Web連載、Web同人も書くつもりだったけど100越えてるので止めました。紙単行本買ってるもの限定で。
https://magiclazy.diarynote.jp/202104052348382267/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104072042068576/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104100021328022/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104112204127920/


⑧ミステリー・サスペンス
・虚構推理
粗筋:不死と予知の化け物+知恵の巫女の探偵業
 オリジナルの「鋼人七瀬編」は九郎・琴子の能力がきちんと話に噛み合っていたけど、現在の中編連載ではぶっちゃけ必然性がないよね。そろそろ本筋動かして欲しい。
 でもgoo-paa先生の画はエロ同人の頃から好き(失礼)


・雨の日も神様と相撲を
粗筋:相撲と蛙が流行る変な街で死体遺棄事件
 虚構推理と同じ原作者のコミカライズ。
 次回最終巻ながら、イマイチ設定の必然性が分からなかった(原作者さんの後書きを読んでも分からない)。


・北北西に曇と行け
粗筋:アイスランドで日本人兄弟シリアス旅行
 話がちっとも進まないけど、紀行ものとして普通に読める。


・夢に見たあの子のために
粗筋:双子の兄弟が殺し屋の手下になってた
 三部けい先生お決まりの超能力ワンアイデア絡めたサスペンスもの。もう終わりそう。


・水たまりに浮かぶ島
粗筋:殺し屋と少年の精神が入れ替わる
 極悪人・パンピーのスイッチものって、パンピーの肉体を持った悪人側はスリラーとして成立するのに、悪人の体を持ったパンピー側の話はほんわかしがち。でも本作は速攻で闇世界堕ちすることでどちらの話も緊張感をもって読める。
 ジョン・ウー監督の「フェイス/オフ」っぽさあって大好きです。


・ミステリーと言うなかれ
粗筋:天才パーマの探偵カウンセリング
 事件本筋とは別の雑学ネタで関係者の心のケアを図るっていうとどうしても「京極堂シリーズ」を思い浮かべるんだが、こっちはテンポが非常に速い。解決ロジックが割と杜撰だったりするが、ケア部分で上手く誤魔化されるし、3~5話の中編構成でミステリ「っぽい」読み物を読めるのは満足感がある。
 漫画には不向きなガチガチ本格ロジックではなく、キャラクター性の強い探偵・刑事ものでもなく、ラジオの人生相談を聞くようなオムニバスミステリーを提示できているのは新鮮。


・中禅寺先生物怪講義録~先生が謎を解いてしまうから~
粗筋:新任の先生が芥川の幽霊な件
 京極堂スピンオフ。
 こっちもテンポの良いあっさりミステリ。個性豊かなキャラが出てくるのも京極堂シリーズの大きな魅力なので、衒学要素は減らし掛け合い要素を増やす選択もなるほど紙幅の限られる漫画では正着と言える。無限に読める。読ませて(懇願)


⑨ファンタジー(ファンタジーめ)
・ハクメイとミコチ
粗筋:リアル等身の異種族動物共生
 等身差の激しい「共生」ジャンルにおいて、(主人公たち妖精を除き)デフォルメも少なく、(昆虫もあって)グロテスクさがないのは結構特異。
 単行本後書きで必ずMTGネタがあるのはMTG界隈(の一部)で余りにも有名。


・亜人ちゃんは語りたい!
粗筋:亜人女子高校生の学校生活
 序盤は順々に新キャラ亜人が出てキャッキャやるだけだったが、亜人の生態・物理法則を科学的に考察する展開になって一段とハネた印象。


・とんがり帽子のアトリエ
粗筋:特殊な物理現象の体系を「魔法」という扱いで秘匿する体制派VS全ての禁呪を明かしたい過激派の争いに巻き込まれる少女たち
 ガチガチのハイファンタジー。矢印・直線・円・波形などの規則を複合させ、魔法陣という完成形に落とし込む下りは何度読んでも鳥肌が立つ。ディティールの細かさしかり、漫画という視覚表現を活かす発想しかり。


