジタルゲームだ。」
ウィザーズ、次期CEOクリスの反応
WOTC社は、AF側が提案した5人の役員候補(ハズブロの役員構成は11人)を評価し、今年の年次総会で株主へ推薦するという。開催日時については未定。
WOTC社はまた、同社の代表であり次期ハズブロCEOのクリス・コックスはわが社を指揮してきたとも表明。
「顧客サービスの拡充実績、素晴らしいブランドを作り育て上げる手腕、ハズブロ青写真を推し進め利益還元に務めた堂々たる実績によって、彼は異例の昇進を遂げた」。
アルタフォックスが提言する5人の役員
Matthew Calkins:クラウド・ソフトウェア会社の創業社長
ジョン・フィンケル:資産管理会社の共同社長。MTGその他の元プロゲーマー
Marcelo Fischer:クラウド・金融サービス企業のCFO
Rani Hublou:社長
Carolyn Johnson:保険会社の元役員
=====本文ここまで=====
なげーよタコ!って人は、下の紙芝居がめちゃざっくり説明してます。
https://cardsrealm.com/en-us/en/stories/free-the-wizards-hasbro-is-pressured-to-spinoff-wizards-of-the-coast/
1枚目:WOTCはD&DやMTGを展開する会社や。99年から玩具大手のハズブロ子会社になってもうた。
2枚目:現在、WOTCを分離させろ言われとる。AF社は大株主やから、無下にも出来ひん。
3枚目:子会社が稼いどるのに、親があかん言うんや。金の使い方が間違ぅとるんやな。
4枚目:株主の声をろくに聴いとらんねや!
5枚目:役員共の保有株比率は変わっとらん。せやから、ハズブロが持ち直せばあいつらでさえ得するっちゅうこっちゃ。
6枚目:MTGも問題続きやね。アリーナとか、プロ報酬の縮小もハズブロの失態やろ。
7枚目:こう言うこっちゃ。WOTCが独立すれば、資源の使い方も良ぅなる。業績もぎょーさん良ぅなんねや。
細かな数値とか、戦略概況についてはアルタフォックスのページを参照して下さい。
https://freethewizards.com/the-case-to-repair-hasbro/
アルタフォックス側だけだと偏るし、ことの経緯やハズブロ側の反応も知れるのでマスメディア記事の方を翻訳します。
https://www.providencejournal.com/story/news/local/2022/02/17/free-wizards-hasbro-faces-proxy-fight-over-dungeons-dragons/6831392001/
なお、訳出時に省略を一部加えています。
=====本文ここから=====
経営陣を巡る委任状争奪戦なんて退屈なものだが、こんなにキャッチーな標語にはなかなか出会えない。
”魔術師(Wizards)を解放せよ”
何の話かって?RPGの”D&D”やTCGの”Magic:The Gathering"を展開する、あの企業の話だ。
ポータケットに拠点を置くゲームメーカー、ハズブロ社はこの度クリス・コックスをCEOに昇格させる。彼は現在、子会社のWOTCの代表取締役でありデジタルゲーム部門を統括している。
テキサスの資産管理会社アルタフォックス(同社はハズブロの発行済株式2.5%を保有)は、以下を要求している。WOTCの独立会社化、ハズブロ経営陣の変革、役員賞与の減額だ。
アルタフォックス、株主に委任状送付
「時間と金をかけ、ハズブロとその事業区分を徹底的に調べ上げた」。株主への公開書面の中で、AF社はそう語る。
「この調査を経て断言出来る。ハズブロには潤沢な資金があり、固定客に恵まれ、従業員はやる気があって、素晴らしいブランドを持っている、と。だが同時に、実態より遥かに過小評価され業績も芳しくない。何故なら、『ブランド青写真』(※1)はパッとせず、企業構造に欠陥があり、資本投入を誤っているからだ。」
※訳注:ハズブロ社が2015年に打ち出した施策。グローバル化、物語による顧客満足、長期戦略などを謳っている
「役員を再編し、経営陣のやる気を起こさせれば、ハズブロは間違いなく変わる。株価は最低200ドルを達成し、ご愛顧下さる消費者・ファンの信頼を回復出来るのだ。」
ハズブロの株価は17日付で99.08ドル、前日の終値97.04ドルから2ポイント以上あがった。
17日、ハズブロは声明を出した。「わが社の役員及び経営陣は、株主の利益最大化に注力している。達成のためには、3区分をカバーする『ブランド青写真』を余すところなく活用していく。3区分とは、消費者向け製品、WOTC、デジタルゲームだ。」
ウィザーズ、次期CEOクリスの反応
WOTC社は、AF側が提案した5人の役員候補(ハズブロの役員構成は11人)を評価し、今年の年次総会で株主へ推薦するという。開催日時については未定。
WOTC社はまた、同社の代表であり次期ハズブロCEOのクリス・コックスはわが社を指揮してきたとも表明。
「顧客サービスの拡充実績、素晴らしいブランドを作り育て上げる手腕、ハズブロ青写真を推し進め利益還元に務めた堂々たる実績によって、彼は異例の昇進を遂げた」。
アルタフォックスが提言する5人の役員
Matthew Calkins:クラウド・ソフトウェア会社の創業社長
ジョン・フィンケル:資産管理会社の共同社長。MTGその他の元プロゲーマー
Marcelo Fischer:クラウド・金融サービス企業のCFO
Rani Hublou:社長
Carolyn Johnson:保険会社の元役員
=====本文ここまで=====
なげーよタコ!って人は、下の紙芝居がめちゃざっくり説明してます。
https://cardsrealm.com/en-us/en/stories/free-the-wizards-hasbro-is-pressured-to-spinoff-wizards-of-the-coast/
1枚目:WOTCはD&DやMTGを展開する会社や。99年から玩具大手のハズブロ子会社になってもうた。
2枚目:現在、WOTCを分離させろ言われとる。AF社は大株主やから、無下にも出来ひん。
3枚目:子会社が稼いどるのに、親があかん言うんや。金の使い方が間違ぅとるんやな。
4枚目:株主の声をろくに聴いとらんねや!
5枚目:役員共の保有株比率は変わっとらん。せやから、ハズブロが持ち直せばあいつらでさえ得するっちゅうこっちゃ。
6枚目:MTGも問題続きやね。アリーナとか、プロ報酬の縮小もハズブロの失態やろ。
7枚目:こう言うこっちゃ。WOTCが独立すれば、資源の使い方も良ぅなる。業績もぎょーさん良ぅなんねや。
思い出の映画100選 ~西部劇~
2022年2月22日 映画
西部劇ってザックリし過ぎだな。第二弾書くかも。
・荒野の七人,1960
初っ端から弩メジャー作品だが、西部劇と言えばこれ。登場人物が誰も彼も恰好良すぎる。序盤の護送シーンに始まり、一人づつ仲間集めをするシーンのわくわく感は堪らない。
この映画、吹替訳も本当に素晴らしい。クリスが死にゆくハリーに優しい嘘をかけるシーンで
とする名訳ぶりよ!(正確な訳なら「地獄行きだな…」「行き先は別さ」辺り)
・リバティ・バランスを撃った男,1962
たびたび書いてきた「西部劇=誰かの幸せのために犠牲になり、静かに去っていく男を描く」というテーマを体現した作品。
法律を学んだ若者ランスと、実力で無法者と戦うトム。トムは町の美女ランスを密かに好いていたが、ランスのために身を引き、荒くれの領袖リバティ・バランスを撃つ…。
しかも、その挺身が後から明かされる脚本が本当に憎い。人知れずランスの決闘を手助けし、打ち明けず墓場まで持って行った…。蓋棺事定とはよく言ったもので、死後に彼の偉業は日の目を見た。
・小鹿物語,1946
壮年男性と少年、と言えば西部劇では前者が主人公になるものだが、本作は少年を中心に話が回る。
貧しく過酷な開拓地を生きる親子は、ある日小鹿を拾うことになる。小鹿と息子は仲睦まじく成長するが、小鹿が作物を食い荒らしたことで父は小鹿の処分を決める…。
ここからの展開が凄まじい。初撃では致命傷が与えられず、父は自分の手でとどめを刺すよう命じる。涙ながらに打ち殺した少年は父親に悪罵の限りを尽くす。
「あんたはずっとフラッグが嫌いだっただろ!だからやらせた!死んでしまえ!二度と顔を合わせてやるもんか!!」
激情に駆られたまま彼は家出をし、激動の旅を終え帰ってくると大人の顔つきをしている…。前半の陽気さからは想像も出来ぬ、ほろ苦い成長で幕を閉じる。
・ハンター,1980
名優の遺作・引退作というのは、特別な印象を持つものだ。西部とアウトローのシンボルだったスティーブ・マックイーンの遺作がこの『ハンター』だ。マックイーンは後年、映画の出演を断り続けた。体調が悪化したのち『トマホーン』(1979)と『ハンター』に出演し、間もなく肺癌で亡くなった。
『トマホーン』は何とも寒々しい映画だ。かつての英雄も、時代の流れに逆らえずお払い箱になる。無実の罪で死刑判決が下され、絞首台の下にお守りが散らばるカットでクレジットが流れ出す。
『ハンター』は『トマホーン』と並べて観ると何とも味わいのある映画だ。現代に生きるバウンティハンターが、恋人の妊娠で人生を見つめ直す。荒くれを気取った生活で彼女を危険に晒すが、出産は無事に済む。我が子のクシャミに対し、"Bless you."と声をかけ映画は終わる。無論、この言葉はクシャミに対する定型句だ。だが、この世に生を受けた赤子に対し、間もなく天に召されるマックイーンがかけた最後のセリフだと思うと、感慨もひと塩に思えるのだ。
・ノーカントリー,2007
西部劇において、「時代遅れ」にはノスタルジーが付きまとう。僅か50年だけ存在した、西部の荒野に流れた暴力とロマンの空気。開拓地に法と秩序と資本主義が浸透し現代アメリカが成立するのだが、過ぎ去った時代に恐れと敬意を人は抱いてしまう。
だが、この映画は違う。時代の変化によって到来するのは、野望も人情も理屈も存在しない、ただの荒廃。それを体現した悪魔として、アントン・シガーは息をするように人を殺していく。
https://www.youtube.com/watch?v=Lp3VHEL4wm8
現代における「西部」とはメキシコ国境と麻薬戦争だ。ヴィルヌーヴの『ボーダーライン』、リドリースコットの『悪の法則』なども描いたように、そこには誰一人理解しきれないような、茫漠たる荒廃しかない。
西部劇は終わってしまったジャンルだが、タランティーノ、テイラーシェリダン、そしてイーストウッドなどの監督が新たな名作を作り出している。だが現代西部劇で一作だけ選ぶなら、私は迷わず『ノーカントリー』を挙げる。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm3730481
ノーカントリー評でいえば、エガちゃんの映画漫談ほどこの空気感を伝えられるものはないわ。
・荒野の七人,1960
初っ端から弩メジャー作品だが、西部劇と言えばこれ。登場人物が誰も彼も恰好良すぎる。序盤の護送シーンに始まり、一人づつ仲間集めをするシーンのわくわく感は堪らない。
この映画、吹替訳も本当に素晴らしい。クリスが死にゆくハリーに優しい嘘をかけるシーンで
"I’ll be damned!" "Maybe you won’t."を
「来てよかったぜ」「黄金の夢を見ろ」
とする名訳ぶりよ!(正確な訳なら「地獄行きだな…」「行き先は別さ」辺り)
・リバティ・バランスを撃った男,1962
たびたび書いてきた「西部劇=誰かの幸せのために犠牲になり、静かに去っていく男を描く」というテーマを体現した作品。
法律を学んだ若者ランスと、実力で無法者と戦うトム。トムは町の美女ランスを密かに好いていたが、ランスのために身を引き、荒くれの領袖リバティ・バランスを撃つ…。
しかも、その挺身が後から明かされる脚本が本当に憎い。人知れずランスの決闘を手助けし、打ち明けず墓場まで持って行った…。蓋棺事定とはよく言ったもので、死後に彼の偉業は日の目を見た。
・小鹿物語,1946
壮年男性と少年、と言えば西部劇では前者が主人公になるものだが、本作は少年を中心に話が回る。
貧しく過酷な開拓地を生きる親子は、ある日小鹿を拾うことになる。小鹿と息子は仲睦まじく成長するが、小鹿が作物を食い荒らしたことで父は小鹿の処分を決める…。
ここからの展開が凄まじい。初撃では致命傷が与えられず、父は自分の手でとどめを刺すよう命じる。涙ながらに打ち殺した少年は父親に悪罵の限りを尽くす。
「あんたはずっとフラッグが嫌いだっただろ!だからやらせた!死んでしまえ!二度と顔を合わせてやるもんか!!」
激情に駆られたまま彼は家出をし、激動の旅を終え帰ってくると大人の顔つきをしている…。前半の陽気さからは想像も出来ぬ、ほろ苦い成長で幕を閉じる。
・ハンター,1980
名優の遺作・引退作というのは、特別な印象を持つものだ。西部とアウトローのシンボルだったスティーブ・マックイーンの遺作がこの『ハンター』だ。マックイーンは後年、映画の出演を断り続けた。体調が悪化したのち『トマホーン』(1979)と『ハンター』に出演し、間もなく肺癌で亡くなった。
『トマホーン』は何とも寒々しい映画だ。かつての英雄も、時代の流れに逆らえずお払い箱になる。無実の罪で死刑判決が下され、絞首台の下にお守りが散らばるカットでクレジットが流れ出す。
『ハンター』は『トマホーン』と並べて観ると何とも味わいのある映画だ。現代に生きるバウンティハンターが、恋人の妊娠で人生を見つめ直す。荒くれを気取った生活で彼女を危険に晒すが、出産は無事に済む。我が子のクシャミに対し、"Bless you."と声をかけ映画は終わる。無論、この言葉はクシャミに対する定型句だ。だが、この世に生を受けた赤子に対し、間もなく天に召されるマックイーンがかけた最後のセリフだと思うと、感慨もひと塩に思えるのだ。
・ノーカントリー,2007
西部劇において、「時代遅れ」にはノスタルジーが付きまとう。僅か50年だけ存在した、西部の荒野に流れた暴力とロマンの空気。開拓地に法と秩序と資本主義が浸透し現代アメリカが成立するのだが、過ぎ去った時代に恐れと敬意を人は抱いてしまう。
だが、この映画は違う。時代の変化によって到来するのは、野望も人情も理屈も存在しない、ただの荒廃。それを体現した悪魔として、アントン・シガーは息をするように人を殺していく。
https://www.youtube.com/watch?v=Lp3VHEL4wm8
現代における「西部」とはメキシコ国境と麻薬戦争だ。ヴィルヌーヴの『ボーダーライン』、リドリースコットの『悪の法則』なども描いたように、そこには誰一人理解しきれないような、茫漠たる荒廃しかない。
西部劇は終わってしまったジャンルだが、タランティーノ、テイラーシェリダン、そしてイーストウッドなどの監督が新たな名作を作り出している。だが現代西部劇で一作だけ選ぶなら、私は迷わず『ノーカントリー』を挙げる。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm3730481
ノーカントリー評でいえば、エガちゃんの映画漫談ほどこの空気感を伝えられるものはないわ。
『ウエスト・サイド・ストーリー』
2022年2月21日 映画
粗筋 50年代NY。プエルトリコ移民のゴロツキ「シャークス」と白人集団「ジェッツ」が縄張りを巡り争っていた。かつてジェッツの頭を張っていたトニーは服役し、改心。だがジェッツのメンバーは仮釈放中のトニーをしきりに戻したがる。誘いを拒み切れず訪れたダンスパーティーで、彼はシャークスのボス、ベルナルドの妹であるマリアに一目惚れしてしまう…。
①作品概説
伝説のミュージカルであり、1961年に映画化されポップアイコンとなった『ウエストサイド物語』。巨匠スティーヴン・スピルバーグが舞台時代はそのままに、新たに再映画化したのが今作『ウエスト・サイド・ストーリー』となる。
50年代風景を徹底的に再現した美術、バーナード・ハーマンの名盤など、オリジナル作品への敬意は随所に見える。だが、大きく改変した部分もある。ジェッツ・シャークスの面々にはハードな過去設定が背負わされ、決闘シーンは緊迫感に満ちたものになるなど、よりダークな雰囲気に。何より、61年版では白人が演じていたシャークスの面々をプエルトリコ人・ラテン系の役者で固め、より人種多様性を目指した「現代的な」映画となっている。
②現代性と『ミュンヘン』
この映画のメッセージ性は何か。それは現代アメリカの分断と憎悪の糾弾である。
『ウエストサイド物語』は、周知の通り『ロミオとジュリエット』をベースとしている。宿怨の2派の下に生まれついてしまった男女、道ならぬ恋を諦められず永遠の愛を誓うが、決闘で進退窮まり駆け落ちしようとする。ところが嘘によって自暴自棄になり、悲劇的な結末を迎える…。だが、今作がロミジュリ、ウエストサイド物語とも違うのは、「憎悪による報復合戦は何も生まない」と強く打ち出しているところだ。
監督の過去作に、『ミュンヘン』がある。ミュンヘンオリンピックでイスラエル選手団がテロの標的に遭い、全員死亡。イスラエル政府は事件を首謀したパレスチナ過激派11人に報復を決意し、暗殺チームを差し向ける…。
この映画は、報復を英雄的に描いていない。凄惨な暗殺は更なる報復を呼び、暗殺チームも一人また一人と狩られていく。最後に映されるのは、CGで再現された貿易センタービル。過去を描きながらも、ブッシュ政権が行っていたテロに対する戦争を痛烈に批判したのだ。
③『リンカーン』
そうしたスピルバーグの過去作と比べ、今作はどうか。私は生温いように思う。一つには、主人公のトニーがジェッツ寄りであり、両派を繋ぐ(=アメリカの分断を解消する)役割を負っていないところ。『ミュンヘン』はイスラエル、パレスチナどちらにも与しない中立的立場から描いたせいで、スピルバーグは双方から批判を受けた。
2点目として挙げたいのは、トニーは「現実的な和解」を何ら模索していない点である。政治用語で『レアルポリティーク』という言葉があるが、これを描いたスピルバーグの過去作として、『リンカーン』も紹介したい。
リンカーン大統領は、従来「劇的な」描かれ方をされてきた。ゲティスバーグ演説、奴隷解放宣言、そして暗殺…。だが、『リンカーン』で描かれるのは合衆国憲法修正13条の通過、これだけである。奴隷解放宣言は宣下されたものの、北部側で参戦した州には免除された州が多く、南部に至っては通用する筈もない。有名無実な宣言に実行力を持たせるべく、保守への切り崩し・左派への妥協工作と両者への根回しを進めていくのだ。
『リンカーン』における現代性とは何だったのか。それは当時のオバマ大統領が成立させた国民皆保険制(オバマケア)の成立風景である。保守・リベラルで先鋭化し議論を停滞させるのではなく、折衝と妥協の果てに法案を成立させるという難行を、歴史劇で見せたのだ。
④レアルポリティークとしての主人公像
以降のスピルバーグ作品は、(政治色の強い作品は)この系譜を貫いている。
『ブリッジオブスパイ』の主人公は、冷戦バリバリの時期にソ連スパイを弁護し、捕虜交換などの現実的な駆け引きの先に彼を母国へと返した。或いは『ペンタゴンペーパーズ』においては、女社主は株主の突き上げ、政治家との付き合い、政府の圧力など様々な力関係を綱渡りする中で、報道の独立性を選び取る苦悩を描いていた。
そうした作品と比べると、どうにも『ウェストサイドストーリー』のトニーは夢見がちに映るのだ。『BFG』や『レディプレイヤーワン』のようなファンタジー作品ではない。元からして社会性のある原作を、上述した通りわざわざトランプ時代以降のアメリカを反映した作りにしているのだ。それなのに…トニーが口を開けば飛び出すのは、マリアへの愛の言葉だけだ。
ウェストサイド好きにはすんません!でも、てめぇの恋路が原因で殺し合いに発展するって事態なのに「今夜は~今夜は~駆け落ちだ~♪」って暢気すぎません?
対話を試みてみたり、過激派から銃を取り上げようと行動はする。でも、決定的な破局は、当のトニーがベルナルドをぶち殺したことで訪れる。挙句の果てに、その晩にマリアの寝所に忍んでしっぽりって…良い気なモンじゃねえかな?
原作がそう?そりゃそう。でも、わざわざシリアスなタッチにして、しかもスピルバーグが監督するのなら、もっと違うトニー像で良かったと思うんですよ。リアリティラインを現実に近づけたがゆえに、却って恋愛の身勝手さが浮かび上がってしまう。
⑤結びに
https://magiclazy.diarynote.jp/202011100043418635/
1年前、『ザ・ハント』という映画を評した。オバマと同じく、バイデンも口だけ中道リーダーに終わらなければ良いが…そんな危惧は現実になってしまった。ただの悪口おじいちゃんだったからね?