・くじらの子らは砂上に歌う
粗筋:全てが砂に埋まる世界で、精神力or生命力によって動く特殊能力を巡る戦い
 回想使いまくるせいで読みにくさはあるが、設定の細かさは魅力。もうすぐ終わりそう。


・魔入りました!入間くん
粗筋:人間だけど身分偽って魔界エリート学生やってます
 少年チャンピオンの現看板漫画。
 初期の「悪魔は残酷なまでに利己的」「魔界に捨てられるハメになる」「魔力がない(魔族じゃない)のを誤魔化し誤魔化し生きている」設定は連載長期化で全部飛んだ。初期はもう少しヤケクソ+シリアスなタッチだったので現在の「友情・努力・勝利」展開は食傷気味。
 けれど悪い側が少しづつ暗躍を始めているので、伏線を張る段階か。『元祖返り』編はドチャクソシビアな話にして欲しいなあ…。


・ヘテロゲニアリンギスティコ~異種族言語学入門~
粗筋:人間の言語学者が異種族の言葉を収集する旅に出る
 発話のみならず身振り・記号・文字・オブジェなど多様な形式で種族ごとの言語を表現するディティールの細かさが魅力。しかし何よりも、「言語はその民族の文化まるごとを体現している」のを盛り込んでいるのは良いなあ。恬淡とした死生観の見える吹雪ビバーク編はその白眉。
 中島敦の「光と風と夢」が好きな人はぜひ。



 時代ものと時代風ファンタジーの違いもイマイチ分からない。
https://magiclazy.diarynote.jp/202104052348382267/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104072042068576/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104100021328022/

⑥広義の時代もの
・ゴールデンカムイ
粗筋:アイヌ埋蔵金バトロワ
 サーカス編やニシン御殿編は引き延ばし感半端なかったが、脱獄辺りから漸く盛り返してきた。


・片喰と黄金
粗筋:ゴールドラッシュを目指す元農場主と従僕
 近代設定なのにやたら現代的人権意識があるのはちょっと気になるが、移民+元は中産階級の出ってことでギリ緩和出来ているか。基本ギャグタッチながら、奥歯が砕ける、耳が裂けるなどのリアルな暴力があるのは良い。


・煙と蜜
粗筋:大正軍人+箱入り娘の年の差婚約
 ハルタお馴染みの清廉激アマ歴史日常もの。絵に既視感があるけど、ハルタ作品のアシ出身なのかな?


・極東事変
粗筋:GHQ配下の不死身部隊VS終戦したけど戦争続けてェ派
 ギャンッギャンに勢いのあるバトル作画、凝りに凝ったメカ+ミリタリー描写。歴史ガン無視でも許せる熱量がある。


・アルテ
粗筋:女性宮廷画家
 昔の(今でも?)画家は超絶肉体労働なので元貴族女性ながら肉付きの良いガタイなのが好き。手元がアカギレだらけなのも水仕事なの分かってて良い。


・信長のシェフ
粗筋:天才料理人がタイムスリップ+記憶喪失で信長配下に
 大分前、原作者降板で相当叩かれたけど(↓これとか)
https://akira.diarynote.jp/201502160656264087/
個人的に原作降りて以降の方が面白いと思う。
 理由は2点。一つ目は「異能で成り上がり」ものが史実ベースである以上どこかで限界が来るところ。西村氏が離れて以降、ケンは戦争の渦中から徐々に離れ、記憶喪失を巡る自分探しに話の軸をズラしつつある。とはいえ、13巻以降も一貫して織田家ビッグネームの前田利家が出てないからその内「ケン=利家」を名乗る展開はありそう。
 もう一つは、成り上がりが過ぎるとその時代、その時代の人間を軽視することになるところ。「信長協奏曲」とかその色が強いけど、たかが現代のパンピー1人で歴史が塗り替わるとか戦国時代バカにしすぎでしょ。
  
 とはいえ、西村氏の功績は勿論あって。兎角味が賛美される料理漫画で文化・政治・歴史の知識を総動員させることで料理は説得・交渉・恫喝の材料にすらなりうるのを示したのは新境地。流石「大使閣下の料理人」の原作者。


⑦サバイバル
・ダンジョン飯
粗筋:ダンジョンで自給自足
 説明不要の面白さ。


・創世のタイガ
粗筋:ホモサピエンス軍に入ってネアンデルタール人殲滅じゃ!
 森先生はさいとうたかをや板垣恵介みたいに雑学・エピソードのディティール
の付け方が上手いから安定感ある。


・Dr. STONE
粗筋:石化光線で一旦文明がリセットされたので、石器時代から月ロケット目指す
 ジャンルありきの話だけど、「漫画表現」として現行一番面白い漫画だと思う。
 サバイバルってジャンルの基本は、「漸進」と「急落」の2つです。デフォーの「ロビンソンクルーソー」が不朽の名作となったのはこのエンタメの基本を押さえているから。漂流、左遷、文明崩壊などでゼロ資源の地点からスタートした主人公は少しづつ生産し、生産した資源で生産効率を上げ、インフレしていく。しかし天災、侵略などで危機に陥り、それを克服することで学習していく…というのが骨子。(その逆、「急進」と「漸落」がゴールディングの「蠅の王」辺り)。
 
 ところが、この漫画は2段飛ばしで上昇していくんですよ。鉱石を掘り起こす、鉄を生成する、プラスチックを作る、ゴムからタイヤを作る…とトントン拍子に。
 それを可能にするのが、ギャグデフォルメ。万能技術者、無限スタミナ、超天才、怪力キャラと、「すげーキャラが居るから何とかなる」と、デフォーが詳細に描いていた過程を清々しいまでに飛ばしていく。
 これ、漫画にしか出来ないんですよ。小説でやったらそれこそなろう系チートと蔑まれるし、アニメですら躁鬱的なアップダウンになる。でも、手塚文法を半世紀受け継いできた”MANGA”では違和感なく受け入れられる。

 だから、原作者稲垣理一郎先生の新連載「トリリオンゲーム」は正直どうかなあ…。「アイシールド21」しかり「Dr.Stone」しかり、リアリティーの低さ・ご都合主義を漫画デフォルメ・ギャグでごり押しするのが強みなので、劇画調の作画は作家性に合ってない気がするんだよなあ…。


 「歴史もの」と「時代もの」を一応分けてるけど、100%の記実文なんか読んでて面白い訳ないから創作要素がどうしても入るよね。これも全部司馬遼太郎ってヤツが悪いんだ。
https://magiclazy.diarynote.jp/202104052348382267/
https://magiclazy.diarynote.jp/202104072042068576/


④風刺ギャグ
・テコンダー朴
粗筋:列島民族(チョッパリ)は今すぐ日本列島から出ていけ!
https://magiclazy.diarynote.jp/202103042123096335/
「お前さ…シャニマスネタ出すの、反則。」


・最後のレストラン
粗筋:死の瞬間に歴史の偉人がタイムスリップし、料理で満足し元の時間軸へ帰っていくレストランの話
「スカイハイ」のような特殊な空間・超越的な存在が迎えるのではなく、現代社会+普通のコックが何とかもてなそうと四苦八苦する設定は秀逸。
 ただ、「偉人は最後に思い出の品を残す」「レギュラー偉人のジャンヌダルク、安徳天皇は未だ現世に未練がある」っていう伏線を連載長期化して以降全く転がす気がないのはちょっとなー。マンネリ気味。


・妖怪の飼育員さん
粗筋:妖怪飼育員がお騒がせ政治家・タレントを妖怪でお仕置きするぞ!
 こちらも同じく藤栄先生の作品。ただ、妖怪という何でもありファンタジー設定なので、問題解決のとんちが面白くなりようがない…。最後のレストランより後に始まったのにマンネリ度はこっちの方が上。

 もう一つ気になるのが妖怪のチョイス。石燕だって水木大先生だって、時代や社会を反映した妖怪を勝手に作ってそれが受け継がれていったんだから、登場させる妖怪を黄表紙や民話や漢籍に限定するのはナンセンスだと思うのよね(とりわけ今作は「時事風刺漫画」なのだから)。
 だから昭和の都市伝説を出したって良いし、何なら現代ネットミームのSCPなりスレンダーマンなり野獣先輩なり出したって良いよ。昭和中期を舞台にした京極堂スピンオフで「青マント」を出す志水先生の方が妖怪的なセンスは良いね。