今作の制作公表は2019年。トランプが加速させた分断に飽き、アメリカは融和を望んだ。暴力的な保守でも、冷笑的なリベラルでもない、中道的で現実的な指導者が。だが現実の大統領にも、フィクションの中のリーダーにも、その姿は認められない。
以上、スピルバーグのフィルモグラフィーから読み解くウェストサイド評でした。ぶっちゃけ、現代でリメイクする意義はあったんかね?
①作品概説
伝説のミュージカルであり、1961年に映画化されポップアイコンとなった『ウエストサイド物語』。巨匠スティーヴン・スピルバーグが舞台時代はそのままに、新たに再映画化したのが今作『ウエスト・サイド・ストーリー』となる。
50年代風景を徹底的に再現した美術、バーナード・ハーマンの名盤など、オリジナル作品への敬意は随所に見える。だが、大きく改変した部分もある。ジェッツ・シャークスの面々にはハードな過去設定が背負わされ、決闘シーンは緊迫感に満ちたものになるなど、よりダークな雰囲気に。何より、61年版では白人が演じていたシャークスの面々をプエルトリコ人・ラテン系の役者で固め、より人種多様性を目指した「現代的な」映画となっている。
②現代性と『ミュンヘン』
この映画のメッセージ性は何か。それは現代アメリカの分断と憎悪の糾弾である。
『ウエストサイド物語』は、周知の通り『ロミオとジュリエット』をベースとしている。宿怨の2派の下に生まれついてしまった男女、道ならぬ恋を諦められず永遠の愛を誓うが、決闘で進退窮まり駆け落ちしようとする。ところが嘘によって自暴自棄になり、悲劇的な結末を迎える…。だが、今作がロミジュリ、ウエストサイド物語とも違うのは、「憎悪による報復合戦は何も生まない」と強く打ち出しているところだ。
監督の過去作に、『ミュンヘン』がある。ミュンヘンオリンピックでイスラエル選手団がテロの標的に遭い、全員死亡。イスラエル政府は事件を首謀したパレスチナ過激派11人に報復を決意し、暗殺チームを差し向ける…。
この映画は、報復を英雄的に描いていない。凄惨な暗殺は更なる報復を呼び、暗殺チームも一人また一人と狩られていく。最後に映されるのは、CGで再現された貿易センタービル。過去を描きながらも、ブッシュ政権が行っていたテロに対する戦争を痛烈に批判したのだ。
③『リンカーン』
そうしたスピルバーグの過去作と比べ、今作はどうか。私は生温いように思う。一つには、主人公のトニーがジェッツ寄りであり、両派を繋ぐ(=アメリカの分断を解消する)役割を負っていないところ。『ミュンヘン』はイスラエル、パレスチナどちらにも与しない中立的立場から描いたせいで、スピルバーグは双方から批判を受けた。
2点目として挙げたいのは、トニーは「現実的な和解」を何ら模索していない点である。政治用語で『レアルポリティーク』という言葉があるが、これを描いたスピルバーグの過去作として、『リンカーン』も紹介したい。
リンカーン大統領は、従来「劇的な」描かれ方をされてきた。ゲティスバーグ演説、奴隷解放宣言、そして暗殺…。だが、『リンカーン』で描かれるのは合衆国憲法修正13条の通過、これだけである。奴隷解放宣言は宣下されたものの、北部側で参戦した州には免除された州が多く、南部に至っては通用する筈もない。有名無実な宣言に実行力を持たせるべく、保守への切り崩し・左派への妥協工作と両者への根回しを進めていくのだ。
『リンカーン』における現代性とは何だったのか。それは当時のオバマ大統領が成立させた国民皆保険制(オバマケア)の成立風景である。保守・リベラルで先鋭化し議論を停滞させるのではなく、折衝と妥協の果てに法案を成立させるという難行を、歴史劇で見せたのだ。
④レアルポリティークとしての主人公像
以降のスピルバーグ作品は、(政治色の強い作品は)この系譜を貫いている。
『ブリッジオブスパイ』の主人公は、冷戦バリバリの時期にソ連スパイを弁護し、捕虜交換などの現実的な駆け引きの先に彼を母国へと返した。或いは『ペンタゴンペーパーズ』においては、女社主は株主の突き上げ、政治家との付き合い、政府の圧力など様々な力関係を綱渡りする中で、報道の独立性を選び取る苦悩を描いていた。
そうした作品と比べると、どうにも『ウェストサイドストーリー』のトニーは夢見がちに映るのだ。『BFG』や『レディプレイヤーワン』のようなファンタジー作品ではない。元からして社会性のある原作を、上述した通りわざわざトランプ時代以降のアメリカを反映した作りにしているのだ。それなのに…トニーが口を開けば飛び出すのは、マリアへの愛の言葉だけだ。
ウェストサイド好きにはすんません!でも、てめぇの恋路が原因で殺し合いに発展するって事態なのに「今夜は~今夜は~駆け落ちだ~♪」って暢気すぎません?
対話を試みてみたり、過激派から銃を取り上げようと行動はする。でも、決定的な破局は、当のトニーがベルナルドをぶち殺したことで訪れる。挙句の果てに、その晩にマリアの寝所に忍んでしっぽりって…良い気なモンじゃねえかな?
原作がそう?そりゃそう。でも、わざわざシリアスなタッチにして、しかもスピルバーグが監督するのなら、もっと違うトニー像で良かったと思うんですよ。リアリティラインを現実に近づけたがゆえに、却って恋愛の身勝手さが浮かび上がってしまう。
⑤結びに
https://magiclazy.diarynote.jp/202011100043418635/
1年前、『ザ・ハント』という映画を評した。オバマと同じく、バイデンも口だけ中道リーダーに終わらなければ良いが…そんな危惧は現実になってしまった。
今作の制作公表は2019年。トランプが加速させた分断に飽き、アメリカは融和を望んだ。暴力的な保守でも、冷笑的なリベラルでもない、中道的で現実的な指導者が。だが現実の大統領にも、フィクションの中のリーダーにも、その姿は認められない。
以上、スピルバーグのフィルモグラフィーから読み解くウェストサイド評でした。ぶっちゃけ、現代でリメイクする意義はあったんかね?
思い出の映画100選 ~毒親映画~
2022年2月20日 映画
突発で始める映画100選企画、初回のテーマは毒親で。人格歪めた最大の要因であり、映画に耽溺(逃避)するきっかけもこれだからなー。
・キャリー,1976
生物学者ドーキンスは名著『神は妄想である』で斯く語る。
戦後アメリカではキリスト教原理主義が幅を利かせてきたが、その弊害を描いたのが今作『キャリー』だ。キャリーの母は若くして妊娠し、男に捨てられたがために宗教に狂奔するようになった(原理主義派は”神に与えられた生命を弄ばない”=避妊をしないため、若年層の妊娠率が異常に高い)。その押し付けは娘の精神を蝕み、超能力として発現していく。
この映画がもの哀しいのは、プロムでの一瞬の輝きがあるからだ。シシー・スペイセク演じるキャリーは、決して美人ではない。だが普段はしないお化粧をし、身嗜みを整えてプロムに臨む。千紫万紅の照明に照らされ、踊り続けるキャリーにエスコート役もときめいてしまう…。もしかしたらあり得たかもしれない「普通の幸せ」が垣間見せるからこそ、それに続く大虐殺シーンとの落差が際立つ。
2013年のリメイクに足りないのはここだ。だってクロエ・モレッツ、美人過ぎんだもん。男が寄ってこないのは無理あるって。
・この子の七つのお祝いに,1982
「お父さんは私たちを捨てた悪い人。だから恨みなさい、憎みなさい、大きくなったら復讐するの…」。毒親に吹き込まれ続け、7つを迎えた日に目の前で壮絶な自殺を遂げられる娘…復讐鬼と化した岩下志麻の演技がまー凄い。
岩下志麻と言えば、清張原作の『鬼畜』においても継子を虐め殺す怪演を遂げている。還暦過ぎても「アイドル役以外嫌ですからね!」と演技の幅を広げないY永S百合に煎じて飲ませてやりたい1作だ。
・ヘレディタリー,2018
21世紀最高のホラーと称される、アリ・アスター監督作品。
その魅力は、丹念に描写と伏線を積み重ねて提示される、逃れられぬ宿命観。母と息子を巡る、血も凍るようないがみ合いのシーン。(因みに、アリ・アスターの卒業制作は「父親でシコってたことをばれて、家庭が崩壊していく」物語である)
https://www.youtube.com/watch?v=7uWQVdNKUrk
だが最も心に残るのは、ラストにもたらされる奇妙な祝祭感だ。一家は全員死に絶えるが、悪魔側から見れば念願の依り代を得たことになる。最新作『ミッドサマー』にも通じる、価値観の変転と解放を描いた映画だ。
・葛城事件,2016
今回紹介する映画の中で最もリアルで、最も空しい気持ちになる一作。
上記3作と違い、今作の親は「イカれた」親ではない。ただ、家族の噛み合い方が上手くいかなかったのだ。一国一城を切り盛りしてきた昔気質の父親、子供を優しく見守るが誰にも強く出られない母親、父の云い分に従い続け潰れてしまう長男、父権的な父にも優秀な兄にも鬱屈をため続ける次男…。一人でなら狂わなかったかもしれないが、肌の合わぬ家族との摩擦で心が擦り切れ、孤独を深めてしまう…。
この家族は誰にも罪がなく、そして罪深い。
・きっと、うまくいく,2009
インド映画史に残る、傑作青春映画。
理系最高格のインド工科大に通う3人が、自分らしい幸せを模索していく。その一人、ファルハーンは写真家になる夢を父親から固く拒絶されている。もちろん、父親の言い分に社会的な合理性はある。
一つには、インドは学部差別が歴然としている。近年のインド映画のテーマとして”無職の大卒”がある。数学と機械工学はインド発展の要ゆえ引く手数多だが、人文科学は無用の長物扱いだ。ゆえに工学系、しかも工科大にまで行ってIT系に向かわないのは「まともな」人生ではない。
もう一つには、カースト制の存在がある。カーストはヒンドゥー教の根幹を成す社会制度だ。本来階層別に峻別されていた就業だが、一流大学に合格すれば一流企業へのパスポートになる。そのためカースト低位の子供は、一族の期待を一身に背負い受験戦争へと突き進まされていく。そのため、インドの学生(受験のみならず就職活動に至るまで)へのプレッシャーは重く、受験生や工科大生の自殺率は異常に高い。
それを踏まえてもなお、ファルハーンは父親に跪いて頼む。「これまでずっと父さんに従ってきた。でも、初めてやりたいことが出来た、後生だから、僕の夢を奪わないでくれ」、と。
https://www.youtube.com/watch?v=vWouk7Y38RE
序盤で、プレッシャーに耐え兼ね自殺した先輩のジョイ・ロボが出ていたからこそ、了承を与えられる場面は感動的だ。僕はこのシーンを見るたび、親の理解を得られなかった自分と引き比べて泣いてしまう。他罰的で不健康な浸り方だが、あり得たかもしれない別の人生を思い描いてしまう。
・キャリー,1976
生物学者ドーキンスは名著『神は妄想である』で斯く語る。
宗教は、本来多様であるべき価値観を一つに固定する。のみならず、それを自分の子供に押し付ける。
そのため、子供たちに本来開かれるハズだった扉が閉ざされ、子々孫々まで継がれてしまう。
戦後アメリカではキリスト教原理主義が幅を利かせてきたが、その弊害を描いたのが今作『キャリー』だ。キャリーの母は若くして妊娠し、男に捨てられたがために宗教に狂奔するようになった(原理主義派は”神に与えられた生命を弄ばない”=避妊をしないため、若年層の妊娠率が異常に高い)。その押し付けは娘の精神を蝕み、超能力として発現していく。
この映画がもの哀しいのは、プロムでの一瞬の輝きがあるからだ。シシー・スペイセク演じるキャリーは、決して美人ではない。だが普段はしないお化粧をし、身嗜みを整えてプロムに臨む。千紫万紅の照明に照らされ、踊り続けるキャリーにエスコート役もときめいてしまう…。もしかしたらあり得たかもしれない「普通の幸せ」が垣間見せるからこそ、それに続く大虐殺シーンとの落差が際立つ。
2013年のリメイクに足りないのはここだ。だってクロエ・モレッツ、美人過ぎんだもん。男が寄ってこないのは無理あるって。
・この子の七つのお祝いに,1982
「お父さんは私たちを捨てた悪い人。だから恨みなさい、憎みなさい、大きくなったら復讐するの…」。毒親に吹き込まれ続け、7つを迎えた日に目の前で壮絶な自殺を遂げられる娘…復讐鬼と化した岩下志麻の演技がまー凄い。
岩下志麻と言えば、清張原作の『鬼畜』においても継子を虐め殺す怪演を遂げている。還暦過ぎても「アイドル役以外嫌ですからね!」と演技の幅を広げないY永S百合に煎じて飲ませてやりたい1作だ。
・ヘレディタリー,2018
21世紀最高のホラーと称される、アリ・アスター監督作品。
その魅力は、丹念に描写と伏線を積み重ねて提示される、逃れられぬ宿命観。母と息子を巡る、血も凍るようないがみ合いのシーン。(因みに、アリ・アスターの卒業制作は「父親でシコってたことをばれて、家庭が崩壊していく」物語である)
https://www.youtube.com/watch?v=7uWQVdNKUrk
だが最も心に残るのは、ラストにもたらされる奇妙な祝祭感だ。一家は全員死に絶えるが、悪魔側から見れば念願の依り代を得たことになる。最新作『ミッドサマー』にも通じる、価値観の変転と解放を描いた映画だ。
・葛城事件,2016
今回紹介する映画の中で最もリアルで、最も空しい気持ちになる一作。
上記3作と違い、今作の親は「イカれた」親ではない。ただ、家族の噛み合い方が上手くいかなかったのだ。一国一城を切り盛りしてきた昔気質の父親、子供を優しく見守るが誰にも強く出られない母親、父の云い分に従い続け潰れてしまう長男、父権的な父にも優秀な兄にも鬱屈をため続ける次男…。一人でなら狂わなかったかもしれないが、肌の合わぬ家族との摩擦で心が擦り切れ、孤独を深めてしまう…。
この家族は誰にも罪がなく、そして罪深い。
・きっと、うまくいく,2009
インド映画史に残る、傑作青春映画。
理系最高格のインド工科大に通う3人が、自分らしい幸せを模索していく。その一人、ファルハーンは写真家になる夢を父親から固く拒絶されている。もちろん、父親の言い分に社会的な合理性はある。
一つには、インドは学部差別が歴然としている。近年のインド映画のテーマとして”無職の大卒”がある。数学と機械工学はインド発展の要ゆえ引く手数多だが、人文科学は無用の長物扱いだ。ゆえに工学系、しかも工科大にまで行ってIT系に向かわないのは「まともな」人生ではない。
もう一つには、カースト制の存在がある。カーストはヒンドゥー教の根幹を成す社会制度だ。本来階層別に峻別されていた就業だが、一流大学に合格すれば一流企業へのパスポートになる。そのためカースト低位の子供は、一族の期待を一身に背負い受験戦争へと突き進まされていく。そのため、インドの学生(受験のみならず就職活動に至るまで)へのプレッシャーは重く、受験生や工科大生の自殺率は異常に高い。
それを踏まえてもなお、ファルハーンは父親に跪いて頼む。「これまでずっと父さんに従ってきた。でも、初めてやりたいことが出来た、後生だから、僕の夢を奪わないでくれ」、と。
https://www.youtube.com/watch?v=vWouk7Y38RE
序盤で、プレッシャーに耐え兼ね自殺した先輩のジョイ・ロボが出ていたからこそ、了承を与えられる場面は感動的だ。僕はこのシーンを見るたび、親の理解を得られなかった自分と引き比べて泣いてしまう。他罰的で不健康な浸り方だが、あり得たかもしれない別の人生を思い描いてしまう。
「オイオイオイ 死んだわアイツ(DN)」
2022年2月19日 趣味
「ほう…広告抜きブログサービスですか たいしたものですね」(挨拶
なんだかんだ長年居座らせてもらったDNも来月でサ終。以下やることメモ
①移住先作る
mtgは完全引退するとして、映画・語学・読書関係の吐き出し先は確保しときたい。
勝手な印象だけど、twitterは論破バスターズの巣窟、アメブロは芸能人&インフルエンサーのド陽キャコミュ、Noteは情報商材売るぜ~ノリがきつくて、日陰者としてはキツい…。タグ設定出来て他ユーザの日記を覗きに行けるgooBlogが一番DNに似てる…かな…。雰囲気もDNの主婦クラスタに似てるし。
②最後にまとまったものを(毎日)書く
最初はmtg復帰を機にDNを始めたが、年々mtg熱は減退。ここ2年はほぼ映画ブログになってたから、最後も映画関係のこと書いてしめくくろうかな。
ポリシーとして新作映画の話しかしてこなかったけど、最後だし名作珍作紹介をしていくつもり。1テーマ5本紹介で20個書けば100本短評になるかな。いつにもまして適当なこと放言するから毎日更新なんてへーきへーき(見切り発車)
③最終日手前で未来日記作っておく
新規投稿・コメントは3/31で終了だが編集はしばらく出来るらしいので、後日追記用に新規日記スペースを空けておこう。投稿日時は2022/3/31で止まってんのに、日記の内容が4/1以降も続いていたらホラーっぽくない?(サービス停止したブログが動き続けるというのもホラーエモ度高い)
こんな感じで。最後の日まで馬鹿なこと書いていくと思います。
なんだかんだ長年居座らせてもらったDNも来月でサ終。以下やることメモ
①移住先作る
mtgは完全引退するとして、映画・語学・読書関係の吐き出し先は確保しときたい。
勝手な印象だけど、twitterは論破バスターズの巣窟、アメブロは芸能人&インフルエンサーのド陽キャコミュ、Noteは情報商材売るぜ~ノリがきつくて、日陰者としてはキツい…。タグ設定出来て他ユーザの日記を覗きに行けるgooBlogが一番DNに似てる…かな…。雰囲気もDNの主婦クラスタに似てるし。
②最後にまとまったものを(毎日)書く
最初はmtg復帰を機にDNを始めたが、年々mtg熱は減退。ここ2年はほぼ映画ブログになってたから、最後も映画関係のこと書いてしめくくろうかな。
ポリシーとして新作映画の話しかしてこなかったけど、最後だし名作珍作紹介をしていくつもり。1テーマ5本紹介で20個書けば100本短評になるかな。いつにもまして適当なこと放言するから毎日更新なんてへーきへーき(見切り発車)
③最終日手前で未来日記作っておく
新規投稿・コメントは3/31で終了だが編集はしばらく出来るらしいので、後日追記用に新規日記スペースを空けておこう。投稿日時は2022/3/31で止まってんのに、日記の内容が4/1以降も続いていたらホラーっぽくない?(サービス停止したブログが動き続けるというのもホラーエモ度高い)
こんな感じで。最後の日まで馬鹿なこと書いていくと思います。
ネオ赤単 雑感
2022年2月17日 Magic: The Gathering
プレイングゲロ難しいね。本体火力、生物強化に加えて換装でマナの使い方にも気を払わないといけない。展開は遅れるけど全除去ケアやチャンドラを守る攻防に寄与出来る。兎電池の難易度ヤバすぎる。
以下はMOチャレンジのリストから変えた枠
・土地23→24
3で止まってはいけない。
24枚目は魂力土地2枚、髑髏砕き、痩せ地のどれが良いのか不明。
・2/1吸血鬼→火付け師
吸血鬼は論外。灯付け師はそもそもアグロ同系で強いし、強化手段が26枚あるから簡単に育つ。こいつとオーガヘッドの相性凄いよ。
・ソーサリー3点→魂力2点
先手で1マナ・除去・チャンドラの初手をkpしにくいため。キッカー5点よりも4マナモードの方が断然唱え易い。
ソーサリー除去にするなら、いっそ日向まで観れる4点火力で良いんじゃねえかな。
以下はMOチャレンジのリストから変えた枠
・土地23→24
3で止まってはいけない。
24枚目は魂力土地2枚、髑髏砕き、痩せ地のどれが良いのか不明。
・2/1吸血鬼→火付け師
吸血鬼は論外。灯付け師はそもそもアグロ同系で強いし、強化手段が26枚あるから簡単に育つ。こいつとオーガヘッドの相性凄いよ。
・ソーサリー3点→魂力2点
先手で1マナ・除去・チャンドラの初手をkpしにくいため。キッカー5点よりも4マナモードの方が断然唱え易い。
ソーサリー除去にするなら、いっそ日向まで観れる4点火力で良いんじゃねえかな。
ネオ神河 デッキ回しその4
2022年2月15日 Magic: The Gathering
〇トレジャー機体
マグダ最大限活用するデッキ。
先ず4/3機体がちょっとカードじゃなかったね…。カラデシュの頃みたく地上固まったうえからPW殴る環境じゃないから、飛行にバリューがない。それとトークン並ぶデッキでもないから、搭乗1に意味がないのよなあ。ダブストトカゲに加え兎電池も積めば流石に使えるけど、その兎電池を(赤単以外では)使いたくないという。
テゼレットも(常在能力で手がかりや換装軽減期待で積んだけど)ダメでした。やっぱ小マイナス連打出来ないのは駄目だわ。君は工作員テゼレットにはなれない。
〇白単
お試し放浪皇。4T目に出せないからダメっした(ついでにサリアとの相性がクソ悪い)。
白単は土地が弱すぎるから、単色アグロにするなら赤単の方が強いんだよなあ(序盤盤面圧が下がってるから3チャンドラが初めて輝ける環境になってる)。
〇セレズニア
放浪皇と永岩城の修繕でコントロール風の動きが出来るかとラス4構成。イゼット系に勝てなさ過ぎて解体した。放浪皇のマイナスが効くデッキ=緑単みたいなのが存在してないっす。
後は赤単、ジェスカイオパスとイゼットカニくらいか。オパスデッキも既にして対象取る系スペルが抜けてきてる(青碑文、青行進)し、結局イゼット環境に収斂しそうだなあ。
マグダ最大限活用するデッキ。
先ず4/3機体がちょっとカードじゃなかったね…。カラデシュの頃みたく地上固まったうえからPW殴る環境じゃないから、飛行にバリューがない。それとトークン並ぶデッキでもないから、搭乗1に意味がないのよなあ。ダブストトカゲに加え兎電池も積めば流石に使えるけど、その兎電池を(赤単以外では)使いたくないという。
テゼレットも(常在能力で手がかりや換装軽減期待で積んだけど)ダメでした。やっぱ小マイナス連打出来ないのは駄目だわ。君は工作員テゼレットにはなれない。
〇白単
お試し放浪皇。4T目に出せないからダメっした(ついでにサリアとの相性がクソ悪い)。
白単は土地が弱すぎるから、単色アグロにするなら赤単の方が強いんだよなあ(序盤盤面圧が下がってるから3チャンドラが初めて輝ける環境になってる)。
〇セレズニア
放浪皇と永岩城の修繕でコントロール風の動きが出来るかとラス4構成。イゼット系に勝てなさ過ぎて解体した。放浪皇のマイナスが効くデッキ=緑単みたいなのが存在してないっす。
後は赤単、ジェスカイオパスとイゼットカニくらいか。オパスデッキも既にして対象取る系スペルが抜けてきてる(青碑文、青行進)し、結局イゼット環境に収斂しそうだなあ。
ネオ神河 デッキ回しその3
2022年2月13日 Magic: The Gathering
〇リアニ
KAITOとカメさん採用。KAITOは墓地溜め用、カメさんは2Tバウンスしつつ5Tに釣る。KAITO、カメさん、コーマは多色ゆえ消失の詩句の対象にならんけど、別にデッキ強くもねえな。やっぱりエリシュノーン級の釣り先が居ないとリアニダメだ。
〇黒単氷雪
PWで手札増やして行進1マナキャストを目指す。…行進はちょっとカードじゃなかったです。何故消失の詩句があるのにデメリ除去を使うのか分からない。
〇ジャンドコ(ジャンド金床)
血トークン、宝物、戦車で金床を誘発させる。
金床は結構カード強い。ドレイン能力に起動マナ掛からないのは相当器用。…なんだけど、中マナ圏が弱いなー。婚礼の招待積めないのはそれだけでデメリット。
KAITOとカメさん採用。KAITOは墓地溜め用、カメさんは2Tバウンスしつつ5Tに釣る。KAITO、カメさん、コーマは多色ゆえ消失の詩句の対象にならんけど、別にデッキ強くもねえな。やっぱりエリシュノーン級の釣り先が居ないとリアニダメだ。
〇黒単氷雪
PWで手札増やして行進1マナキャストを目指す。…行進はちょっとカードじゃなかったです。何故消失の詩句があるのにデメリ除去を使うのか分からない。
〇ジャンドコ(ジャンド金床)
血トークン、宝物、戦車で金床を誘発させる。
金床は結構カード強い。ドレイン能力に起動マナ掛からないのは相当器用。…なんだけど、中マナ圏が弱いなー。婚礼の招待積めないのはそれだけでデメリット。
ネオ神河 デッキ回しその2
2022年2月13日 Magic: The Gathering コメント (3)
〇セレズニアエンチャ
2T加速して3T4マナアクションするデッキ。神聖なる憑依、フェリダーの撤退がまー弱くて瓦解した。そら放浪皇、戦車のような置き得アドムーヴがあるのに、設置したターンに何もしない置物は無理だわな。結局戦車積まざるを得なくなったし、その戦車は樹海の自然主義者では軽減出来ないという。
〇ボロス装備(欠陥)
茶で固めてナヒリ・巧妙な鍛冶が必ずヒットするようにした。
換装生物ってナヒリ・ハルバールの能力では貼り付けられないのよね。一度換装を起動して装備品化した後なら可能だが、生物の状態からいきなりは無理だった。出来たら3/2トランプル猪を有効活用出来ただけに残念。
2T加速して3T4マナアクションするデッキ。神聖なる憑依、フェリダーの撤退がまー弱くて瓦解した。そら放浪皇、戦車のような置き得アドムーヴがあるのに、設置したターンに何もしない置物は無理だわな。結局戦車積まざるを得なくなったし、その戦車は樹海の自然主義者では軽減出来ないという。
〇ボロス装備(欠陥)
茶で固めてナヒリ・巧妙な鍛冶が必ずヒットするようにした。
換装生物ってナヒリ・ハルバールの能力では貼り付けられないのよね。一度換装を起動して装備品化した後なら可能だが、生物の状態からいきなりは無理だった。出来たら3/2トランプル猪を有効活用出来ただけに残念。
ネオ神河 デッキ回し
2022年2月11日 Magic: The Gathering
〇オルゾフ
放浪皇つよい。
永岩城の復興、幻想家の登場(、同系多い)のため、2Tからクロック出す構成よりはラスゴでガッチリ固める構成の方が強そう。
〇グルール
地獄乗り使いたいやつ。
改良カウントを稼ぐだけならボロスが最適なんだが、ボロスだとアドを取る手段がない(重い)ので単除去パコパコ投げられるだけで死ねる。
樹眼英雄譚は3T目に置ければ強いが(飛行クロック、地獄乗りとの兼ね合い)、流石にトップしたときがクソだね。アグロで英雄譚はちょっと無理。
放浪皇つよい。
永岩城の復興、幻想家の登場(、同系多い)のため、2Tからクロック出す構成よりはラスゴでガッチリ固める構成の方が強そう。
〇グルール
地獄乗り使いたいやつ。
改良カウントを稼ぐだけならボロスが最適なんだが、ボロスだとアドを取る手段がない(重い)ので単除去パコパコ投げられるだけで死ねる。
樹眼英雄譚は3T目に置ければ強いが(飛行クロック、地獄乗りとの兼ね合い)、流石にトップしたときがクソだね。アグロで英雄譚はちょっと無理。
〇ゴーストバスターズ
粗筋 或る老人が死んだ。それをきっかけに、娘家族は遺された農場に移住する。老人の孫娘フィービーは怪しげな機械に導かれるまま、地下の秘密ラボに足を踏み入れる。ロッカーにかかったジャケットには「スペングラ―」の文字が。そう、彼女の祖父は伝説のゴーストバスターズが一人、イゴン・スペングラ―だった。
①ノスタルジー爆弾盛り
本作は『1』の30年後を舞台にした続編ということもあり、随所に過去作のネタがちりばめられています。主要キャラの再登場は勿論のこと、ゴーザ・マシュマロマン・マンチャ―といった敵キャラも出れば、霊柩バスター車「ECTO1」やトラッパー(捕獲器)といった往年のアイテムも出る。更には"Who do you call?"の台詞やセレン鉱の設定、冒頭での椅子カバーを突き破る演出に至るまで、とにかく1を徹底的に意識した作りになっています。
②80年代ノスタルジー
おまけにこの映画、ここ10年くらい流行りの「80年代ノスタルジー」ジャンルにも乗っかってるんですよ。少年少女の冒険、経済苦の一家といった設定はまるきり『グーニーズ』やスピルバーグ作品のド定番。サマースクールで見せる映画は『クジョー』『チャイルドプレイ』といった当時の作品(わざわざVHSデッキで見せる辺りも憎い!)。フィービーの相棒少年が持つゴテゴテした秘密道具、パズルを解いて出てくる鍵、滑車ゴンドラで降りた先には広大な地下宮殿が…。
ノスタルジー×ノスタルジーでアラフィフ世代を殺す映画になっています。
③ファンムービーの是非:立ち位置
過去の評で「ファンムービーってどうなん?」と言った手前、
https://magiclazy.diarynote.jp/?day=20200820
2枚舌になりますが僕は今作大絶賛派です。少なくとも、今作には必然性があるからです。
先ず第一に、本作はオリジナルを焼き直すのではなくノスタルジーの対象としている点。これを説明するのに、2016年のリブート版『ゴーストバスターズ』と比較する必要があります。
あちらはポールフェイグ監督×メリッサマッカーシーのコンビによる、『ウーマンス』(女性の同性友情もの)路線でした。4人チームの性別だけ逆転させて、1作目を再解釈したわけです。
ただまあ…あちらは(特に古参ファンから激烈な)酷評を受けました。折しもポリコレ→反動保守の波が映画ファンにも広がり始めていたという時代性もあります。ですが、(上っ面だけの)焼き直しだったのにも原因があると思うのです。
ゴーストバスターズ1は、サタデーナイトライブ組のコメディセンス、NY文化を盛り込んだまさしく時代の体現者。映画の出来良しあしを超えた、「売れるべくして売れた」映画だったのです。
ゆえに、1をそっくり踏襲した筈の『ゴーストバスターズ2』は酷評されました。アイヴァンライトマン監督はその原因を
2の失敗を踏まえると、またぞろ焼き直し路線に走ったバスターズ(2016)が陳腐に見えるのも当然のこと。ゆえに、今回のバスターズ(2022)が相対化目線を持っているのは良きことです。
④故ハロルド・ライミスへの愛
もう一つの理由が、俳優ハロルドに捧げられた作品だという点。彼はオリジナルメンバーで、既に鬼籍入りしています。
そもそもの話をすれば、2016年版バスターズは当初『3』の予定でした。ところがハロルドが亡くなり、アイヴァンライトマン監督が降板した。それを急遽全く別の企画として再始動したという流れなのです。
今作には、そのハロルドへの敬愛が満ちています。フィービーが宿敵ゴーザと対決するラストバトルで、レーザーノズルを握る手がそっと支えられる。スペングラーのゴーストという作品上の設定と重ねられて、ハロルドがもう一度銀幕に現れる。存命の老バスターズ3人と並んでイゴンが(孫越しに)立ち、「4人」でバスティングに臨む…。虚実幽明の被膜を通した、何とも感動的な画です。
やっぱね、『1』へのリスペクトが違ェんすわ!!2016年版は沢山カメオ出演使う割に扱いがなおざりで、その癖ラストにハロルドへの献辞をいけしゃあしゃあと付ける。
それと今作比べてみて下さいよ!CGばっかの2016年版と違って、鍵の神に追われるシーンではわざとコマ撮り風の動きを見せる。砂埃に塗れたECTO-1が消火栓の脇を通り過ぎるときに、さっと水を被ってバスターズマークが鮮やかに姿を現す…。監督はアイヴァンライトマンの息子、ジェイソンライトマンなだけあって、『1』の精神をよく分かってんだよ!!!
⑤ポリコレなんぞクソ喰らえ!
別観点を最後に一つ。今作、ビックリするほどポリコレから外れてます。2016年版は保守側から(女性蔑視的な)揶揄を受けたように、ポリコレの波に乗った一作だったワケです。あれから6年、ポリコレムーヴメントは止むどころかずーーーっと続いてる、その中で今作はゴリッゴリの正道保守。
一応、アジア系や黒人が申し訳程度に出てはいる。けれど登場人物の大半は白人、おまけに3組の男女カップルが成立して一人たりともゲイが出ない。
極めつけが、エンドクレジット後のおまけ映像。シガニーウィーバー×ビルマーレイのファンサービスが付くんですが、あれ元々ナンパテクニックの話ですよ?ビルの演じるヴェンクマンは、ワインスタイン騒動のあった現代からすれば相当危ないキャラ。ファンは兎も角、自称リベラル層が今作をどう見るのかには不安が残りますね…。
⑥結びに
映画としての出来が良いとは言いません。若い人が観て楽しいとも思いません。それでも、1が好きな人なら号泣して涙腺が千切れること必至の1本です。
〇バイオハザード
粗筋 アンブレラ社が撤退を始め、ゴーストタウン化したラクーンシティ。Tウイルスが流出したことから社は全市を封鎖、住民は夜明けの破滅を知ることもなく閉じ込められてしまう。レッドフィールド兄妹は、果たして生きてこの町を出られるのか。
①小ネタ爆盛り
今作もまた、オマージュをふんだんに取り入れた作品です。ベースとなっているのがゲームの「バイオハザード1」「バイオハザード2」の2作。1の洋館探索、2のラクーンシティ脱出を同時並行させ、群像劇仕立てにしています。
…んだけどさあ、クッソ詰まんなかったです。その詰まんなさを説明するのに、映画版バイオシリーズを振り返っていきます。
②映画『バイオハザード』
通称「ダメな方のポール・アンダーソン』が撮り、ミラジョボヴィッチが主演した映画シリーズ。「1は名作、2はそこそこ、3以降はゴミ」というのが大方の共通認識だと思います。それでは何故、1は良かったのか?
それはあのスタイリッシュなルックでしょう。無機質で硬質なハイブの風景、黒くてゴツい服に身を包んだ特殊隊員、主人公のアリスは対照的に真紅のワンピースとブーツの出で立ち。ハードなガンアクションや流行りのバレットタイム演出を取り入れ、容赦のないゴアシーンもある。無論、これらの要素はマイケル・マン作品やマトリックスの影響下にある。それでも、従来野暮ったいジャンルだったゾンビ映画に、かっちょ良さを取り入れた。だからこそ1は楽しいんです。
③映画バイオ(3以降)
では、何故そんなバイオがダメになっていったか。アンダーソン×ミラ夫婦が作品を私物化していったのも原因ですが、中途半端な原作目くばせにも一因があると思います。
モンハン評でも言ったんですが、
https://magiclazy.diarynote.jp/202104210215374656/
この監督、無邪気な小ネタ入れたがるんですよ。「3」ではクリスを出してあっさり死なせ、「4」では超人ウェスカーの高速ダンスバトルを再現する。「5」ではレオンとエイダのパチモンを出して無駄死にもさせたり…。ゲームとは全く違うオリジナルストーリーな癖して、随所で「ほら、元ネタリスペクトだから!」とその実雑なパロディをブチ込む。この辺りが原作ファンをイラっとさせる映画でした。
④映画独自性
その点で、スタイリッシュさに回帰するのではなく、ゲームファンへの目くばせに終始した本作は残念でなりません。一応、本作は「サバイバルホラーへの回帰」を打ち出しています。確かに、ホラー演出は強めの映画となってはいる。
なら猶更、オマージュネタは要らなくねえすか?スペンサー邸のホール、警察署入り口をじっくり見せるカットは好きです。原作ファンは再現度にニヤッと出来るし、未プレイ層にもゴシックホラー的な雰囲気を味わせられる。でも、月光をつま弾いたら扉が開くとか、「かゆ うま」をゾンビが文字にするとか、エンドクレジットで超人ウェスカーとエイダを出すとか、そういうくすぐりは要らんでしょ!!
おまけにラスボスはお決まりのロケラン退治なんですが、レオンは狭い空間に人間5人とG生物が同居する中で撃つんですよ。密閉性の高いコンテナで爆発が起きたら、全員内臓破裂で死ぬから!おまけに死体は塵一つ残らず、返り血や肉片がかかる描写も無い。ホラーの癖してこういう所手抜くのはさあ…ゾンビ映画としてダメでしょ?
⑤結びに
ホラーとしてのバイオを楽しみたい?ならもう、ゲームで良いんですよ。ホラーバイオのルネサンスとなった「Resident Evil バイオ7」、リメイクとして評価の高い「バイオ:Re2」、最新作であり最も売れた「バイオ8 ヴィレッジ」。映像技術が進んだ今般、わざわざ映画である必要はもうない。
以上、二本立て5千字評でした。バイオの方も、1・2ごった煮じゃなくてじっくりドラマ1本を見せてくれたなら評価してたかも。どうせホラーやるなら『バイオ7』か『アウトブレイク File1』でやれや。
粗筋 或る老人が死んだ。それをきっかけに、娘家族は遺された農場に移住する。老人の孫娘フィービーは怪しげな機械に導かれるまま、地下の秘密ラボに足を踏み入れる。ロッカーにかかったジャケットには「スペングラ―」の文字が。そう、彼女の祖父は伝説のゴーストバスターズが一人、イゴン・スペングラ―だった。
①ノスタルジー爆弾盛り
本作は『1』の30年後を舞台にした続編ということもあり、随所に過去作のネタがちりばめられています。主要キャラの再登場は勿論のこと、ゴーザ・マシュマロマン・マンチャ―といった敵キャラも出れば、霊柩バスター車「ECTO1」やトラッパー(捕獲器)といった往年のアイテムも出る。更には"Who do you call?"の台詞やセレン鉱の設定、冒頭での椅子カバーを突き破る演出に至るまで、とにかく1を徹底的に意識した作りになっています。
②80年代ノスタルジー
おまけにこの映画、ここ10年くらい流行りの「80年代ノスタルジー」ジャンルにも乗っかってるんですよ。少年少女の冒険、経済苦の一家といった設定はまるきり『グーニーズ』やスピルバーグ作品のド定番。サマースクールで見せる映画は『クジョー』『チャイルドプレイ』といった当時の作品(わざわざVHSデッキで見せる辺りも憎い!)。フィービーの相棒少年が持つゴテゴテした秘密道具、パズルを解いて出てくる鍵、滑車ゴンドラで降りた先には広大な地下宮殿が…。
ノスタルジー×ノスタルジーでアラフィフ世代を殺す映画になっています。
③ファンムービーの是非:立ち位置
過去の評で「ファンムービーってどうなん?」と言った手前、
https://magiclazy.diarynote.jp/?day=20200820
2枚舌になりますが僕は今作大絶賛派です。少なくとも、今作には必然性があるからです。
先ず第一に、本作はオリジナルを焼き直すのではなくノスタルジーの対象としている点。これを説明するのに、2016年のリブート版『ゴーストバスターズ』と比較する必要があります。
あちらはポールフェイグ監督×メリッサマッカーシーのコンビによる、『ウーマンス』(女性の同性友情もの)路線でした。4人チームの性別だけ逆転させて、1作目を再解釈したわけです。
ただまあ…あちらは(特に古参ファンから激烈な)酷評を受けました。折しもポリコレ→反動保守の波が映画ファンにも広がり始めていたという時代性もあります。ですが、(上っ面だけの)焼き直しだったのにも原因があると思うのです。
ゴーストバスターズ1は、サタデーナイトライブ組のコメディセンス、NY文化を盛り込んだまさしく時代の体現者。映画の出来良しあしを超えた、「売れるべくして売れた」映画だったのです。
ゆえに、1をそっくり踏襲した筈の『ゴーストバスターズ2』は酷評されました。アイヴァンライトマン監督はその原因を
the shift of the zeitgeist(時代精神が変わってしまった)と語っています。
2の失敗を踏まえると、またぞろ焼き直し路線に走ったバスターズ(2016)が陳腐に見えるのも当然のこと。ゆえに、今回のバスターズ(2022)が相対化目線を持っているのは良きことです。
④故ハロルド・ライミスへの愛
もう一つの理由が、俳優ハロルドに捧げられた作品だという点。彼はオリジナルメンバーで、既に鬼籍入りしています。
そもそもの話をすれば、2016年版バスターズは当初『3』の予定でした。ところがハロルドが亡くなり、アイヴァンライトマン監督が降板した。それを急遽全く別の企画として再始動したという流れなのです。
今作には、そのハロルドへの敬愛が満ちています。フィービーが宿敵ゴーザと対決するラストバトルで、レーザーノズルを握る手がそっと支えられる。スペングラーのゴーストという作品上の設定と重ねられて、ハロルドがもう一度銀幕に現れる。存命の老バスターズ3人と並んでイゴンが(孫越しに)立ち、「4人」でバスティングに臨む…。虚実幽明の被膜を通した、何とも感動的な画です。
やっぱね、『1』へのリスペクトが違ェんすわ!!2016年版は沢山カメオ出演使う割に扱いがなおざりで、その癖ラストにハロルドへの献辞をいけしゃあしゃあと付ける。
それと今作比べてみて下さいよ!CGばっかの2016年版と違って、鍵の神に追われるシーンではわざとコマ撮り風の動きを見せる。砂埃に塗れたECTO-1が消火栓の脇を通り過ぎるときに、さっと水を被ってバスターズマークが鮮やかに姿を現す…。監督はアイヴァンライトマンの息子、ジェイソンライトマンなだけあって、『1』の精神をよく分かってんだよ!!!