⑤広義の歴史もの
・7人のシェイクスピア
粗筋:7人が強み持ち寄って虚像作家を演じ続ける
 ハロルド作品って才能を無条件の肯定する節があって(「RIN」や「BECK」)、それが不快さを醸しがち。一方今作はケイパー的な分担があり、なおかつ「だってシェイクスピアだから」で許せるパワーがある。


・碧いホルスの瞳
粗筋:唯一の女性ファラオ、ハトシェプストの生涯
 史実ものだから仕方ないのかもしれないが、折角魅力的なサブキャラが複数いるのに政治闘争にどう関わるのかがはっきりしない。これで次回最終巻だとあっさりし過ぎかなあ…。


・ふしぎの国のバード
粗筋:女性探検家、秘境の国ヤーパンを北上する
 イザベラバードの日本旅行記コミカライズ。実際の日誌では通訳圏従僕の伊藤は「金勘定がはっきりせず抜け目ない悪党」評価なんだが、流石にエンタメ漫画として設定を変えていて上手い。良い白人・悪い白人の二項対立でサスペンスアレンジを加えているのも物語の推進力になっていて素晴らしい。


・チェーザレ ~破壊の創造者~
粗筋:ボルジャ家の麒麟児、チェーザレの生涯
 枢機卿から還俗、イタリア統一のため権謀術数の限りを尽くしたチェーザレボルジアを描く漫画…なのだが、連載ペース遅すぎて100年かかりそう。マキャベリズムを発揮しだすのにすらあと10年は必要。
 原作監修が非常に緻密で、卒業試問の「芸術と利子とキリスト」、コンクラーベの力学構造の話はそこだけで価値がある。だからこそ完結して欲しいんだけどね…。
 チェーザレを知りたい人は塩ばあさんの「チェーザレボルジア 或いは優雅なる冷酷」か、大ドゥマの「ボルジア家」がお勧め。


・ヴィンランドサガ
粗筋:元ヴァイキング、戦塵なき理想郷を目指す
 オリエント交易編をばっさり省略して、恐らく最終章になるだろう入植篇を始めている辺り、いよいよ風呂敷を畳む段になってきた。こっちは完結が期待できる。 
 史実ではヴィンランド入植は1世紀足らずで終わる(それも戦乱ではなく資源欠乏によって)ので、それをお話のラストにどう盛り込むのかも楽しみ。


・ヴラドドラクラ
粗筋:ブラムストーカーのせいで後年フリー素材モンスターになる人
 ドラキュラってオスマン兵士串刺しがやたら有名だけど、今作はきちんとワラキア中央集権・諸侯粛清から入っているのがポイント。ヴラドは結局貴族連の追い落としで破滅していくから、この下りは大事。


・応天の門
粗筋:在原業平×菅原道真
 平安の世に起きる人災を、検非違使の剛腕と天才文章生の知恵で化け物仕立ての因縁譚に落ち着かせる時代ミステリ。お話構造としては京極先生の「巷説百物語」に似てるけど、この時代の習俗・宗教観・政治闘争などをしっかり盛り込んでおり毎話毎話面白い。そのうえ菅原道真を巡る大きな物語も進行していて、ストーリーが非常にしっかりしている。


・乙女戦争外伝
粗筋:フス戦争が東欧にもたらした余波と、中世の終わり
 半エロ漫画ながら、歴史考証とそれをエンタメに落とし込む手腕はなかなか。単行本末尾にある「西洋甲冑術を学ぶ若人より来たれ!」って宣伝写真のセンスが「キ」てるのもポイント高い。


・新九郎、奔る!
粗筋:下剋上の先駆け、北条早雲
 1巻は文字による説明に次ぐ説明で食傷気味だったが、応仁の乱が本格化する2巻、父の後を継ぎ領地経営に乗り出す3~4巻から抜群に話が面白くなってきた。ゆうきまさみ印の気の抜けたギャグもあるので、読みやすい歴史もの。