⑤ポリコレなんぞクソ喰らえ!
別観点を最後に一つ。今作、ビックリするほどポリコレから外れてます。2016年版は保守側から(女性蔑視的な)揶揄を受けたように、ポリコレの波に乗った一作だったワケです。あれから6年、ポリコレムーヴメントは止むどころかずーーーっと続いてる、その中で今作はゴリッゴリの正道保守。
一応、アジア系や黒人が申し訳程度に出てはいる。けれど登場人物の大半は白人、おまけに3組の男女カップルが成立して一人たりともゲイが出ない。
極めつけが、エンドクレジット後のおまけ映像。シガニーウィーバー×ビルマーレイのファンサービスが付くんですが、あれ元々ナンパテクニックの話ですよ?ビルの演じるヴェンクマンは、ワインスタイン騒動のあった現代からすれば相当危ないキャラ。ファンは兎も角、自称リベラル層が今作をどう見るのかには不安が残りますね…。
⑥結びに
映画としての出来が良いとは言いません。若い人が観て楽しいとも思いません。それでも、1が好きな人なら号泣して涙腺が千切れること必至の1本です。
〇バイオハザード
粗筋 アンブレラ社が撤退を始め、ゴーストタウン化したラクーンシティ。Tウイルスが流出したことから社は全市を封鎖、住民は夜明けの破滅を知ることもなく閉じ込められてしまう。レッドフィールド兄妹は、果たして生きてこの町を出られるのか。
①小ネタ爆盛り
今作もまた、オマージュをふんだんに取り入れた作品です。ベースとなっているのがゲームの「バイオハザード1」「バイオハザード2」の2作。1の洋館探索、2のラクーンシティ脱出を同時並行させ、群像劇仕立てにしています。
…んだけどさあ、クッソ詰まんなかったです。その詰まんなさを説明するのに、映画版バイオシリーズを振り返っていきます。
②映画『バイオハザード』
通称「ダメな方のポール・アンダーソン』が撮り、ミラジョボヴィッチが主演した映画シリーズ。「1は名作、2はそこそこ、3以降はゴミ」というのが大方の共通認識だと思います。それでは何故、1は良かったのか?
それはあのスタイリッシュなルックでしょう。無機質で硬質なハイブの風景、黒くてゴツい服に身を包んだ特殊隊員、主人公のアリスは対照的に真紅のワンピースとブーツの出で立ち。ハードなガンアクションや流行りのバレットタイム演出を取り入れ、容赦のないゴアシーンもある。無論、これらの要素はマイケル・マン作品やマトリックスの影響下にある。それでも、従来野暮ったいジャンルだったゾンビ映画に、かっちょ良さを取り入れた。だからこそ1は楽しいんです。
③映画バイオ(3以降)
では、何故そんなバイオがダメになっていったか。アンダーソン×ミラ夫婦が作品を私物化していったのも原因ですが、中途半端な原作目くばせにも一因があると思います。
モンハン評でも言ったんですが、
https://magiclazy.diarynote.jp/202104210215374656/
この監督、無邪気な小ネタ入れたがるんですよ。「3」ではクリスを出してあっさり死なせ、「4」では超人ウェスカーの高速ダンスバトルを再現する。「5」ではレオンとエイダのパチモンを出して無駄死にもさせたり…。ゲームとは全く違うオリジナルストーリーな癖して、随所で「ほら、元ネタリスペクトだから!」とその実雑なパロディをブチ込む。この辺りが原作ファンをイラっとさせる映画でした。
④映画独自性
その点で、スタイリッシュさに回帰するのではなく、ゲームファンへの目くばせに終始した本作は残念でなりません。一応、本作は「サバイバルホラーへの回帰」を打ち出しています。確かに、ホラー演出は強めの映画となってはいる。
なら猶更、オマージュネタは要らなくねえすか?スペンサー邸のホール、警察署入り口をじっくり見せるカットは好きです。原作ファンは再現度にニヤッと出来るし、未プレイ層にもゴシックホラー的な雰囲気を味わせられる。でも、月光をつま弾いたら扉が開くとか、「かゆ うま」をゾンビが文字にするとか、エンドクレジットで超人ウェスカーとエイダを出すとか、そういうくすぐりは要らんでしょ!!
おまけにラスボスはお決まりのロケラン退治なんですが、レオンは狭い空間に人間5人とG生物が同居する中で撃つんですよ。密閉性の高いコンテナで爆発が起きたら、全員内臓破裂で死ぬから!おまけに死体は塵一つ残らず、返り血や肉片がかかる描写も無い。ホラーの癖してこういう所手抜くのはさあ…ゾンビ映画としてダメでしょ?
⑤結びに
ホラーとしてのバイオを楽しみたい?ならもう、ゲームで良いんですよ。ホラーバイオのルネサンスとなった「Resident Evil バイオ7」、リメイクとして評価の高い「バイオ:Re2」、最新作であり最も売れた「バイオ8 ヴィレッジ」。映像技術が進んだ今般、わざわざ映画である必要はもうない。
以上、二本立て5千字評でした。バイオの方も、1・2ごった煮じゃなくてじっくりドラマ1本を見せてくれたなら評価してたかも。どうせホラーやるなら『バイオ7』か『アウトブレイク File1』でやれや。
ネオ神河 フルスポ雑感
2022年2月5日 Magic: The Gathering あっという間にフルスポ(来週水曜には実装)なので書く暇がない。
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/card-image-gallery/kamigawa-neon-dynasty
・獅子の飾緒:W:墓地1枚追放しパーマネントなら+1/+1設置、換装2、換装された生物は+X/+X
白軟泥。サイズも下がってゲインもなくなったから、アグロ~ミッドレンジがメインに積むには躊躇いそう。換装能力でじりじり制圧できそうではあるが、現スタンの生物はマナ効率高すぎるしなあ。
・攪乱プロトコル:追加コストで茶タップor①追加、カウンター
近年の劣化カンスぺの中では現実的。でもまあ、序盤に打てないからカンスぺではないよ。
・青行進サイクル:追加で青捨てると②減る、X体フェイズアウト
一時しのぎにしかならないが、PW(若しくはリーア・カニ)を巡る1Tの攻防に寄与できる。面対処出来る分、サイクル中随一。
フェイズアウトは自他どちらも選べるので、上手いとこ使いたいね。(例えばチャンプしたトークン1体、相手アタッカー2体をどかすとか)
・鏡殻のカニ:護法2、魂力2U:③要求の不許可
この手の「いつ引いても腐らない」カード、出来事級じゃないと使われないよね。これもダメでしょう。
・黒行進サイクル:追加で黒追放するごとに②軽減、対象生物/PWにX点ダメXゲイン
カードは別に強くないんだけど、黒のPWはソリン/ロルス/リリアナのどれも「ルーズしてドロー」なので補完関係にある。サイクル中唯一、追加で2枚捨てるドブプレイが可能なカードだと思う。
・轟く雷鳴:速攻、攻撃するたび対象に+1/+1乗せ、改善生物分相手にダメージ
令和の地獄乗り。色は別にするとカードは相当強い。改善≒+1/+1カウンターは野心家、レンクラのような一流カードがあるしね。
・古霊招来、4/5×2生成、トランプル/到達/警戒のどれかをそれぞれ乗せる
お化けスタッツ。到達や警戒は防御的な能力なので、どちらかと言えばミッドレンジで使うカードなのかな(その場合クアドラシンボルがネックになるが)。
・タミヨウの補完:対象に破壊不能+呪禁+2ゲイン
蛇皮と一長一短。蛇皮は一方取れるバットリになれるが、こちらはダブブロやラスゴに対処出来るので幅が広いか。破壊不能と人狼/戦車が相性良いのは、乱闘が証明してるしね。
・鬼流の金床:自ターンに茶が場を離れるたび1/1生成(1T1回)、T,茶生贄:ドレイン
秘密の備蓄品の茶版。範囲が生物より狭くなった分、2個目の能力はめっちゃ強い。現状はデッキにならないけど未来はあるよね。
・勢団の銀行破り:蓄積3つ乗って出る、②,蓄積1つ減らす:1ドロー。蓄積が尽きたら宝物と「搭乗時にパワー3のように振舞える」1/1生成、搭乗3
精神惑わせの秘本。現代mtgのテンポについていけるかは微妙。
・永岩城の修繕/修繕する建築家:1章:平地手札へ、2章:1ディスして良い(2マナ以下パーマネントならリアニ)、3章変身/
ブリマーズ
コントロールで。テンポ的に2章は土地ではなく2マナ圏を釣りたいので、2/1履修や幻想家とセットで使いたい。
・鏡割りの寓話/キキジキ:1章:「アタック時に宝物生成」の2/2出す、2章:ものあさり、3章変身/
起動に1マナかかるキキジキ
アドは取れるが現代アグロのテンポについて来れるか。
・珠眼の寺守り/昇る星の残影:1章ラノエ生成、2章+1/+1を2体に1つづつ、3章変身/
飛行、生物出すたびXマナ払うと+x/+x設置、改善5体以上で+5/+5修正
これもキキジキと同じくテンポに不安。ただ、これは4T不自然な成長に繋げられるからワンチャン…ねえかな(マナクリと違って後半強いので)。
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/card-image-gallery/kamigawa-neon-dynasty
・獅子の飾緒:W:墓地1枚追放しパーマネントなら+1/+1設置、換装2、換装された生物は+X/+X
白軟泥。サイズも下がってゲインもなくなったから、アグロ~ミッドレンジがメインに積むには躊躇いそう。換装能力でじりじり制圧できそうではあるが、現スタンの生物はマナ効率高すぎるしなあ。
・攪乱プロトコル:追加コストで茶タップor①追加、カウンター
近年の劣化カンスぺの中では現実的。でもまあ、序盤に打てないからカンスぺではないよ。
・青行進サイクル:追加で青捨てると②減る、X体フェイズアウト
一時しのぎにしかならないが、PW(若しくはリーア・カニ)を巡る1Tの攻防に寄与できる。面対処出来る分、サイクル中随一。
フェイズアウトは自他どちらも選べるので、上手いとこ使いたいね。(例えばチャンプしたトークン1体、相手アタッカー2体をどかすとか)
・鏡殻のカニ:護法2、魂力2U:③要求の不許可
この手の「いつ引いても腐らない」カード、出来事級じゃないと使われないよね。これもダメでしょう。
・黒行進サイクル:追加で黒追放するごとに②軽減、対象生物/PWにX点ダメXゲイン
カードは別に強くないんだけど、黒のPWはソリン/ロルス/リリアナのどれも「ルーズしてドロー」なので補完関係にある。サイクル中唯一、追加で2枚捨てるドブプレイが可能なカードだと思う。
・轟く雷鳴:速攻、攻撃するたび対象に+1/+1乗せ、改善生物分相手にダメージ
令和の地獄乗り。色は別にするとカードは相当強い。改善≒+1/+1カウンターは野心家、レンクラのような一流カードがあるしね。
・古霊招来、4/5×2生成、トランプル/到達/警戒のどれかをそれぞれ乗せる
お化けスタッツ。到達や警戒は防御的な能力なので、どちらかと言えばミッドレンジで使うカードなのかな(その場合クアドラシンボルがネックになるが)。
・タミヨウの補完:対象に破壊不能+呪禁+2ゲイン
蛇皮と一長一短。蛇皮は一方取れるバットリになれるが、こちらはダブブロやラスゴに対処出来るので幅が広いか。破壊不能と人狼/戦車が相性良いのは、乱闘が証明してるしね。
・鬼流の金床:自ターンに茶が場を離れるたび1/1生成(1T1回)、T,茶生贄:ドレイン
秘密の備蓄品の茶版。範囲が生物より狭くなった分、2個目の能力はめっちゃ強い。現状はデッキにならないけど未来はあるよね。
・勢団の銀行破り:蓄積3つ乗って出る、②,蓄積1つ減らす:1ドロー。蓄積が尽きたら宝物と「搭乗時にパワー3のように振舞える」1/1生成、搭乗3
精神惑わせの秘本。現代mtgのテンポについていけるかは微妙。
・永岩城の修繕/修繕する建築家:1章:平地手札へ、2章:1ディスして良い(2マナ以下パーマネントならリアニ)、3章変身/
ブリマーズ
コントロールで。テンポ的に2章は土地ではなく2マナ圏を釣りたいので、2/1履修や幻想家とセットで使いたい。
・鏡割りの寓話/キキジキ:1章:「アタック時に宝物生成」の2/2出す、2章:ものあさり、3章変身/
起動に1マナかかるキキジキ
アドは取れるが現代アグロのテンポについて来れるか。
・珠眼の寺守り/昇る星の残影:1章ラノエ生成、2章+1/+1を2体に1つづつ、3章変身/
飛行、生物出すたびXマナ払うと+x/+x設置、改善5体以上で+5/+5修正
これもキキジキと同じくテンポに不安。ただ、これは4T不自然な成長に繋げられるからワンチャン…ねえかな(マナクリと違って後半強いので)。
ポストジブリ映画の新作(であり失敗作の)『鹿の王』を長々こき下ろす
2022年2月1日 映画
試写行きました。うーんこれはキツい…。
粗筋 覇権国家ツオル帝国と、自然豊かなアカファ王国。かつてツオル国はアカファ国に侵攻したが、謎の病・黒狼病(ミッツァル)の流行によって撤退した過去がある。以後ツオルはアカファを友好的に併合していたが、アカファ内で反乱が始まった。ウイルスを宿す山犬を用い、ツオル領内でミッツァルを流行らせ始めたのだ。
ツオル随一の医者ホッサルは、皇帝の命で調査を開始。山犬に噛まれ生き延びた男ヴァンを知り、血清を作るべく後を追う。だがアカファの放った狩人サエもまた、ヴァンを付け狙っていた…。
①作品概要
原作は本屋大賞を受賞した、上橋菜穂子の同名小説。著者が文化人類学者だけあって、非常民である狩猟民族の文化、風習が濃密に盛り込まれたファンタジー小説…って原作の説明はどうでも良いんだよ。この映画、前回書いた通りとにかくジブリ臭が途轍もないの!
https://magiclazy.diarynote.jp/202201312134285489/
それもその筈、監督・キャラデザ・作監全てを仕切ってるのが安藤雅司。ジブリ時代は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』を、フリーになった後は『君の名は。』のキャラデザ・作画監督を担い、幾多のメガヒットに貢献したレジェンド級アニメーターです。
…ンだけど、この映画、クッソ詰まらなかったです。僕はその理由として、「黄金期ハヤオ映画のエンタメ性がなかったから」だと考えます。無論、今作に原作小説があるのは承知。その上で「ハヤオ映画的なるもの」の軸で今作を主に貶して語って行こうと思います。
②ポストジブリ
黄金期ハヤオを「ナウシカ~千と千尋」とするなら、「ハウル・ポニョ」以降は混迷を始めた時期でしょう。その頃から、ポスト駿・ジブリと持てはやす(代理店が担ぎ出す)ムーヴメントが生まれたように思います。
電通が『バケモノの子』を猛プッシュしていた時代の、細田守。『星を追うこども』の頃の、新海誠。ジブリ内で言えば、ゴローちゃんや『メアリと魔法の花』の米林監督(そういやスタジオポノックってどうなった?)。
そして、今作『鹿の王』と安藤監督。今作の配給は日テレ。日テレと言えば~ジブリとズブズブですね!
ですが、そのどれも「ジブリ路線」でその後成功したとは言えません。その中で出てきた今作もまた、露骨なジブリ後追い。「ああまた駄作だなあ…」と落胆したのですが、何故詰まらなくなるのか?それはガワだけジブリっぽさを真似て、ハヤオのエンタメ性を引き継いでいないからだと考えます。
③ハヤオのエンタメ性:キャラ相関
ここから具体的な話をしていきましょう。唯一ジブリらしさを踏襲していたのが、キャラ相関の観点。
ハヤオ映画には、大きく分けて4通りのキャラクターが登場します。
A)少女:世界の鍵を握る
B)少年:オタク気質/冒険好き。少女と交流し護る
C)悪役:野心があり、その成就のため鍵を握る少女を追う
D)大人の女:悪役の下で動きつつも、別の思惑を持って行動している
この4パターンですね。今作においては、少女=ユナ、少年=主人公のヴァン、悪役=アカファ王、大人の女=ホッサル/サエが該当します。
追う・追われる、裏切って事態をかき乱すなど、物語の骨格はエンタメとして機能しています…が、端役までジブリっぽいのは苦笑しちゃいますね。ホッサルの従者マコウカンは烏帽子御前の側近ゴンザ、ヴァンが身を寄せる集落の男トマは牛飼いの甲六と、演出に至るまで酷似してますから。
④メカがない!
ここからは酷評ポイント=ハヤオの良さがない点をあげつらっていきます。先ず第一に、メカがない!
蒸気を噴き上げる内燃機関が、歯車や振り子がひしめくカラクリ内部が、多翼をしならせる高速小型艇が、雲を割きぬっと顔を出す飛空艇が、火花を飛ばしレールを疾走するトロッコが、地面をバウンドする戦車や車が、炎上し墜落する飛行船が、ブロック状に床が割れ崩落する巨城が、一切ねーんだよなー!本当に参るぜ!
無論、アニメにメカやロボが不可欠なワケはない。男児ゴコロをくすぐるような、もう一度見たくなるようなシーンが必要なんですよ。これが本作『鹿の王』にはなかった。
⑤抜きどころ見所がない
興行的に成功する映画には、見所が必要です。少年漫画原作なら、ufotableやMAPPAのような超絶作画のバトルシーンが、キモオタ女児向けアニメならダンス・ライブシーンが、コナンなら赤井ファミリーが。
では安藤監督なら?それはキャラデザと、動きによる感情表現だったんですよ(本来)。『君の名は。』では、従来の新海作品にはなかった表情のコミカルさ、ちょっとした仕草でラブコメを成立させメガヒットに導いた。マイナー作ですが『ももへの手紙』でも、妖怪3人と人間のアンバランスな遣り取りが、暖かいユーモアを生んでいた。
それなのに、今作の登場人物は、みーんな眉根に皺を寄せて深刻面するばかり。原作が暗いトーンで話が淡々と進むらしいので仕方ないのかもしれませんが、キャラに声がついて動いていても誰一人愛着持てないんですよ。これは安藤監督作品として、致命的じゃねーかなー。
⑥上下構造と穢れ
ハヤオ評論で定番の言説ですが、ジブリ映画には『上下構造』が存在すると言われます。カリオストロの「城」、ナウシカの「腐海と地底湖」、千と千尋の「油屋」…。少女=主人公は上へ上り、一度最下層へと堕ち、再浮上を果たす。
映画の王道として、3幕構成と呼ばれるものがあります。第一幕で世界の設定/主人公の目的が示され、第二幕で障害と衝突し挫けそうになる。第三幕ではその解決が果たされ成長する…といった具合に。
そうした定番の中で、ハヤオの独自性は何か、それは「穢れ」観念です。
ジブリ作品の少女たちは第二幕で最下層に堕ち、穢れに触れます。カリオストロ城の地下迷宮のように具体的なものがあれば、魔女の宅急便や千と千尋のように、「お腹が痛くなる」=初潮を迎えるといったように赤不浄の場合もある。かくして、出だしでは純粋無垢だった彼女らは、穢れ=現実に触れることで価値観が揺さぶられる。
その後の再浮上では、全てが復旧されるワケではない。キキがジジの声が聴けなくなったように、変化=成長を果たして世界と対峙するのです。
⑦『鹿の王』における穢れ
黒狼病という、それっぽい設定は出てきます。でも、「物語の機能として」これは穢れではないんですよ。何故ならば物語の冒頭でヴァンもユナも罹患するため、二人の価値観は2時間を通して何ら変化しないのだから。
とはいえ、4~5歳くらいの少女であるユナに性を匂わせる訳にもいかない。それならば今作が取るべきだったのは何か?それはヴァン・ユナの間での諍いでしょう。この映画、ツオルとアカファを巡る大きな物語はあるものの、(少なくとも映画上では)ヴァン・ユナの間に摩擦がない=小さな物語が存在してないんです。これはドラマとして、本当に詰まらない。
⑧ヴァン側からの摩擦
辛い過去を持つ壮年男と、初心な子供/青年の旅…ロードムービーや、それより昔の西部劇の頃からある定番形式。そこで重要なのは、「オジンのツンデレ」です。この映画、徹頭徹尾ヴァンがデレてるんですよ。
ハードな生き方をしてきたがゆえに、斜に構えるようになった渋ミドル。そんな彼が初心な若者と出会い、タフな生き方をその身を犠牲にして教えていく…。その出だしでは、現実を知らない若者に突慳貪な態度を取るものです。それでこそ、幾多の障害を経て絆を育む様に感動出来る。
無論、原作から大きく変えろとは言わない。でも、歩み寄りを映像で表現することは出来た筈だ。『クレイマー、クレイマー』におけるフレンチトーストのように、何気ない動作の繰り返しを描くことで他人から父親に移行していく様を見せられた筈だ。浮き沈みがあってこそ、別離は耐え難いものとして映えるものなのに。
⑨ユナ側からの摩擦
それでは、ユナ側が抱える穢れとは何か。それはヴァンが血の繋がらない父親と知ることでしょう。ヴァンは全てを了解してユナを養育している、けれどユナは本物の父親だと思って接しているわけです。それがアカファの追手から逃げる旅をするうち、ふとしたことで露見する。実母が死んだことも悟り、ヴァンを思わず拒絶してしまう…そこでアカファの親玉ケノイに攫われるという展開なら、大きな物語としての別離と小さな物語としての仲違いが重なり合う。
その後、初めて自我に目覚めたユナがケノイとヴァンを天秤にかけ、それでもヴァンを選んでこそ、二人は真の意味で親娘になれるのでは。ヴァンが劇中「親子というものは、血縁が重要ではないのです」と語るように、ユナ側も「血が繋がっていなくとも、ヴァンは父さんなんだ」と思い直せばこそ成長できるのでは。
「原作がこうだから」。そりゃそーです。でも全4巻を通読する体験と、2時間弱の映画体験では想いに浸る密度が違うんですよ。だから映画にするなら、ドラマに起伏が必要。
この映画内において、ユナに自発性は皆無じゃないですか?これ作劇上、人である必然性ないですよね?別に大切にしてる生き物であれば、犬でもバッタでも盆栽でも話成り立っちゃいますよね??
⑩ラスト:災害によるカタストロフ
最後の項目になりますが、ハヤオ映画の最終盤といえば大災害です。上下構造を成していた建築物/土地が崩壊し、大きな流れが穢れを押し流す。瓦礫になった新しい世界で、穢れは薄く(けれども決して皆無ではなく)なった世界で、聖穢両方を抱えて生きていく。ナウシカの名言
ですね。
一方の今作は、ヴァンが全て損を被って去っていくという「西部劇エンディング」…。なんですが、その演出が余りにも古臭い。犬の王となったヴァンを金色の光がバオーーーッと包み、滑るようにぴゅーーっと平原を駆け抜け、その光芒が遠い山並みに流星のようにたなびいて消えていく…。
あのさあ!!!逆シャアとか、イデオン発動編の時代なら兎も角、あなた今2022年(公開予定は2021年)ですよ!!!冒頭の悪夢シーンといい、ファンタジー演出が昭和なんだよ!!単調な光がビガーーッ!!は止めれ!!
⑪結びに
ポストジブリ…。そう評されるのは、何も国内に限った話ではありません。ジブリの影響下にあることを公言したスタジオで、「狼に噛まれて呪いが罹る」「自然と文明の対立軸」「少女が鍵を握る」「悪役に追われる」…こんな作品がごく最近ありましたね。カートゥーンサルーンの傑作、
https://magiclazy.diarynote.jp/202011200036414147/
『ウルフウォーカー』です。
公開前の映画なので、そこまで酷いことは言いません。でも、『鹿の王』を劇場で観るくらいなら、演出も、テーマ性も、アニメーションの到達度も、ドラマも全て勝っている『ウルフウォーカー』観た方が、良いんじゃねえかな。
はい、5千字評でした。何気に当ブログでジブリの話するの初めてだね。
『鹿の王』は2/4(金)より東宝系映画館で全国公開!皆も劇場へ急げ!
粗筋 覇権国家ツオル帝国と、自然豊かなアカファ王国。かつてツオル国はアカファ国に侵攻したが、謎の病・黒狼病(ミッツァル)の流行によって撤退した過去がある。以後ツオルはアカファを友好的に併合していたが、アカファ内で反乱が始まった。ウイルスを宿す山犬を用い、ツオル領内でミッツァルを流行らせ始めたのだ。
ツオル随一の医者ホッサルは、皇帝の命で調査を開始。山犬に噛まれ生き延びた男ヴァンを知り、血清を作るべく後を追う。だがアカファの放った狩人サエもまた、ヴァンを付け狙っていた…。
①作品概要
原作は本屋大賞を受賞した、上橋菜穂子の同名小説。著者が文化人類学者だけあって、非常民である狩猟民族の文化、風習が濃密に盛り込まれたファンタジー小説…って原作の説明はどうでも良いんだよ。この映画、前回書いた通りとにかくジブリ臭が途轍もないの!
https://magiclazy.diarynote.jp/202201312134285489/
それもその筈、監督・キャラデザ・作監全てを仕切ってるのが安藤雅司。ジブリ時代は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』を、フリーになった後は『君の名は。』のキャラデザ・作画監督を担い、幾多のメガヒットに貢献したレジェンド級アニメーターです。
…ンだけど、この映画、クッソ詰まらなかったです。僕はその理由として、「黄金期ハヤオ映画のエンタメ性がなかったから」だと考えます。無論、今作に原作小説があるのは承知。その上で「ハヤオ映画的なるもの」の軸で今作を
②ポストジブリ
黄金期ハヤオを「ナウシカ~千と千尋」とするなら、「ハウル・ポニョ」以降は混迷を始めた時期でしょう。その頃から、ポスト駿・ジブリと持てはやす(代理店が担ぎ出す)ムーヴメントが生まれたように思います。
電通が『バケモノの子』を猛プッシュしていた時代の、細田守。『星を追うこども』の頃の、新海誠。ジブリ内で言えば、ゴローちゃんや『メアリと魔法の花』の米林監督(そういやスタジオポノックってどうなった?)。
そして、今作『鹿の王』と安藤監督。今作の配給は日テレ。日テレと言えば~ジブリとズブズブですね!
ですが、そのどれも「ジブリ路線」でその後成功したとは言えません。その中で出てきた今作もまた、露骨なジブリ後追い。「ああまた駄作だなあ…」と落胆したのですが、何故詰まらなくなるのか?それはガワだけジブリっぽさを真似て、ハヤオのエンタメ性を引き継いでいないからだと考えます。
③ハヤオのエンタメ性:キャラ相関
ここから具体的な話をしていきましょう。唯一ジブリらしさを踏襲していたのが、キャラ相関の観点。
ハヤオ映画には、大きく分けて4通りのキャラクターが登場します。
A)少女:世界の鍵を握る
B)少年:オタク気質/冒険好き。少女と交流し護る
C)悪役:野心があり、その成就のため鍵を握る少女を追う
D)大人の女:悪役の下で動きつつも、別の思惑を持って行動している
この4パターンですね。今作においては、少女=ユナ、少年=主人公のヴァン、悪役=アカファ王、大人の女=ホッサル/サエが該当します。
追う・追われる、裏切って事態をかき乱すなど、物語の骨格はエンタメとして機能しています…が、端役までジブリっぽいのは苦笑しちゃいますね。ホッサルの従者マコウカンは烏帽子御前の側近ゴンザ、ヴァンが身を寄せる集落の男トマは牛飼いの甲六と、演出に至るまで酷似してますから。
④メカがない!
ここからは酷評ポイント=ハヤオの良さがない点をあげつらっていきます。先ず第一に、メカがない!
蒸気を噴き上げる内燃機関が、歯車や振り子がひしめくカラクリ内部が、多翼をしならせる高速小型艇が、雲を割きぬっと顔を出す飛空艇が、火花を飛ばしレールを疾走するトロッコが、地面をバウンドする戦車や車が、炎上し墜落する飛行船が、ブロック状に床が割れ崩落する巨城が、一切ねーんだよなー!本当に参るぜ!
無論、アニメにメカやロボが不可欠なワケはない。男児ゴコロをくすぐるような、もう一度見たくなるようなシーンが必要なんですよ。これが本作『鹿の王』にはなかった。
⑤
興行的に成功する映画には、見所が必要です。少年漫画原作なら、ufotableやMAPPAのような超絶作画のバトルシーンが、
では安藤監督なら?それはキャラデザと、動きによる感情表現だったんですよ(本来)。『君の名は。』では、従来の新海作品にはなかった表情のコミカルさ、ちょっとした仕草でラブコメを成立させメガヒットに導いた。マイナー作ですが『ももへの手紙』でも、妖怪3人と人間のアンバランスな遣り取りが、暖かいユーモアを生んでいた。
それなのに、今作の登場人物は、みーんな眉根に皺を寄せて深刻面するばかり。原作が暗いトーンで話が淡々と進むらしいので仕方ないのかもしれませんが、キャラに声がついて動いていても誰一人愛着持てないんですよ。これは安藤監督作品として、致命的じゃねーかなー。
⑥上下構造と穢れ
ハヤオ評論で定番の言説ですが、ジブリ映画には『上下構造』が存在すると言われます。カリオストロの「城」、ナウシカの「腐海と地底湖」、千と千尋の「油屋」…。少女=主人公は上へ上り、一度最下層へと堕ち、再浮上を果たす。
映画の王道として、3幕構成と呼ばれるものがあります。第一幕で世界の設定/主人公の目的が示され、第二幕で障害と衝突し挫けそうになる。第三幕ではその解決が果たされ成長する…といった具合に。
そうした定番の中で、ハヤオの独自性は何か、それは「穢れ」観念です。
ジブリ作品の少女たちは第二幕で最下層に堕ち、穢れに触れます。カリオストロ城の地下迷宮のように具体的なものがあれば、魔女の宅急便や千と千尋のように、「お腹が痛くなる」=初潮を迎えるといったように赤不浄の場合もある。かくして、出だしでは純粋無垢だった彼女らは、穢れ=現実に触れることで価値観が揺さぶられる。
その後の再浮上では、全てが復旧されるワケではない。キキがジジの声が聴けなくなったように、変化=成長を果たして世界と対峙するのです。
⑦『鹿の王』における穢れ
黒狼病という、それっぽい設定は出てきます。でも、「物語の機能として」これは穢れではないんですよ。何故ならば物語の冒頭でヴァンもユナも罹患するため、二人の価値観は2時間を通して何ら変化しないのだから。
とはいえ、4~5歳くらいの少女であるユナに性を匂わせる訳にもいかない。それならば今作が取るべきだったのは何か?それはヴァン・ユナの間での諍いでしょう。この映画、ツオルとアカファを巡る大きな物語はあるものの、(少なくとも映画上では)ヴァン・ユナの間に摩擦がない=小さな物語が存在してないんです。これはドラマとして、本当に詰まらない。
⑧ヴァン側からの摩擦
辛い過去を持つ壮年男と、初心な子供/青年の旅…ロードムービーや、それより昔の西部劇の頃からある定番形式。そこで重要なのは、「オジンのツンデレ」です。この映画、徹頭徹尾ヴァンがデレてるんですよ。
ハードな生き方をしてきたがゆえに、斜に構えるようになった渋ミドル。そんな彼が初心な若者と出会い、タフな生き方をその身を犠牲にして教えていく…。その出だしでは、現実を知らない若者に突慳貪な態度を取るものです。それでこそ、幾多の障害を経て絆を育む様に感動出来る。
無論、原作から大きく変えろとは言わない。でも、歩み寄りを映像で表現することは出来た筈だ。『クレイマー、クレイマー』におけるフレンチトーストのように、何気ない動作の繰り返しを描くことで他人から父親に移行していく様を見せられた筈だ。浮き沈みがあってこそ、別離は耐え難いものとして映えるものなのに。
⑨ユナ側からの摩擦
それでは、ユナ側が抱える穢れとは何か。それはヴァンが血の繋がらない父親と知ることでしょう。ヴァンは全てを了解してユナを養育している、けれどユナは本物の父親だと思って接しているわけです。それがアカファの追手から逃げる旅をするうち、ふとしたことで露見する。実母が死んだことも悟り、ヴァンを思わず拒絶してしまう…そこでアカファの親玉ケノイに攫われるという展開なら、大きな物語としての別離と小さな物語としての仲違いが重なり合う。
その後、初めて自我に目覚めたユナがケノイとヴァンを天秤にかけ、それでもヴァンを選んでこそ、二人は真の意味で親娘になれるのでは。ヴァンが劇中「親子というものは、血縁が重要ではないのです」と語るように、ユナ側も「血が繋がっていなくとも、ヴァンは父さんなんだ」と思い直せばこそ成長できるのでは。
「原作がこうだから」。そりゃそーです。でも全4巻を通読する体験と、2時間弱の映画体験では想いに浸る密度が違うんですよ。だから映画にするなら、ドラマに起伏が必要。
この映画内において、ユナに自発性は皆無じゃないですか?これ作劇上、人である必然性ないですよね?別に大切にしてる生き物であれば、犬でもバッタでも盆栽でも話成り立っちゃいますよね??
⑩ラスト:災害によるカタストロフ
最後の項目になりますが、ハヤオ映画の最終盤といえば大災害です。上下構造を成していた建築物/土地が崩壊し、大きな流れが穢れを押し流す。瓦礫になった新しい世界で、穢れは薄く(けれども決して皆無ではなく)なった世界で、聖穢両方を抱えて生きていく。ナウシカの名言
「ちがう。いのちは闇の中のまたたく光だ!!」
ですね。
一方の今作は、ヴァンが全て損を被って去っていくという「西部劇エンディング」…。なんですが、その演出が余りにも古臭い。犬の王となったヴァンを金色の光がバオーーーッと包み、滑るようにぴゅーーっと平原を駆け抜け、その光芒が遠い山並みに流星のようにたなびいて消えていく…。
あのさあ!!!逆シャアとか、イデオン発動編の時代なら兎も角、あなた今2022年(公開予定は2021年)ですよ!!!冒頭の悪夢シーンといい、ファンタジー演出が昭和なんだよ!!単調な光がビガーーッ!!は止めれ!!
⑪結びに
ポストジブリ…。そう評されるのは、何も国内に限った話ではありません。ジブリの影響下にあることを公言したスタジオで、「狼に噛まれて呪いが罹る」「自然と文明の対立軸」「少女が鍵を握る」「悪役に追われる」…こんな作品がごく最近ありましたね。カートゥーンサルーンの傑作、
https://magiclazy.diarynote.jp/202011200036414147/
『ウルフウォーカー』です。
公開前の映画なので、そこまで酷いことは言いません。でも、『鹿の王』を劇場で観るくらいなら、演出も、テーマ性も、アニメーションの到達度も、ドラマも全て勝っている『ウルフウォーカー』観た方が、良いんじゃねえかな。
はい、5千字評でした。何気に当ブログでジブリの話するの初めてだね。
『鹿の王』は2/4(金)より東宝系映画館で全国公開!皆も劇場へ急げ!
「ユナと鹿の王」試写会行った
2022年1月31日 映画ジブリみが過ぎる。
タタリ神っぽい紫の汚泥、それに触れて出来た腕のアザ、アザは怪力と痛みをもたらす、皆大好き飛空艇、逆手に持つ一尺三寸の短刀、身体を丸め短刀を構えての跳躍、トルメキア軍っぽい無国籍風の鎧+マント、シズル感溢れる液体と光の表現、帝国に対峙するまつろわぬ者、ヤックル(鹿)に乗り森や岩山を駆ける主人公、ジコ坊っぽい狂言回し、山犬の姫、妙齢の美人さん(男)と大柄な副官…。
でも、これだけ要素詰めてもエンタメとして成り立ってねーんだ。ハヤオの仏像作って魂入れず。賭けても良い、絶対この映画コケるよ。
タタリ神っぽい紫の汚泥、それに触れて出来た腕のアザ、アザは怪力と痛みをもたらす、皆大好き飛空艇、逆手に持つ一尺三寸の短刀、身体を丸め短刀を構えての跳躍、トルメキア軍っぽい無国籍風の鎧+マント、シズル感溢れる液体と光の表現、帝国に対峙するまつろわぬ者、ヤックル(鹿)に乗り森や岩山を駆ける主人公、ジコ坊っぽい狂言回し、山犬の姫、妙齢の美人さん(男)と大柄な副官…。
でも、これだけ要素詰めてもエンタメとして成り立ってねーんだ。ハヤオの仏像作って魂入れず。賭けても良い、絶対この映画コケるよ。
ネオ神河スポイラー 雑感
2022年1月28日 Magic: The Gatheringイゼ速順(サルべがもう動いていないため)
https://www.izzetmtgnews.com/archives/114485
スタン(アルケミー)目線でのみ評価。
・漆月魁斗:L3、出したターンにフェイズアウト
+1:1ドロー・生物でアタックしていなければ1ディス、ー2:アンブロ1/1生成、ー7:青か黒の生物1体をデッキからサーチし場に出す
去年公開のカード。小マイナスが流石に弱いので、実質プラス連打装置。そうなると
A:黒単氷雪のような小粒生物・全除去併用したデッキ
B:デルバーのような小粒生物・1マナ除去を積んだデッキ
C:リアニのようなディスカードを活用するデッキ
使い道はこんな感じか。ケンリス兄弟くらいの使用感に落ち着きそう。
・赤転生ドラゴン:飛行トランプル、PIGで選択
A:舞台照らし、B:宝物3つ生成
宝物3つはなかなか。トレジャー系統で使える…かも(徘徊者レベルのサクリ台が欲しいところ)。
・Spirited Companion:ETB1ドロー
白い幻想家。エンチャントでもあるのでKP高い。
・Invoke Despair:生物/エンチャ/PWそれぞれで、「相手は1枚生贄・できなければ2ルーズしこちら1ドロー」
ミニ根本。黒単でもレンジャークラス触れるようになるよ!
・麒麟の教え/麒麟振れの大蛇
1章:3枚切削・1/1生成、対象に+1/+1、3章変身
/アタック時に選ぶ:①墓地から生物1枚追放したら1/1生成、②墓地から非生物追放したら+1/+1を対象に乗せる
めっちゃテキスト長いけど、要は2/2と1/1生成。単体では使えないので↓こういう神聖なる憑依デッキで。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm39679309
・梓の幾多の旅/探究者の肖像
1章:追加セットランド、2章:3ゲイン、3章変身
/ブロックされると土地3枚アンタップ
2T目に出せたなら強い。草食獣的な使われ方されないかな?(ランプ系なら亭主より強いと思う)
・梅沢敏郎の生涯/梅澤敏郎の記憶
1・2章:十手モード1つ選択、3章:変身
/1点ペイ・T:ソーサリー/インスタントのみに使える黒マナ生成
黒単の2マナに…どうだろ。タフ1潰すのが主目的だが、一応4点ゲイン2/3とも振舞える。環境次第か。
・噛掌の忍者:忍術2B、威迫カウンターが乗った状態で場に出る、アタック通るたび威迫カウンター取り除いてよい、そうしたら1枚選べるハンデス
目玉よりは強そうなハンデスマン。メインには入らないが。
・母聖樹:ほぼ森、魂力1G:特殊地形/エンチャ/茶限定の流刑
レン6使えるモダンは大変そう。スタンでは1~2枚でいいや。
・白転生ドラゴン:飛行警戒、PIGで選ぶ:①トップ7枚から合計マナコストが4以下になるよう非土地パーマネントを複数出せる、②全体に+2/+2載せる
サイクルの中では断トツで強い。アリストクラッツ的な生物コンボが組めないのは残念だが、青白コンでPWor英雄譚2枚をまくることもありそう。何より、警戒持ってるから放浪皇で潰されないのよね。
・完成タミヨウ:L5、完成化(ファイマナで払うと忠誠度が2個減って出る)
+1:対象茶/生物タップし氷漬け、ーX:非土地のパーマネントを自墓地から追放しコピートークン生成、ー7:「タミヨウのノートブック」(呪文2軽減・T:1ドロー)トークンを生成
固くて奥義待ったなし。小マイナスで4マナパーマネント(≒PW?)釣れるのもなかなか。
奥義が紋章ではなくパーマネントなのは気がかり。母聖樹でサクッと対処されると悲しみを背負うが、(タミヨウも)ノートブックも消失の詩句で対象はされない。
ファイマナで払うと奥義が遠のくので、基本は5マナ素出しかな?