・チ。 ~地球の運動について~
粗筋:「それでも地球は動く。」
 激エモ。エモ過ぎる。
 人間が想像で生み出した天理を、科学的な観察による真理で打ち倒す漫画で言うと、沖方先生原作の「天地明察」を思い出す。
 ただ、今作が違うのは「主人公が次々と移り変わっていく大河性」にある。天動説の誤謬に気づいたものは、或る者は異端審問で、また別の者は老いで無情にも死んでいくが、真理を求める意志は受け継がれていく。
 主人公側は死んでいくのに、異端審問官はのうのうと暮らしているのも読者のヘイトを良い感じに溜めてくれる。この構造は傑作「狼の口 ~ヴォルフスムント~」に似てるかな。あの異端審問官はぜひ悲惨な最期を迎えてくれ~。

 地動説論争は「コペルニクス的転回」の言葉とは裏腹に一夜にして正誤が入れ替わるものではなかったのだけど、物語をどういう落ち着け方にするのか気になる。ニュートン、コペルニクス、ガリレオのうち誰かひとりの登場で終わるのかな。



 今回から連載漫画の紹介。
https://magiclazy.diarynote.jp/202104052348382267/

②古典コミカライズ
・薔薇王の葬列
粗筋:薔薇戦争期の権力闘争
 シェイクスピア「リチャード3世」の設定”醜悪不具”を両性具有にする発想が良い。女性、男性どちら共から懸想される少女漫画展開ながら、きちんとそれが政争の種になっていく。ただシェイクスピアの描いたような圧倒的なアクの強さがないから、主人公としてパッとしないのが難点。


・ペスト
粗筋:武漢毒吹き(アルジェリア・オラン市)
 カミュのノーベル賞作品。社会の崩壊模様そのもよりも、長引く監禁状態で人心がどう変化していくかに主眼が置かれているので、左京の「復活の日」よりも時流に沿ったコミカライズで良い。不幸なことにコロナ情勢は長引いているので、旬が過ぎるということはないしね。


・宇宙戦争
粗筋:レーザー空き缶とテラフォーミング植物が攻めてきたぞ!
 ウェルズ原作の正統派コミカライズ。個性がないとも言える。


・銀河英雄伝説
粗筋:超ローテク戦術で戦うSF大河ロマン
 フジリューの美麗だがバタ臭い画風が最大限活かされる題材だと思う。「屍鬼」は原作の雰囲気と画が全くのミスマッチだし、「かくりよがたり」はオリジナル作品で正直話が微妙…だったので久々の大当たり。「封神演義」を越えてフジリューの代表作になっていくんじゃないかな。


・アバンチュリエ ~831編~
粗筋:ルパン1世
 奇厳城以降とんと音沙汰なかったが、まさかの復活。前から5年以上空いたし出版社も変わったが、何とかルブラン原作の完全コミカライズを成し遂げて欲しい。


・戦争は女の顔をしていない
粗筋:名もなき女性ロシア兵の従軍記 
 エロ漫画の人(失礼)。
 直接的な残虐描写は一切ないと言ってよく、戦争の悲惨さは原作小説の文章表現によって提示するというなかなかに考えられた表現。小梅けいと先生らしい華憐ながら芯のある女性描写も素晴らしいし、学校図書館に置くべき道徳漫画に思う。


・図書館の大魔術師
粗筋:世界を滅ぼす文字の図書館司書成長譚
 海外の児童書コミカライズ。設定の濃さすげーんだけど、これテンポ的にお話完結出来るの?「ダレンシャン」みたく大幅省略せざるを得なくない?