・肉体の裏切り者、テゼレット:L4、各ターン1回目の茶起動マナは②軽減
+1:2ドロー・茶を捨てないと2ディス、ー2:茶1個を4/4化、ー6:「茶がタップされるたび1ドロー」の紋章
工作員テゼレットに似た能力。小マイナスが弱い、+を活用できるほど強い茶がないので、スタンでは使われないかな。
・放浪皇:L3、瞬速、出したターンはインスタント起動可
+1:対象生物に+1/+1設置先制付与、ー1:2/2警戒生成、ー2:対象タップ生物追放・2ゲイン
つよ!!漆月魁斗と同じで、ほぼ確定で2回起動出来る。
2/2警戒を2体出せる時点でアーリンの上位互換(しかもマナフルオープンでターンを返せる)、何より除去モードが追放なのが偉い。転生ドラゴンが白以外ゴミ化するし、本来コントロール殺しのマルコフもさっくり対処出来る。
・Sokenzan, Origen de la resistencia(叛乱の始まり、双剣山?)
:ほぼ山、魂力3R:1/1速攻を2体生成
積み得。
https://www.izzetmtgnews.com/archives/114485
スタン(アルケミー)目線でのみ評価。
・漆月魁斗:L3、出したターンにフェイズアウト
+1:1ドロー・生物でアタックしていなければ1ディス、ー2:アンブロ1/1生成、ー7:青か黒の生物1体をデッキからサーチし場に出す
去年公開のカード。小マイナスが流石に弱いので、実質プラス連打装置。そうなると
A:黒単氷雪のような小粒生物・全除去併用したデッキ
B:デルバーのような小粒生物・1マナ除去を積んだデッキ
C:リアニのようなディスカードを活用するデッキ
使い道はこんな感じか。ケンリス兄弟くらいの使用感に落ち着きそう。
・赤転生ドラゴン:飛行トランプル、PIGで選択
A:舞台照らし、B:宝物3つ生成
宝物3つはなかなか。トレジャー系統で使える…かも(徘徊者レベルのサクリ台が欲しいところ)。
・Spirited Companion:ETB1ドロー
白い幻想家。エンチャントでもあるのでKP高い。
・Invoke Despair:生物/エンチャ/PWそれぞれで、「相手は1枚生贄・できなければ2ルーズしこちら1ドロー」
ミニ根本。黒単でもレンジャークラス触れるようになるよ!
・麒麟の教え/麒麟振れの大蛇
1章:3枚切削・1/1生成、対象に+1/+1、3章変身
/アタック時に選ぶ:①墓地から生物1枚追放したら1/1生成、②墓地から非生物追放したら+1/+1を対象に乗せる
めっちゃテキスト長いけど、要は2/2と1/1生成。単体では使えないので↓こういう神聖なる憑依デッキで。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm39679309
・梓の幾多の旅/探究者の肖像
1章:追加セットランド、2章:3ゲイン、3章変身
/ブロックされると土地3枚アンタップ
2T目に出せたなら強い。草食獣的な使われ方されないかな?(ランプ系なら亭主より強いと思う)
・梅沢敏郎の生涯/梅澤敏郎の記憶
1・2章:十手モード1つ選択、3章:変身
/1点ペイ・T:ソーサリー/インスタントのみに使える黒マナ生成
黒単の2マナに…どうだろ。タフ1潰すのが主目的だが、一応4点ゲイン2/3とも振舞える。環境次第か。
・噛掌の忍者:忍術2B、威迫カウンターが乗った状態で場に出る、アタック通るたび威迫カウンター取り除いてよい、そうしたら1枚選べるハンデス
目玉よりは強そうなハンデスマン。メインには入らないが。
・母聖樹:ほぼ森、魂力1G:特殊地形/エンチャ/茶限定の流刑
レン6使えるモダンは大変そう。スタンでは1~2枚でいいや。
・白転生ドラゴン:飛行警戒、PIGで選ぶ:①トップ7枚から合計マナコストが4以下になるよう非土地パーマネントを複数出せる、②全体に+2/+2載せる
サイクルの中では断トツで強い。アリストクラッツ的な生物コンボが組めないのは残念だが、青白コンでPWor英雄譚2枚をまくることもありそう。何より、警戒持ってるから放浪皇で潰されないのよね。
・完成タミヨウ:L5、完成化(ファイマナで払うと忠誠度が2個減って出る)
+1:対象茶/生物タップし氷漬け、ーX:非土地のパーマネントを自墓地から追放しコピートークン生成、ー7:「タミヨウのノートブック」(呪文2軽減・T:1ドロー)トークンを生成
固くて奥義待ったなし。小マイナスで4マナパーマネント(≒PW?)釣れるのもなかなか。
奥義が紋章ではなくパーマネントなのは気がかり。母聖樹でサクッと対処されると悲しみを背負うが、(タミヨウも)ノートブックも消失の詩句で対象はされない。
ファイマナで払うと奥義が遠のくので、基本は5マナ素出しかな?
・肉体の裏切り者、テゼレット:L4、各ターン1回目の茶起動マナは②軽減
+1:2ドロー・茶を捨てないと2ディス、ー2:茶1個を4/4化、ー6:「茶がタップされるたび1ドロー」の紋章
工作員テゼレットに似た能力。小マイナスが弱い、+を活用できるほど強い茶がないので、スタンでは使われないかな。
・放浪皇:L3、瞬速、出したターンはインスタント起動可
+1:対象生物に+1/+1設置先制付与、ー1:2/2警戒生成、ー2:対象タップ生物追放・2ゲイン
つよ!!漆月魁斗と同じで、ほぼ確定で2回起動出来る。
2/2警戒を2体出せる時点でアーリンの上位互換(しかもマナフルオープンでターンを返せる)、何より除去モードが追放なのが偉い。転生ドラゴンが白以外ゴミ化するし、本来コントロール殺しのマルコフもさっくり対処出来る。
・Sokenzan, Origen de la resistencia(叛乱の始まり、双剣山?)
:ほぼ山、魂力3R:1/1速攻を2体生成
積み得。
禁止改定雑感
2022年1月26日 Magic: The Gathering 禁止是非は皆書いてるからいいや。
〇デッキ予想(ローテ前に考える意味あるか?)
・カニ系青
ノー天啓は環境初期に在ったが、ゼロ除算ないのは流石にキツイか。シミック系統でランプ+カニにする、エスパーで消失の詩句を積んでリーアを活用する、などが生き残る道かな。純正イゼットは流石にカード足りなそう。
・緑単
ハイドラ3這いまわる瘦せ地2のようなマナベースでそのまま生き残りそう。
イゼット絶滅で蛇皮の利点がなくなる→不自然な成長型に収斂しそうだが、そうなると消失の詩句がキツくなる。レンジャークラスは4積み型に再び戻りそうね。
・白単
これも安息地→痩せ地でデッキにはなるんだが、サリア+レーデインのパッケージが必ずしも積み得じゃなくなるんよな(特にレーデイン)。メタ次第かな。
・オルゾフ
イゼットだけには勝てなかったデッキ。バウンスなくなると、流石にマルコフ、ヘンリカが積み得になるよね。特にマルコフは同系で消失の詩句当たらない、PW相手に殴れるのが良い。
・黒単(+@)氷雪
オルゾフ系のミッドレンジが増えるなら、食肉+血痕+PWの布陣が理。イゼット激不利より、低マナがクソ弱いのが黒単の問題なので、ローテでカードが増えるかどうか。
・赤緑+@トレジャー系
青足すとカウンター、黒足すとKPが増える。非公式リーク情報だけど、積み得伝説土地が増えるから多色化した方が得よね。
〇チャネル戦略記事廃止
パンデミックで2年前に無料記事を廃止していたが、まさか有料記事すら廃止する時代になるとはね。今までmtg一本で硬派通してきた晴れる屋もポケカ扱い始めたし、小売大変そう(アリーナ専の外野が云うことではない
明日(今夜?)からネオ神公開開始なので、後は座して待つのみ。
〇デッキ予想(ローテ前に考える意味あるか?)
・カニ系青
ノー天啓は環境初期に在ったが、ゼロ除算ないのは流石にキツイか。シミック系統でランプ+カニにする、エスパーで消失の詩句を積んでリーアを活用する、などが生き残る道かな。純正イゼットは流石にカード足りなそう。
・緑単
ハイドラ3這いまわる瘦せ地2のようなマナベースでそのまま生き残りそう。
イゼット絶滅で蛇皮の利点がなくなる→不自然な成長型に収斂しそうだが、そうなると消失の詩句がキツくなる。レンジャークラスは4積み型に再び戻りそうね。
・白単
これも安息地→痩せ地でデッキにはなるんだが、サリア+レーデインのパッケージが必ずしも積み得じゃなくなるんよな(特にレーデイン)。メタ次第かな。
・オルゾフ
イゼットだけには勝てなかったデッキ。バウンスなくなると、流石にマルコフ、ヘンリカが積み得になるよね。特にマルコフは同系で消失の詩句当たらない、PW相手に殴れるのが良い。
・黒単(+@)氷雪
オルゾフ系のミッドレンジが増えるなら、食肉+血痕+PWの布陣が理。イゼット激不利より、低マナがクソ弱いのが黒単の問題なので、ローテでカードが増えるかどうか。
・赤緑+@トレジャー系
青足すとカウンター、黒足すとKPが増える。
〇チャネル戦略記事廃止
パンデミックで2年前に無料記事を廃止していたが、まさか有料記事すら廃止する時代になるとはね。今までmtg一本で硬派通してきた晴れる屋もポケカ扱い始めたし、小売大変そう(アリーナ専の外野が云うことではない
明日(今夜?)からネオ神公開開始なので、後は座して待つのみ。
『こんにちは、わたしのお母さん』と、ノスタルジー映画について長々語る
2022年1月16日 映画
粗筋 シャオリンは幼少の頃から母親リ・ホワンインに迷惑をかけ通し。喜んで貰おうと企んだ合格書偽造も失敗するが、母は「健康で幸せならそれで良い」と前向き。そんな矢先、母が交通事故で危篤になってしまう。
シャオリンは母の傍らで泣き疲れ眠り込む。目を覚ましたとき、彼女は81年にタイムスリップしていた。若い頃の母親に会ったシャオリンは、今度こそ親孝行するぞと固く誓い奮闘する…。
世評が高すぎるように感じるので、否定意見多めで語って行きます。全ネタバレするのでご注意。
①作品概説
中国の喜劇女優ジア・リンが監督・脚本・主演を務めたコメディ映画。昨年2月に封切られるや爆発的な人気を呼び、最終的に9億ドルを稼ぎ出しました。これはあの『ワンダーウーマン』を超え、女性監督作品として世界史上最も売れた映画となりました。因みに2021年の世界興収でも2位を記録しています。
②今作の長所:コメディ
僕は今作、どちらかというと否定寄りなんですが、2点面白いと感じました。先ず1点目は、そのコメディセンス。
監督のジア・リンは元々舞台畑の人でして、今作が長編映画デビュー作。それ以前はTVドラマ・番組で活躍し、国民的スターへと上り詰めたそうです。その中で演じた1本のコント『你好、李煥英』を膨らませて映画化したのが、今作という流れです。
元々喜劇女優として有名なだけあって、コメディ場面がどれも秀逸。前半はベタなドタバタが多いですが、映画的な外連味を活かしたキメ→外しの連続、間(ま)を活かしたシュールギャグがあるかと思えば、共感性羞恥を誘うような赤面ギャグもある。ちょっとした仕草動作、テンポの良い会話の応酬もあり、ギャグの量・質共に素晴らしいです。
③時間SF的なひねり:破滅の選択
本作には2点、ツイストが効いています。一つ目が、「自分が生まれなくなる未来を選ぼうとする」という話展開。
時間SFは大体が、「現代に戻る/現代や未来で起きる惨事/不幸を回避するべく問題解決を図る」ストーリーとなっています。ところが本作はその逆を選ぶ。今作の紹介で「逆『バック・トゥー・ザ・フューチャー』だ」というフレーズを見ますが、僕はどちらかというと『バタフライエフェクト』の没EDを思い浮かべますね。
「最愛の人の幸せを願うがゆえに、自分が生まれないよう胎児に帰って自殺する」…あれは悲愴な最後でしたが、今作はあっけらかんとしているのも異色です。何とか母親を金持ちとくっつけようと、コミカルに立ち回っては失敗を続ける。
④時間SF的なひねり:寸草春暉
2点目としては、ラスト10分で明かされる衝撃の事実があります。なんと、母親もまたタイムスリップしていたのです。
主人公以外もタイムスリップしていたことを明かす映画は、無数にある。「死とニアミスした人間が過去に戻り、人生の幸福と覚悟を噛み締めて死に臨む」映画で言えば、あのカルト映画『ドニ―・ダーコ』が似ています。でも、両者をミックスした映画はなかなか無いのでは?
更に言うなら、そのひねりをSF的な快感ではなく親子愛の感動に持って行ったのもまた特異な点ですね。唐詩から派生した熟語で、「寸草春暉」という言葉があります。
どれだけ孝心を尽くしても、親の恩愛には及ばないことを表した語です。今作でも、シャオリンは懸命に(彼女なりのやり方で)孝行に励んだ。(実は自分もタイムスリップしていた)ホワンインは全部を知ったうえで、敢えて真実を告げず見守っていた…。
ラスト5分では、子供時代のシャオリンとそれを見守るホワンインの回想が入ります。タイムスリップする前・した後どちらの世界でも、シャオリンの見ていないところでの苦労が描かれている。無限の親心に、子供は気付けないものなのです。
⑤本作の問題点:伏線
よっしゃぁ!こっからクサすぞ!3点に大きく分けて論難していきます。
先ず1点目。後出しじゃんけんで、伏線回収の快感がないところ。
隠れた名作なんですけど、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』(BTTF)って映画皆さん知ってますか?あの映画、伏線回収が本当に巧みなんですよ。冒頭の時計、新聞記事、時計台、銃撃のカメラアングル、看板、発明のモチベーション、破いた手紙…。現代→過去→変わった現代の異同を予期・説明する演出を事前に、それも映像的なギミックで描き切っている。そりゃ名作ですわな。
一方の今作、上述した「もう一人のタイムトラベラー」ネタが後だしなんですよ。直接のネタばらしは、ジーンズへの継ぎ当てを見たところから。若い頃のホワンインは裁縫が下手で、シャオリンの服のカケハギすることで腕を上達させていった。だから80年代の彼女は、本来上手いワケがない…と真実を悟り走り出す。…んだけどさぁ、その過去設定が台詞でちょろっと出るだけで、映像的な伏線になってないの。
例えば冒頭の「私は駄目な娘」と愚痴る場面で、母親の裁縫が上達する様をモンタージュにするとかできるワケじゃない。「何気ないシーンに2重の意味を込めて、後で伏線回収する」って画が足りてない。
他にも、結局父親と結婚する伏線が一切ない。ラスト15分、いきなりポッと出で爽やかな青年が出てきて「オラ、ホワンインと結婚するから。よろしこ!」と挨拶してくる。こういう「元の鞘に収まる」展開ってさ、そこに至る過程が大事じゃない。例えばスリップ前の現代時勢で、「子供からの目線では嫌な癖や言動が、実は恋路の成就に繋がる秘訣だった」描写を入れるとかさ。或いは、七光り息子のデート作戦との合間合間でモブっぽい男を出しておいて、そっちの方で恋が実る…とかさ。
とにかく父親の扱いが雑なんだよ!七光り息子の不器用だけど憎めない奮闘ぶりを見てると、感情移入してしまう。だから他の男とデート紛いの外出に付き合うホワンインが、却って不実な女に見えてくる危険性があると思うんですよ。(この見方がミソジニーなのかな?)
⑥問題点:問題解決
もう一点は、物語の主軸が「問題解決」からどんどん離れていくところ。
褒めポイントのところで、時間SFのキモは
「現代に戻る/現代や未来で起きる惨事/不幸を回避するべく問題解決を図る」
点にあると述べました。そこで鍵となるのが、「情報アド」「特殊技能」です。
過去に飛ばされて戸惑うも、現代の知識を駆使し(半ば予言者のように)立ち回る。或いは現代では無駄/平凡スキルだった仕事/趣味を、飛ばされた先で有効活用する。異世界転生も、広い意味でこの変形と言えるでしょう。
ところが本作、スリップ前の現代パートで伏線を張らないから、それを後々で活かすこともない。主人公は設定上は無能なのに、スリップ先で突然超絶的な根回し能力・演技力を発揮し始める。…いやお前、天才じゃん。
おまけに、「生まれなくする」「現代に戻る」どちらの推進力もラストで放棄する。「母さん!か゛あ゛さ゛ん゛ん゛ん゛!゛!゛」と感動の押し売りで映画は幕を閉じるため、現代に戻ってからの答え合わせが無い。「え?現代帰れたの?」「現代で母親は事故回避出来るの?」といった疑問は解決されない。
⑦本作の「目的」
でもね、これで正しいんですよ。何故ならジア・リン監督にとって、とても個人的な一作だから。
先に経緯を述べたように、発端は1本のコントから。コントのテーマは、パンフ曰く「突然の母の死」。リ・ホワンイン/李煥英は役名のみならず、実際にリン監督の母の名だそうです。EDクレジットに映る「リ・ホワンイン」の写真と人生年表、そして「すべての母に捧ぐ」の献辞…。リン監督が若い頃亡くなってしまった、母親に向けた自伝映画なのです。
だから、伏線回収がどうしたの、整合性がどうだの、時間SFジャンルがどうだの、そういうのは眼中にねえんですよ!僕はオタクだから気にしますけどね!
⑧最後の問題点(?):ノスタルジー映画における「反省」の系譜
先ほど、問題は3つあると言いました。最後は「過去を礼賛するだけで良いのか?」って観点です。
皆知ってるBTTF、その作り手ロバートゼメキス監督は、実はリベラル側から「保守寄りだ」と非難されているんですよ。例えばBTTF。マーティが”ジョニーBグッド”を弾くシーンは名シーンとして有名ですが、「黒人音楽を、白人が作ったと改変する描写は如何なものか」と非難された。
或いは『フォレスト・ガンプ』。こちらはもっと露骨で、保守/リベラルの対比が行きすぎてるんですね。保守を体現するガンプは従軍し/実業で財を成し/国民的なスターになった。一方、恋人のジェニーは売春婦になり/平和派のヒッピーにDVされ/エイズでクタバる。ゼメキス監督自身、
そういや日本も…いつも64年?って映画ありましたよね。ヤクザ公害犯罪などが滅菌された、何とも綺麗な60年代でしたが。
⑨ノスタルジー映画における「反省」の系譜2
そういう流れもあり近年の映画では、過去を描く際に「時代の暗部」もまた描く努力が見えます。
韓国の『国際市場で会いましょう』は、まさに韓国版フォレストガンプと呼べる一作。しかしあちらでは、身を擦切らすように家族に尽くしてきた男がラストで号泣する。韓国社会の根幹たる儒教文化に対する悲涙は、本家ガンプのハッピーエンドでは対称的です。
或いは現在公開中の映画では、エドガーライトの『ラストナイトインソーホー』。50年代イギリス、ポップカルチャーの最先端だったロンドンを(序盤は)ノスタルジックに描きながらも、その背後にある「女性搾取」を恐ろしく幻惑的に描き出している。
翻って、今作はどうか。ないんです。ただただ、満点に美しい80年代中国。何で明るさ一色なのか?僕は80年代固有の事情があると思います。それを説明するために、現在中国で起きてるという現象を紹介します。
⑩80年代ブームと戦後史
ネット情報で恐縮ですが、2021年の中国で、80年代ブームが起きているとのこと。そこで人気なのが、中国のドラマではなく日本のドラマというのが面白い話です(当時、視聴率が80%あったそうです)。
では何故80年代に懐古するのか?僕は逆に考えます、それ以前の中国は懐かしむべき過去がないからです。
中国は戦後、西側陣営との冷戦/国民党との第二次内戦に突入します。50年代に入るとソ連との対立が表面化、ソ連式生産理論に頼らぬために「大躍進」を始めたことで、地獄の飢餓が全土の農村部を直撃します。
大躍進の失政に流石に批判が集まり、60年代に共産党内での派閥争いが激化。毛沢東は紅衛兵を先導し、今度は「文化大革命」を始めます。反対派の大粛清、知識人層の迫害を行い中国が培ってきた歴史との断絶が生まれます。結局、毛沢東の死後に共産党は経済開放路線にシフト。70年代後半、そして本作の舞台となる80年代に、漸く大衆は掛け値なしの幸せを実感できるようになった。
だから僕は、意地悪な言い方ですが中国はノスタルジーを覚えられるほど毛沢東死後の歴史が伸びたと思うのです。だからこそ、共産党への阿りなしに賞賛出来る過去=80年代を懐古する作品が、受けだしたのではないか…と。
⑪結びに
今作は昨年の世界興収第2位と前述しました。1位もまた中国映画の『長津湖』。この映画、朝鮮戦争中の「長津湖の戦い」が題材なんですが、実際の戦争は悲惨そのものだったらしいです。極寒の地で米中が交戦し、装備の違いで中国側に大量の凍死者が出た。けれど映画では英雄的行為として描いている。国策映画なんですね。
そんなお国柄映画が世界興収ワンツーフィニッシュなのを思うと、中国市場の巨大さを思うと共にハリウッドの凋落を感じますね。
久しぶりに5千字。まー嫌いな方向の映画です。
シャオリンは母の傍らで泣き疲れ眠り込む。目を覚ましたとき、彼女は81年にタイムスリップしていた。若い頃の母親に会ったシャオリンは、今度こそ親孝行するぞと固く誓い奮闘する…。
世評が高すぎるように感じるので、否定意見多めで語って行きます。全ネタバレするのでご注意。
①作品概説
中国の喜劇女優ジア・リンが監督・脚本・主演を務めたコメディ映画。昨年2月に封切られるや爆発的な人気を呼び、最終的に9億ドルを稼ぎ出しました。これはあの『ワンダーウーマン』を超え、女性監督作品として世界史上最も売れた映画となりました。因みに2021年の世界興収でも2位を記録しています。
②今作の長所:コメディ
僕は今作、どちらかというと否定寄りなんですが、2点面白いと感じました。先ず1点目は、そのコメディセンス。
監督のジア・リンは元々舞台畑の人でして、今作が長編映画デビュー作。それ以前はTVドラマ・番組で活躍し、国民的スターへと上り詰めたそうです。その中で演じた1本のコント『你好、李煥英』を膨らませて映画化したのが、今作という流れです。
元々喜劇女優として有名なだけあって、コメディ場面がどれも秀逸。前半はベタなドタバタが多いですが、映画的な外連味を活かしたキメ→外しの連続、間(ま)を活かしたシュールギャグがあるかと思えば、共感性羞恥を誘うような赤面ギャグもある。ちょっとした仕草動作、テンポの良い会話の応酬もあり、ギャグの量・質共に素晴らしいです。
③時間SF的なひねり:破滅の選択
本作には2点、ツイストが効いています。一つ目が、「自分が生まれなくなる未来を選ぼうとする」という話展開。
時間SFは大体が、「現代に戻る/現代や未来で起きる惨事/不幸を回避するべく問題解決を図る」ストーリーとなっています。ところが本作はその逆を選ぶ。今作の紹介で「逆『バック・トゥー・ザ・フューチャー』だ」というフレーズを見ますが、僕はどちらかというと『バタフライエフェクト』の没EDを思い浮かべますね。
「最愛の人の幸せを願うがゆえに、自分が生まれないよう胎児に帰って自殺する」…あれは悲愴な最後でしたが、今作はあっけらかんとしているのも異色です。何とか母親を金持ちとくっつけようと、コミカルに立ち回っては失敗を続ける。
④時間SF的なひねり:寸草春暉
2点目としては、ラスト10分で明かされる衝撃の事実があります。なんと、母親もまたタイムスリップしていたのです。
主人公以外もタイムスリップしていたことを明かす映画は、無数にある。「死とニアミスした人間が過去に戻り、人生の幸福と覚悟を噛み締めて死に臨む」映画で言えば、あのカルト映画『ドニ―・ダーコ』が似ています。でも、両者をミックスした映画はなかなか無いのでは?
更に言うなら、そのひねりをSF的な快感ではなく親子愛の感動に持って行ったのもまた特異な点ですね。唐詩から派生した熟語で、「寸草春暉」という言葉があります。
誰言寸草心
報得三春暉
どれだけ孝心を尽くしても、親の恩愛には及ばないことを表した語です。今作でも、シャオリンは懸命に(彼女なりのやり方で)孝行に励んだ。(実は自分もタイムスリップしていた)ホワンインは全部を知ったうえで、敢えて真実を告げず見守っていた…。
ラスト5分では、子供時代のシャオリンとそれを見守るホワンインの回想が入ります。タイムスリップする前・した後どちらの世界でも、シャオリンの見ていないところでの苦労が描かれている。無限の親心に、子供は気付けないものなのです。
⑤本作の問題点:伏線
よっしゃぁ!こっからクサすぞ!3点に大きく分けて論難していきます。
先ず1点目。後出しじゃんけんで、伏線回収の快感がないところ。
隠れた名作なんですけど、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』(BTTF)って映画皆さん知ってますか?あの映画、伏線回収が本当に巧みなんですよ。冒頭の時計、新聞記事、時計台、銃撃のカメラアングル、看板、発明のモチベーション、破いた手紙…。現代→過去→変わった現代の異同を予期・説明する演出を事前に、それも映像的なギミックで描き切っている。そりゃ名作ですわな。
一方の今作、上述した「もう一人のタイムトラベラー」ネタが後だしなんですよ。直接のネタばらしは、ジーンズへの継ぎ当てを見たところから。若い頃のホワンインは裁縫が下手で、シャオリンの服のカケハギすることで腕を上達させていった。だから80年代の彼女は、本来上手いワケがない…と真実を悟り走り出す。…んだけどさぁ、その過去設定が台詞でちょろっと出るだけで、映像的な伏線になってないの。
例えば冒頭の「私は駄目な娘」と愚痴る場面で、母親の裁縫が上達する様をモンタージュにするとかできるワケじゃない。「何気ないシーンに2重の意味を込めて、後で伏線回収する」って画が足りてない。
他にも、結局父親と結婚する伏線が一切ない。ラスト15分、いきなりポッと出で爽やかな青年が出てきて「オラ、ホワンインと結婚するから。よろしこ!」と挨拶してくる。こういう「元の鞘に収まる」展開ってさ、そこに至る過程が大事じゃない。例えばスリップ前の現代時勢で、「子供からの目線では嫌な癖や言動が、実は恋路の成就に繋がる秘訣だった」描写を入れるとかさ。或いは、七光り息子のデート作戦との合間合間でモブっぽい男を出しておいて、そっちの方で恋が実る…とかさ。
とにかく父親の扱いが雑なんだよ!七光り息子の不器用だけど憎めない奮闘ぶりを見てると、感情移入してしまう。だから他の男とデート紛いの外出に付き合うホワンインが、却って不実な女に見えてくる危険性があると思うんですよ。(この見方がミソジニーなのかな?)
⑥問題点:問題解決
もう一点は、物語の主軸が「問題解決」からどんどん離れていくところ。
褒めポイントのところで、時間SFのキモは
「現代に戻る/現代や未来で起きる惨事/不幸を回避するべく問題解決を図る」
点にあると述べました。そこで鍵となるのが、「情報アド」「特殊技能」です。
過去に飛ばされて戸惑うも、現代の知識を駆使し(半ば予言者のように)立ち回る。或いは現代では無駄/平凡スキルだった仕事/趣味を、飛ばされた先で有効活用する。異世界転生も、広い意味でこの変形と言えるでしょう。
ところが本作、スリップ前の現代パートで伏線を張らないから、それを後々で活かすこともない。主人公は設定上は無能なのに、スリップ先で突然超絶的な根回し能力・演技力を発揮し始める。…いやお前、天才じゃん。
おまけに、「生まれなくする」「現代に戻る」どちらの推進力もラストで放棄する。「母さん!か゛あ゛さ゛ん゛ん゛ん゛!゛!゛」と感動の押し売りで映画は幕を閉じるため、現代に戻ってからの答え合わせが無い。「え?現代帰れたの?」「現代で母親は事故回避出来るの?」といった疑問は解決されない。
⑦本作の「目的」
でもね、これで正しいんですよ。何故ならジア・リン監督にとって、とても個人的な一作だから。
先に経緯を述べたように、発端は1本のコントから。コントのテーマは、パンフ曰く「突然の母の死」。リ・ホワンイン/李煥英は役名のみならず、実際にリン監督の母の名だそうです。EDクレジットに映る「リ・ホワンイン」の写真と人生年表、そして「すべての母に捧ぐ」の献辞…。リン監督が若い頃亡くなってしまった、母親に向けた自伝映画なのです。
だから、伏線回収がどうしたの、整合性がどうだの、時間SFジャンルがどうだの、そういうのは眼中にねえんですよ!
⑧最後の問題点(?):ノスタルジー映画における「反省」の系譜
先ほど、問題は3つあると言いました。最後は「過去を礼賛するだけで良いのか?」って観点です。
皆知ってるBTTF、その作り手ロバートゼメキス監督は、実はリベラル側から「保守寄りだ」と非難されているんですよ。例えばBTTF。マーティが”ジョニーBグッド”を弾くシーンは名シーンとして有名ですが、「黒人音楽を、白人が作ったと改変する描写は如何なものか」と非難された。
或いは『フォレスト・ガンプ』。こちらはもっと露骨で、保守/リベラルの対比が行きすぎてるんですね。保守を体現するガンプは従軍し/実業で財を成し/国民的なスターになった。一方、恋人のジェニーは売春婦になり/平和派のヒッピーにDVされ/エイズでクタバる。ゼメキス監督自身、
ジェニーは「ドラッグ・セックス・ロックンロール」であり、ガンプは「古き良きアメリカ」を体現しているとさえ発言している。おまけに、多大な犠牲を払って成し遂げた公民権運動は完全に無視されている始末。
そういや日本も…いつも64年?って映画ありましたよね。ヤクザ公害犯罪などが滅菌された、何とも綺麗な60年代でしたが。
⑨ノスタルジー映画における「反省」の系譜2
そういう流れもあり近年の映画では、過去を描く際に「時代の暗部」もまた描く努力が見えます。
韓国の『国際市場で会いましょう』は、まさに韓国版フォレストガンプと呼べる一作。しかしあちらでは、身を擦切らすように家族に尽くしてきた男がラストで号泣する。韓国社会の根幹たる儒教文化に対する悲涙は、本家ガンプのハッピーエンドでは対称的です。
或いは現在公開中の映画では、エドガーライトの『ラストナイトインソーホー』。50年代イギリス、ポップカルチャーの最先端だったロンドンを(序盤は)ノスタルジックに描きながらも、その背後にある「女性搾取」を恐ろしく幻惑的に描き出している。
翻って、今作はどうか。ないんです。ただただ、満点に美しい80年代中国。何で明るさ一色なのか?僕は80年代固有の事情があると思います。それを説明するために、現在中国で起きてるという現象を紹介します。
⑩80年代ブームと戦後史
ネット情報で恐縮ですが、2021年の中国で、80年代ブームが起きているとのこと。そこで人気なのが、中国のドラマではなく日本のドラマというのが面白い話です(当時、視聴率が80%あったそうです)。
では何故80年代に懐古するのか?僕は逆に考えます、それ以前の中国は懐かしむべき過去がないからです。
中国は戦後、西側陣営との冷戦/国民党との第二次内戦に突入します。50年代に入るとソ連との対立が表面化、ソ連式生産理論に頼らぬために「大躍進」を始めたことで、地獄の飢餓が全土の農村部を直撃します。
大躍進の失政に流石に批判が集まり、60年代に共産党内での派閥争いが激化。毛沢東は紅衛兵を先導し、今度は「文化大革命」を始めます。反対派の大粛清、知識人層の迫害を行い中国が培ってきた歴史との断絶が生まれます。結局、毛沢東の死後に共産党は経済開放路線にシフト。70年代後半、そして本作の舞台となる80年代に、漸く大衆は掛け値なしの幸せを実感できるようになった。
だから僕は、意地悪な言い方ですが中国はノスタルジーを覚えられるほど毛沢東死後の歴史が伸びたと思うのです。だからこそ、共産党への阿りなしに賞賛出来る過去=80年代を懐古する作品が、受けだしたのではないか…と。
⑪結びに
今作は昨年の世界興収第2位と前述しました。1位もまた中国映画の『長津湖』。この映画、朝鮮戦争中の「長津湖の戦い」が題材なんですが、実際の戦争は悲惨そのものだったらしいです。極寒の地で米中が交戦し、装備の違いで中国側に大量の凍死者が出た。けれど映画では英雄的行為として描いている。国策映画なんですね。
そんなお国柄映画が世界興収ワンツーフィニッシュなのを思うと、中国市場の巨大さを思うと共にハリウッドの凋落を感じますね。
久しぶりに5千字。まー嫌いな方向の映画です。
リーアム・ニーソン新作『マークスマン』をそこそこ褒める
2022年1月11日 映画
新春一発目の評からB級映画で。
粗筋 妻を亡くし牧場も奪われゆく老人、ジムはある日密入国者の親子に出逢う。後を追う麻薬カルテルとの銃撃戦となり、撃たれた母は息子ミゲルをシカゴに連れて行ってくれとの言葉を遺す。ジムとミゲル、二人は反発し合いながらも、追討から逃れる内に絆が芽生えていく…。
①『中年オヤジの逆襲アクションもの』
一般(に見える)中年オヤジが、何故か超絶能力を発揮して巨悪を滅ぼす…。そんなB級アクションが、すっかり定番になりました。近年の大ヒットでは『ジョンウィック』や『イコライザー』などのシリーズがあります。
中年オヤジの逆襲…似たような作品は、昔からありました。ただのコックが軍艦ジャック犯を抹殺する『沈黙の戦艦』や、ただの火災犯罪捜査官がコロンビアカルテルを撲滅する『コラテラルダメージ』などです。ただ…あれらの作品は、筋肉アクション止まりでした。シュワルツェネッガー・セガールのような強面筋肉達磨に、喧嘩を吹っ掛ける方が愚かというもの。そこに出てきたのが、あの『96時間』シリーズです。
②俳優リーアム・ニーソン
リュックベッソン監督、リーアム・ニーソン主演の『96時間』。何が革命的だったかと言えば、主人公の佇まいでした。評論家の宇多丸いわく「子犬のような困り顔で、く~んとショボくれる」絶妙な顔つき。そんなどこにでもいるようなオッサンなのに、いざ非常事態となるや野菜を刻むような手際で悪党をブチ殺し出す。そのギャップ・若干のサイコパスっぽさが、作品の魅力となったのです。
ジャンルを開拓したニーソンは以後、似たような映画に出ずっぱりになります。『ミッドナイトラン』『スノーロワイヤル』『ファイナルプラン』などなど…。
③『マークスマン』の印象
そういうことで、今作にも『中年オヤジの逆襲アクション』ものを期待します。配給側も
なんて惹句を付けてますしね。
ところが本作…そういう雰囲気ではなかった。アクションは序盤とラストの僅か2点だけ、銃で倒すのも合計たった5人。その代わりに展開されるのは、老人と少年のロードムービー。期待したものとは違う、けれど見所はキチンとある映画でした。以下、今作の特長を述べていきます。
④視覚的説明
ゴミ邦画や漫画アニメの評で散々言いましたが、映画における説明は直接台詞ではなく、映像的に提示すべきです。今作においては、腕の入れ墨、内通者との符牒、ジム&ミゲルの感情の変化などが台詞なきままに表現されます。
情報量が多くなり幅が出る、その場の描写はあっさりだが余韻が残る、複数の意味を盛り込める…映像的な表現には様々な機能があります。ですが今作特有の機能としては、緊張感の持続でしょうか。車のナンバー、零れ落ちた地図、犬の散歩…ジムも慎重な男ではあるが、僅かづつ痕跡が残る。それを追討班のリーダー、マウリシオは拾い集め包囲網を狭めていく。緊張感を持続させる伏線が数珠繋ぎのように続いている御蔭で、全編に亘りヒリつくような空気がみなぎっているのです。
⑤カルテル描写
バカ右翼スタローンの作った『ランボー:ラストブラッド』と違い、
https://magiclazy.diarynote.jp/202007152247379167/
カルテル描写が現実的ですね!
米墨国境を越境する際は決して武器を携行せず、現地で装備人員機器をかき集める。車の登録、クレカ情報からどこを通過したのかを追跡する。国境警備兵、末端の警官など現地の協力部隊を使って、効率よく追い詰める…。
しかも上記の映像的伏線が効いているから、ご都合主義にならない。クレカ履歴のハッキングは家探しシーンが、汚職警官に呼び止められるのはナンバープレートを見られるシーンが事前に描かれているので、リアリティレベルが下がることがない。
⑥ガキとの共闘
壮年の男と子供のロードムービーと言えば、ガキはお荷物になるもの。ところが本作では、そこそこ活躍します。発砲による陽動、弾倉のイジェクトなど、中盤の訓練シーンが後半のアクションで機能する。しかも、ガキの成長物語を描くことが、ストーリー上でもう一つ機能を持っているのが憎らしかった。
⑦悪党、マウリシオ
スタローンはバカ右翼なので、マフィアを浅薄な悪党に描きました。一方の今作は、彼を「ミゲルのダークサイド」として描いたのです。ハリウッド映画において、悪役を「主人公のダークサイド」とするのは定番ですが、サイドキック側の反面教師にしたのは斬新ですね。
マウリシオは確かに、血も涙もない殺し屋です。と同時に、女性を眺める目線、勲章を大事そうにしまう仕草などで、どこか少年らしさも残されている。彼は最期、「こいつ(ミゲル)は俺と同じだ。(カルテルに入る)選択肢以外なかったんだ」とジムに語り掛けます。救済はされないけれど、悪党マウリシオの死に、一片の哀しさも湛えている。
最悪な環境に居る人間でも、広い意味での「教育」によって悪事以外を選ぶことが出来る。このテーマ性は累犯社会・分断社会となった現代アメリカで有意義なメッセージでしょう。有色人種取り合えず皆殺しにするスタローンよりは遥かに。
⑧『マークスマン』のジャンル
この映画は、ロバート・ロレンツ監督がインタビューで語るように『西部劇』です。辛い過去があり斜に構えた中年男が、初心な青年/少年に現実的でタフな生き方を教える。青年は窮地を脱し人生に意義を見出すが、その幸せの輪に中年男は入らず、独り去っていく…。致命傷を負った男が、死に様を見せずに立ち去るラストは、もろ『シェーン』『ワイルド・アパッチ』に酷似してますね。
⑨結びに
ロバート・ロレンツ監督は、巨匠イーストウッド組出身の作家。そのイーストウッドの新作(そして現代西部劇でもある)『クライ・マッチョ』が来週末公開。この機会に、二人の作品を劇場で見比べてみるのはどうでしょうか?まあ…『クライマッチョ』の本国評価クッソ低いんだけどな!脚本酷いんだって!
2500字評でした。坂のバンクを活かし「こちらからだけ見える狙撃ポイント」を見極める下りが現実的でカッコよかった。スコップを銃架に見立て、必殺の呼吸から狙撃開始するシーンも超良い。
粗筋 妻を亡くし牧場も奪われゆく老人、ジムはある日密入国者の親子に出逢う。後を追う麻薬カルテルとの銃撃戦となり、撃たれた母は息子ミゲルをシカゴに連れて行ってくれとの言葉を遺す。ジムとミゲル、二人は反発し合いながらも、追討から逃れる内に絆が芽生えていく…。
①『中年オヤジの逆襲アクションもの』
一般(に見える)中年オヤジが、何故か超絶能力を発揮して巨悪を滅ぼす…。そんなB級アクションが、すっかり定番になりました。近年の大ヒットでは『ジョンウィック』や『イコライザー』などのシリーズがあります。
中年オヤジの逆襲…似たような作品は、昔からありました。ただのコックが軍艦ジャック犯を抹殺する『沈黙の戦艦』や、ただの火災犯罪捜査官がコロンビアカルテルを撲滅する『コラテラルダメージ』などです。ただ…あれらの作品は、筋肉アクション止まりでした。シュワルツェネッガー・セガールのような強面筋肉達磨に、喧嘩を吹っ掛ける方が愚かというもの。そこに出てきたのが、あの『96時間』シリーズです。
②俳優リーアム・ニーソン
リュックベッソン監督、リーアム・ニーソン主演の『96時間』。何が革命的だったかと言えば、主人公の佇まいでした。評論家の宇多丸いわく「子犬のような困り顔で、く~んとショボくれる」絶妙な顔つき。そんなどこにでもいるようなオッサンなのに、いざ非常事態となるや野菜を刻むような手際で悪党をブチ殺し出す。そのギャップ・若干のサイコパスっぽさが、作品の魅力となったのです。
ジャンルを開拓したニーソンは以後、似たような映画に出ずっぱりになります。『ミッドナイトラン』『スノーロワイヤル』『ファイナルプラン』などなど…。
③『マークスマン』の印象
そういうことで、今作にも『中年オヤジの逆襲アクション』ものを期待します。配給側も
的中率100%の男。狙う!撃つ!仕留める!