③ホラー
・後遺症ラヂオ、不安の種アスタリスク
粗筋:「オチョナンさん」で検索ゥ!
 同一作者のホラーオムニバス。後遺症ラヂオは2~3巻で”おぐしさま”にまつわる連作がちょこちょこ続いたが、大きなお話が動く様子はもうなさそう…。流石にマンネリ。



 説明文の多寡がお気に入り度を示しています。



①無期限休載か打ち切り単行本未発売か完結か分からんやつ

・田辺剛 クトゥルフ作品集
ジャンル:クトゥルフ
粗筋:それぞれ
 奥行きと書き込みのある背景、彫りが深く光沢感のある人物造形、手塚的な漫画文法よりも一枚画を指向したコマ動きなど、とにかく日本人離れした感覚の書き手。バンドデシネっぽさが、寧ろクトゥルフというジャンルに合っている。
 ビームコミックスは中編連載が多くて、単行本原理主義としては刊行頻度が分からん。


・シャーリー
ジャンル:ビクトリア朝ロマン
粗筋:お堅い主人と健気メイドのほっこり話
「乙嫁語り」の作者さん。ゴローとシャーリーのコラ画像好き(年寄感)


・夜人
ジャンル:ダークファンタジー
粗筋:幽体離脱したらバケモンが見えるようになった
 Web同人「世界鬼」の頃から病みっぷりが魅力の作家さんだったので、「病気療養につき休載」の告知で裏サン更新が途絶えたのは気がかり。


・京極堂シリーズ
ジャンル:この世には不思議な事など何もないのだよ、関口君
粗筋:それぞれ
「鉄鼠の檻」で途絶えた。志水先生はコミカライズや中編ホラーで作家業を続けられていたので、何時か「塗仏の宴」で復活を…!と願っていたら斜め上の連載が始まった。詳細は次回。


・バスキュレ
ジャンル:ディストピア×ケモ
粗筋:動物種で階層の決まる世界
 高野作品は「向ヒ兎堂日誌」しかり、シックな衣装とキャラ同士の和やかな掛け合いが魅力だと思ってる。なのでゴテゴテしたデザイン+ケモケモした世界観に1巻の時点でモヤモヤを感じた。
 それに「BEASTERS」という爆弾漫画が出てきたのも時期的にね…。


・ジゼルアラン
ジャンル:イギリスロマン
粗筋:作家志望下宿人×純情天才貴族っ娘大家の探偵業
 ジゼルお嬢様が(ライアーソフト好き限定で)萌え死にしそうなキャラクター。序盤はお嬢様振り回され系のドタバタ劇だったが、どんどん陰鬱な雰囲気を帯びていき休載。辛い。


・この愛は、異端
ジャンル:エロ耽美
粗筋:最強悪魔の俺が人間の女に惚れてしまった
 「第一部完」ではあるが、アフターストーリー・設定資料のついた補遺本も出たので綺麗に完結しているでしょう。
 この作者さんは前作の「巌窟王」しかり、お話の整理力・キャラの捌き方が上手いのよね。半エロ漫画のルックながら完成度は高い作品に思う。


・ひねもすのたり日記
ジャンル:自伝
粗筋:ちばてつやの前半生を時系列に囚われず描く
 日本漫画界の至宝、ちば大先生の十数年ぶりの新作。鉄兵や松太郎と行かなくとも、「あしたのジョー」誕生秘話辺りまではお話(述懐)が続いて欲しかったなあ…。


・スマイル
ジャンル:吸血鬼もの亜種
粗筋:高校生だったけど今はバケモノです
 時期的にもろ「東京喰種」フォロワー作品だったけれど、バトルシーンは読みやすかった。裏を返せば個性がなかったのだけれど…。
 

・怒りのロードショー
ジャンル:映画ネタギャグ
粗筋:「あとキューブリック作品が入ってないのはマイナスだと思う キューブリックの良さが分からないヤツは映画を見る資格がないんだよねえ」
http://comicmcclane.web.fc2.com/roadshow/
 Web漫画の書籍化。
 映画漫画(作り手ではなくレビュー側)ってのは「木根さんのおひとりシネマ」のように浅っさい話(映画論というよりはオタク論)で茶化しギャグにするか、「邦キチ!映子さん」のように完全に既視聴層にしか分からないトークをするかの2択が多い。
 その点、本作は映画やそのジャンルに詳しくなくともちゃんとギャグ漫画として読めて、ツボにはまる映画小ネタもある。僕のようなキモオタに向いてる漫画やね!


・チラシのウラ
ジャンル:短~中編実験漫画
あらすじ:それぞれ
http://tirasimanga.web.fc2.com/
 Web漫画の書籍化。星新一的なショートショートが本当に上手い。ワンアイデアを膨らませて、行間に何とも言えぬ情感を残す。ハルタ誌で不定期に読み切りを載せられているので、第三巻が出たら間違いなく買う。



・チェンソーマン
ジャンル:バイオレンスアクション
粗筋:「マキマさんってこんな味だったんだ…」
 漫画業界って「第一部完」って形の完結多すぎません?「ファイアパンチ」と違って綺麗に終わったのは良かったですね。




続きます。 

〇目的
 予約購入した月姫リメイクが届く8/26までの操作慣れ。
 独り完結ぼっちゲーが性に合っているのでオンライン対戦・協力ゲーは手を出さない。さっくり20時間程度で終わるゲームを夏までに何本か買う予定。


〇購入予定品
・Nintendo Swtich本体 33000円
 Liteが22000円。戸外に持ち出す気はないので高性能な方。

・保護フィルム 1400円
 月姫プレイ済んだら全部売るので、綺麗に保ちたい。

・本体ケース 1500円
 同上。

・充電スタンド 1900円
 Switchのテーブルモード台。

・有線LAN~USBアダプター 2000円
 クラウドサービスゲーム、ダウンロードで安定した環境が欲しいので。

・Proコントローラーその他 7000円
 ジョイコンってダサそう(偏見)

・Nintendo Online利用券(3か月) 1000円
 門外漢としてはイマイチ理解できてない。プロバイダみたいに契約必須なもの?それとも利用券なしに任天堂 e-ショップ内で利用できるサービスもあるの?

・e-ショッププリペイドカード 9000円
 クレカでも払えるようだから、ソシャゲ課金用に使ってるプリペイドアプリを設定する予定。

・ゲーム用micro SD(64GB) 5000円
 パッケージゲームは月姫以外買わない予定なのでこれも必須。


 合計58800円。
 ATMで大金降ろして喜び勇みBicCameraに行って来ましたが、「あ、Switch在庫ないです」と言われ帰って来ましたとさ。発売4年目でまだ品薄なのか…(唖然)。
 Switch爆売れってコロナ2波の頃限定の現象だと思ってました。Amazon楽天確認してみると案の定転売ヤーが軒並み4万越えの値つけてやがるし…。
 
 モンハンライズやSwitch版apexなどの最新ソフトを今すぐやりたい訳でもないので、気長に待つことにします。
【New Historic!】ゴ ミ デ ッ キ 地 獄【MtgArena】
【New Historic!】ゴ ミ デ ッ キ 地 獄【MtgArena】
 枚数制限なし、禁止なし、最低40枚のバーリトゥードイベント。クソ環境に見えて結構メタが出来てて草。


・赤単熱烈
 白単猫の完全下位互換。

・白単猫(250枚withルールス)
 熱烈のような同名構築ながら、赤単ティボ計への耐性がある。猫が絆魂を持っているため、ウラモグとのすれ違いダメージレースが成立(ライブラリーアウトは250構築で無効化)。硬直すればいずれ猫側の勝ちになる。

・赤単ティボ計
 脳死デック。デイリー用。

・多色PWコン
  淫夢くん、軍団の最期、囲い、オーコ、ギデオン(青パクト2枚くらい)で構築されたデッキ。理屈では全デッキに対応出来るが引きムラ+色事故率高し。

・黒単デスシャドー(withルールス)
 死の影、軍団の最期、思考囲いの3種で構成。ティボ計に囲い、アグロに軍団の最期と隙がなく、概ね多色PWコンの上位デッキの印象。



 後は僕のお勧め。

・赤単根本ティボ計
 理論上2Tキル。通常のティボ計デッキより石とぐろ・計略を減らし極限までスルタイ根本を増やしヒット率を高めたデッキ。この構築は手札のスルタイ根本=本来不要牌となるパーツを利用できるのがミソ。
 全知+ニクシリス+120枚ドローと分けられれば相手は全知+ニクシリスを選ばざるを得ないため、手札の根本→120枚ドロー+願いのフェイ+@と持ってきて最終的にニクシリス死させる。
 