なんて惹句を付けてますしね。
ところが本作…そういう雰囲気ではなかった。アクションは序盤とラストの僅か2点だけ、銃で倒すのも合計たった5人。その代わりに展開されるのは、老人と少年のロードムービー。期待したものとは違う、けれど見所はキチンとある映画でした。以下、今作の特長を述べていきます。
④視覚的説明
ゴミ邦画や漫画アニメの評で散々言いましたが、映画における説明は直接台詞ではなく、映像的に提示すべきです。今作においては、腕の入れ墨、内通者との符牒、ジム&ミゲルの感情の変化などが台詞なきままに表現されます。
情報量が多くなり幅が出る、その場の描写はあっさりだが余韻が残る、複数の意味を盛り込める…映像的な表現には様々な機能があります。ですが今作特有の機能としては、緊張感の持続でしょうか。車のナンバー、零れ落ちた地図、犬の散歩…ジムも慎重な男ではあるが、僅かづつ痕跡が残る。それを追討班のリーダー、マウリシオは拾い集め包囲網を狭めていく。緊張感を持続させる伏線が数珠繋ぎのように続いている御蔭で、全編に亘りヒリつくような空気がみなぎっているのです。
⑤カルテル描写
バカ右翼スタローンの作った『ランボー:ラストブラッド』と違い、
https://magiclazy.diarynote.jp/202007152247379167/
カルテル描写が現実的ですね!
米墨国境を越境する際は決して武器を携行せず、現地で装備人員機器をかき集める。車の登録、クレカ情報からどこを通過したのかを追跡する。国境警備兵、末端の警官など現地の協力部隊を使って、効率よく追い詰める…。
しかも上記の映像的伏線が効いているから、ご都合主義にならない。クレカ履歴のハッキングは家探しシーンが、汚職警官に呼び止められるのはナンバープレートを見られるシーンが事前に描かれているので、リアリティレベルが下がることがない。
⑥ガキとの共闘
壮年の男と子供のロードムービーと言えば、ガキはお荷物になるもの。ところが本作では、そこそこ活躍します。発砲による陽動、弾倉のイジェクトなど、中盤の訓練シーンが後半のアクションで機能する。しかも、ガキの成長物語を描くことが、ストーリー上でもう一つ機能を持っているのが憎らしかった。
⑦悪党、マウリシオ
スタローンはバカ右翼なので、マフィアを浅薄な悪党に描きました。一方の今作は、彼を「ミゲルのダークサイド」として描いたのです。ハリウッド映画において、悪役を「主人公のダークサイド」とするのは定番ですが、サイドキック側の反面教師にしたのは斬新ですね。
マウリシオは確かに、血も涙もない殺し屋です。と同時に、女性を眺める目線、勲章を大事そうにしまう仕草などで、どこか少年らしさも残されている。彼は最期、「こいつ(ミゲル)は俺と同じだ。(カルテルに入る)選択肢以外なかったんだ」とジムに語り掛けます。救済はされないけれど、悪党マウリシオの死に、一片の哀しさも湛えている。
最悪な環境に居る人間でも、広い意味での「教育」によって悪事以外を選ぶことが出来る。このテーマ性は累犯社会・分断社会となった現代アメリカで有意義なメッセージでしょう。有色人種取り合えず皆殺しにするスタローンよりは遥かに。
⑧『マークスマン』のジャンル
この映画は、ロバート・ロレンツ監督がインタビューで語るように『西部劇』です。辛い過去があり斜に構えた中年男が、初心な青年/少年に現実的でタフな生き方を教える。青年は窮地を脱し人生に意義を見出すが、その幸せの輪に中年男は入らず、独り去っていく…。致命傷を負った男が、死に様を見せずに立ち去るラストは、もろ『シェーン』『ワイルド・アパッチ』に酷似してますね。
⑨結びに
ロバート・ロレンツ監督は、巨匠イーストウッド組出身の作家。そのイーストウッドの新作(そして現代西部劇でもある)『クライ・マッチョ』が来週末公開。この機会に、二人の作品を劇場で見比べてみるのはどうでしょうか?
2500字評でした。坂のバンクを活かし「こちらからだけ見える狙撃ポイント」を見極める下りが現実的でカッコよかった。スコップを銃架に見立て、必殺の呼吸から狙撃開始するシーンも超良い。
2021年下半期映画振り返り ベスト編
2022年1月2日 映画 結構劇場で観た。
ベスト10
・ドントブリーズ2
強力接着剤、電気ケーブル、檻、犬ちゃん、麻薬組織…一度出したアイテムを、後のシーンで別の機能で活用するアクション的手際が見事。
それに前作で印象最悪だった「狂人」を贖罪させる塩梅も良いね。それなりに応援出来るが、手放しで褒められない人物。だからこそ、自己犠牲が尊いものとなる。
・オールド
https://magiclazy.diarynote.jp/202109091946084779/
粗もいっぱいある映画(僕は本来そういうの突っ込むタイプ)なんだけど、どうしようもなく惹きつけられてしまう。インパクト!って映画好きなんだ。
・空白
https://magiclazy.diarynote.jp/202109290211569226/
人物描写とストーリー展開が巧み。善性ではなく行動力と共感性のある人間の方が報われるという捌き分けも素晴らしい。
・アナザーラウンド
「中年の人生再帰映画」って、普通は何だかんだ丸く収まるジャンルなんですよ。ところが今作、決定的な後悔を一つ抱えてしまう。「人生は何時からでもやり直せる」とだけ提示するのではなく、「何時でも間違いを犯してしまう」さまも見せる。
ゆえに、ラストの"what a life"の祝祭シーンにも言いようのない哀感と充実が生まれる。真摯な人生賛歌映画でした。
・アンテベラム
社会性とエンタメ性の両立が見事。特筆すべきは、脱出ロジックだね。差別主義者は南北戦争時代の暮らしを旧套墨守して、現代テクノロジーを受け入れない(=センサー、照明、フェンス、厳重な戸締りがない)から、主人公は逃げられる。ジャンル映画的な粗が解消されると共に、「偏狭な保守派の頑迷さ」への批評にもなっている。グッド。
・JOINT
とんでもないインディーズ映画。
「演技力よりルックを重視」したキャスティングだけあって、確かに演技に難は少々ある。けれど、その素人臭さがドキュメンタリックな作風にマッチしている。おまけに、朴訥な人間が見せるくぐもった笑い方、仕事合間のじゃれ合いなど、旧来のVシネ・ヤクザ映画にはないフレッシュさもある。
大作ゴミ邦画の特徴と言えば「キャスティングに予算の大半を使って、内容ボロボロ」。今作はその対極にある。オレオレ詐欺/名簿ビジネスなどこれまで散々こすられてきた特殊詐欺題材も、きっちりリサーチされ現代版にリシェイプされている。ライティング/シェーディングなど撮影もインディーズとは思えないほどしっかりしているため、画面に安っぽさがない。
これを20代で撮るっつーのはスゲーね。央大監督は間違いなく躍進していくと思う。
・レイジングファイア
アクションの豊富さが見事。ドニー・イェン兄貴と言えばカンフーアクションだが、今作のアクションは実に多彩。床板1枚挟んだ高低差アクション、車とバイクで並走しながらの「近接格闘」(!?)、FPS視点や回り込むカメラアングルでの銃撃など、観ていて飽きない。
それで居て、ラスト15分では「HEAT」そっくりの市街地集団銃撃戦、「SPL 狼たちよ静かに死ね」と同じ特殊警棒VSナイフの殺陣など、名作たちへのオマージュも忘れない(「SPL」も今作もアクション監督は谷垣氏ゆえ似ているのは当然だが)。
汚職・圧力社会そのものは有耶無耶で終わってるのはすっきりしないが、観ている間はとにかく気持ちいい一作。
ベスト3
・燃えよ剣
原田眞人監督の演出は素晴らしいね!クソ邦画と違って台詞で説明せず、キャラクターの描き分けや心情表現を映像に託してくれる。所作・小道具・ロケ・セットどれも見事。
それに、ユーモア溢れる脚本も見事。「るろ剣最終章 the beginning」とか、藤沢周平時代劇とか、とにかくメソメソしてて鈍重なんですよ。対する今作、基本はシリアスながら随所で和やかな掛け合い、愛くるしいじゃれ合いがあって一向に飽きない。流石にシネフィルを自称する監督だけある。
・最後の決闘裁判
誇り高い武人・野心に燃える伊達男、互いに譲れない決闘………その裏で搾取される女性の惨さ。僕はおポリティカルおコレクト映画が大嫌いなんですよ。最初から男/白人/異性愛者が無能な悪人に指定されていて、女/黒人/ゲイが有能な人権派になっているから。その点今作は、1章2章でマジョリティー側の尤もな理屈が提示されているからこそ、3章で真実が明かされた時に大きな衝撃がある。(それに、見直した時にやっぱり男たちのパートにも感情移入してしまう魔力がある)。
それでいて、「世界には抗えぬシステムがあって、運命に人間は翻弄されるだけ」というリドリースコット作品に一貫するテーマがきっちり描かれている。主人公は命を賭けた決闘裁判を抜け、漸く自由を手に入れた。…その筈なのに、「決闘の勝者=男を立てた伴侶」の役割をすぐさま押し付けられ、絶望を通り越した諦めに沈んでいく…。ラストで我が子を見つめる、あの茫洋とした視線が忘れられない。
・マリグナント
大!大!大好きな映画!今年ベスト1!
ジェームズワン作品(=ゴーストハウスホラー)という先入観を見事に逆手に取ったドンデン返し!そこから展開される、クローネンバーグ的な人体変形シーン!更に畳みかける、高低差を活かし弧を描くような奇怪な虐殺&大乱闘(たっぷり2場面で!)!
上記2作のような、上品で社会性に満ちた映画ではない。それでも映画を観る喜びに満ちた作品なんですよ!残虐シーンをきっちりR18+で描いてくれたワン監督に、ただただ敬服と感謝しかない。
ベスト10
・ドントブリーズ2
強力接着剤、電気ケーブル、檻、犬ちゃん、麻薬組織…一度出したアイテムを、後のシーンで別の機能で活用するアクション的手際が見事。
それに前作で印象最悪だった「狂人」を贖罪させる塩梅も良いね。それなりに応援出来るが、手放しで褒められない人物。だからこそ、自己犠牲が尊いものとなる。
・オールド
https://magiclazy.diarynote.jp/202109091946084779/
粗もいっぱいある映画(僕は本来そういうの突っ込むタイプ)なんだけど、どうしようもなく惹きつけられてしまう。インパクト!って映画好きなんだ。
・空白
https://magiclazy.diarynote.jp/202109290211569226/
人物描写とストーリー展開が巧み。善性ではなく行動力と共感性のある人間の方が報われるという捌き分けも素晴らしい。
・アナザーラウンド
「中年の人生再帰映画」って、普通は何だかんだ丸く収まるジャンルなんですよ。ところが今作、決定的な後悔を一つ抱えてしまう。「人生は何時からでもやり直せる」とだけ提示するのではなく、「何時でも間違いを犯してしまう」さまも見せる。
ゆえに、ラストの"what a life"の祝祭シーンにも言いようのない哀感と充実が生まれる。真摯な人生賛歌映画でした。
・アンテベラム
社会性とエンタメ性の両立が見事。特筆すべきは、脱出ロジックだね。差別主義者は南北戦争時代の暮らしを旧套墨守して、現代テクノロジーを受け入れない(=センサー、照明、フェンス、厳重な戸締りがない)から、主人公は逃げられる。ジャンル映画的な粗が解消されると共に、「偏狭な保守派の頑迷さ」への批評にもなっている。グッド。
・JOINT
とんでもないインディーズ映画。
「演技力よりルックを重視」したキャスティングだけあって、確かに演技に難は少々ある。けれど、その素人臭さがドキュメンタリックな作風にマッチしている。おまけに、朴訥な人間が見せるくぐもった笑い方、仕事合間のじゃれ合いなど、旧来のVシネ・ヤクザ映画にはないフレッシュさもある。
大作ゴミ邦画の特徴と言えば「キャスティングに予算の大半を使って、内容ボロボロ」。今作はその対極にある。オレオレ詐欺/名簿ビジネスなどこれまで散々こすられてきた特殊詐欺題材も、きっちりリサーチされ現代版にリシェイプされている。ライティング/シェーディングなど撮影もインディーズとは思えないほどしっかりしているため、画面に安っぽさがない。
これを20代で撮るっつーのはスゲーね。央大監督は間違いなく躍進していくと思う。
・レイジングファイア
アクションの豊富さが見事。ドニー・イェン兄貴と言えばカンフーアクションだが、今作のアクションは実に多彩。床板1枚挟んだ高低差アクション、車とバイクで並走しながらの「近接格闘」(!?)、FPS視点や回り込むカメラアングルでの銃撃など、観ていて飽きない。
それで居て、ラスト15分では「HEAT」そっくりの市街地集団銃撃戦、「SPL 狼たちよ静かに死ね」と同じ特殊警棒VSナイフの殺陣など、名作たちへのオマージュも忘れない(「SPL」も今作もアクション監督は谷垣氏ゆえ似ているのは当然だが)。
汚職・圧力社会そのものは有耶無耶で終わってるのはすっきりしないが、観ている間はとにかく気持ちいい一作。
ベスト3
・燃えよ剣
原田眞人監督の演出は素晴らしいね!クソ邦画と違って台詞で説明せず、キャラクターの描き分けや心情表現を映像に託してくれる。所作・小道具・ロケ・セットどれも見事。
それに、ユーモア溢れる脚本も見事。「るろ剣最終章 the beginning」とか、藤沢周平時代劇とか、とにかくメソメソしてて鈍重なんですよ。対する今作、基本はシリアスながら随所で和やかな掛け合い、愛くるしいじゃれ合いがあって一向に飽きない。流石にシネフィルを自称する監督だけある。
・最後の決闘裁判
誇り高い武人・野心に燃える伊達男、互いに譲れない決闘………その裏で搾取される女性の惨さ。僕はおポリティカルおコレクト映画が大嫌いなんですよ。最初から男/白人/異性愛者が無能な悪人に指定されていて、女/黒人/ゲイが有能な人権派になっているから。その点今作は、1章2章でマジョリティー側の尤もな理屈が提示されているからこそ、3章で真実が明かされた時に大きな衝撃がある。(それに、見直した時にやっぱり男たちのパートにも感情移入してしまう魔力がある)。
それでいて、「世界には抗えぬシステムがあって、運命に人間は翻弄されるだけ」というリドリースコット作品に一貫するテーマがきっちり描かれている。主人公は命を賭けた決闘裁判を抜け、漸く自由を手に入れた。…その筈なのに、「決闘の勝者=男を立てた伴侶」の役割をすぐさま押し付けられ、絶望を通り越した諦めに沈んでいく…。ラストで我が子を見つめる、あの茫洋とした視線が忘れられない。
・マリグナント
大!大!大好きな映画!今年ベスト1!
ジェームズワン作品(=ゴーストハウスホラー)という先入観を見事に逆手に取ったドンデン返し!そこから展開される、クローネンバーグ的な人体変形シーン!更に畳みかける、高低差を活かし弧を描くような奇怪な虐殺&大乱闘(たっぷり2場面で!)!
上記2作のような、上品で社会性に満ちた映画ではない。それでも映画を観る喜びに満ちた作品なんですよ!残虐シーンをきっちりR18+で描いてくれたワン監督に、ただただ敬服と感謝しかない。
2021年映画下半期振り返り ワースト編
2021年12月29日 映画ワースト10
・モンタナの目撃者
テイラーシェリダンらしからぬ、悪役のポンコツぶり(原作あり故仕方ないのだろうが…)。世界の余白があるのは本当に良いんだがね。
・死霊館:悪魔のせいなら、無罪
https://magiclazy.diarynote.jp/202110081923275310/
史実の殺人事件を扱う手つきとして、本当に最悪だと思うわ。マンソンと差はない。
・キャンディマン
モンスターを「黒人迫害の象徴」「口伝にて受け継がれ、決して失われない」という設定にして、アーティスティックなタッチで描くのは素晴らしい。でもホラー映画として筋が取っ散らかり過ぎだわ。
・ハロウィンkills
僕は前作を「脆いからこそ怖い」と評した。
https://magiclazy.diarynote.jp/201904122232035316/
そこから180度転換して「無敵のモンスター!ギャー!」って打ち出されたのはげんなりだわ。前作のセルフパロディやったり、何も話が進んでなかったり。今作省いても3部作で話破綻しないやん。
・囚人ディリ
護送アクションと立てこもりアクションのミックス、群像劇の捌き方など、映画のレベルは相当に高い。でも銃の扱いがどうにも承服できなかった。
深夜の突発的カチコミで100人は動員出来るマフィアが誰一人銃を持ってないし、深夜+平原のセッティングでたかが拳銃1丁で30人の悪党を追い払ったり。僕は外連味でリアリティを後退させるのはアリだと思うけど、シリアスタッチな映画であるべきリアリティを無視するのは嫌いだわ。それご都合主義だもん。
・ヴェノム:レットゼアビーカーネイジ
前作と同じく「こいつら2人だから勝てた」ってアクション的理屈がねえの!ピンチを脱するのも、敵が負けるのも全部相手方の自業自得。おまけにカサディを巡る大きな物語とエディ・ヴェノムの喧嘩も全く話が重ならないし…。ただのポップコーンムービー。
・ボストン市庁舎
4時間は流石に退屈。ナレーション・音楽・テロップ・インタビューの無いドキュメンタリー自体は良いにしても、散漫なフッテージを4時間はキツイ。
ワースト3
・パンケーキを毒見する
https://magiclazy.diarynote.jp/202108270222586233/
形式と内容は違うよ。ドキュメンタリー映画という形式において今作はクソ以下。
・護られなかった者たちへ
https://magiclazy.diarynote.jp/202110272312233007/
ゴ ミ !
リアリティマジうんこで通すなら、アクションでも恋愛でもグロでも入れて?
・マトリックスレザレクションズ
本当に残念。
押井守的な快楽原則に即したガンアクションは消滅、カンフーアクションもドしょぼ、お話はマトリックス1・2のセルフパロディ止まり。
「人間側の機械センティエント」「旧都市ザイオンと新都市アイオの確執」「エージェントスミスとの共闘」など、面白くなる要素はあるのに全部投げっぱでエンド。
ウォシャウスキー兄弟(姉妹)って、兄が現場の仕切り・弟がアイデアメーカーの分担なんだって。今作は兄だけが続投というのも…納得の出来だわ。
・モンタナの目撃者
テイラーシェリダンらしからぬ、悪役のポンコツぶり(原作あり故仕方ないのだろうが…)。世界の余白があるのは本当に良いんだがね。
・死霊館:悪魔のせいなら、無罪
https://magiclazy.diarynote.jp/202110081923275310/
史実の殺人事件を扱う手つきとして、本当に最悪だと思うわ。マンソンと差はない。
・キャンディマン
モンスターを「黒人迫害の象徴」「口伝にて受け継がれ、決して失われない」という設定にして、アーティスティックなタッチで描くのは素晴らしい。でもホラー映画として筋が取っ散らかり過ぎだわ。
・ハロウィンkills
僕は前作を「脆いからこそ怖い」と評した。
https://magiclazy.diarynote.jp/201904122232035316/
そこから180度転換して「無敵のモンスター!ギャー!」って打ち出されたのはげんなりだわ。前作のセルフパロディやったり、何も話が進んでなかったり。今作省いても3部作で話破綻しないやん。
・囚人ディリ
護送アクションと立てこもりアクションのミックス、群像劇の捌き方など、映画のレベルは相当に高い。でも銃の扱いがどうにも承服できなかった。
深夜の突発的カチコミで100人は動員出来るマフィアが誰一人銃を持ってないし、深夜+平原のセッティングでたかが拳銃1丁で30人の悪党を追い払ったり。僕は外連味でリアリティを後退させるのはアリだと思うけど、シリアスタッチな映画であるべきリアリティを無視するのは嫌いだわ。それご都合主義だもん。
・ヴェノム:レットゼアビーカーネイジ
前作と同じく「こいつら2人だから勝てた」ってアクション的理屈がねえの!ピンチを脱するのも、敵が負けるのも全部相手方の自業自得。おまけにカサディを巡る大きな物語とエディ・ヴェノムの喧嘩も全く話が重ならないし…。ただのポップコーンムービー。
・ボストン市庁舎
4時間は流石に退屈。ナレーション・音楽・テロップ・インタビューの無いドキュメンタリー自体は良いにしても、散漫なフッテージを4時間はキツイ。
ワースト3
・パンケーキを毒見する
https://magiclazy.diarynote.jp/202108270222586233/
形式と内容は違うよ。ドキュメンタリー映画という形式において今作はクソ以下。
・護られなかった者たちへ
https://magiclazy.diarynote.jp/202110272312233007/
ゴ ミ !
リアリティマジうんこで通すなら、アクションでも恋愛でもグロでも入れて?
・マトリックスレザレクションズ
本当に残念。
押井守的な快楽原則に即したガンアクションは消滅、カンフーアクションもドしょぼ、お話はマトリックス1・2のセルフパロディ止まり。
「人間側の機械センティエント」「旧都市ザイオンと新都市アイオの確執」「エージェントスミスとの共闘」など、面白くなる要素はあるのに全部投げっぱでエンド。
ウォシャウスキー兄弟(姉妹)って、兄が現場の仕切り・弟がアイデアメーカーの分担なんだって。今作は兄だけが続投というのも…納得の出来だわ。