 ただ「時間切れ」という糞しょうもない負け筋があるのが明確な欠点。手札に根本がない場合は7マナ瞬唱+ネクサスルート、ティボ計の追放でニクシリスが飛んだ場合は願いのフェイ経由でリカバーは出来るが、操作に手間取る自滅はどうしようもない。
 他のデッキと違い250枚構築にする積極的理由(1~2挿しカードにヒットする確率を極小化させる必要性)があるため、妥協した枚数にも出来ない。


・青白猫(withルールス)
 土地80猫120翻弄50。囲いがない分ティボルト相手に後手でイカれるリスクはあるが、デッキパワー安定感クソゲー性どれを取っても間違いなく最強。アグロには同名カード、黒には軍団の最期、ティボルトには計略指定。猫の絆魂の御蔭で、アグロに後手取ってもメドリングメイジが間に合うのがデカい。




 ということで最強デッキはアゾリウス猫という結論でした。…やっぱりクソ環境じゃないか!
 



サ(ry
https://www.mtgsalvation.com/

・Witherbloom Command:2つ選ぶ「対象山札3枚削り自墓地から土地1枚回収」「2マナ以下の非土地・非生物対象パーマネント破壊」「対象-3/-1」「2点ドレイン」
 命令サイクルでは唯一強い。小粒除去、コントロールの狼柳・青お告げ・秘本割り、ドレインに加え根囲いで最低限のアドも取れる。

・他命令サイクル
 2~3マナ圏は出来事、4~5マナは英雄譚がある環境なのに、Magecraftシナジーがあるとはいえ非パーマネントのアド源を使う気にはならんよなあ。

・Shadrix Silverquill:飛行2段攻撃、自戦闘開始時に3モードの内違うもの1つづつを互いのプレイヤーで誘発させる「2/1飛行生成」「1ドロー1ルーズ」「自生物全体に+1/+1ばらまき」
 ミッドレンジでは鬼強そう(組めればね)。

・Rowan, Scholar of Sparks/Will, Scholar of Frost:
L2、常在:スペル①軽減、+1相手に1点(3ドローしていたら3点)、ー4:「スペル唱えるたび②払うとコピーする」紋章
/L4、常在:スペル①軽減、次自ターンまで対象0/2、ー3:2ドロー、ー7:7個内に居る獣もどき
 このカードは弱いと思うけど、色の違う両面カードは未来ある。ティボと違ってマナがかけ離れていないのも良い。

・Kasmina, Enigma Sage:L2、どの自PWもこのカードの起動能力を得る
+2:占術2、-x:x/xトークン生成、ー8「これと色を共有するスペルをサーチし唱える」
 これが強いってイゼ速マジ?ムーヤンリン知らないの?

・Professor Onyx:L5、Magecraft2ドレイン、
+1:トップ3枚から1枚引いて1ルーズ、ー3:相手は最大サイズ生物生贄、ー8:相手に「1ディスor3ルーズ」を7回強制
 スルタイ根本のティボ枠で。ティボとの違いとしては①束縛2章経由せず手札から出せる②ヨーリオンでブリンク出来る③奥義が即死級なのでヴォリンクレックスと一緒に出せる…の3点か。

・Professor of Symbology:ETBでlearn(サイドからlesson1枚サーチorルーター)
 BO1を面白くするカードはもっと刷れ。スポイラー見る感じlessonはどれも弱いけど、アド取れるのはよろし。

・Pest Summoning:lesson、以下から1つ「Xマナ以下のPWリアニ」「対象PWから2X分忠誠値減らす」
 Lesson。

・Quandrix Apprentice:Magecraft:トップ3枚から土地1枚手札へ
 弟子サイクルでは簡単にアドを取れる。出来事辺りと上手く組めないかな。

・SOIランド再録
 バトランあった時期でさえクッソ弱かったのによく再録できたな??トライオーム両面土地がある間はまず使わん。

・Introduction to Prophecy:3マナ定業lesson
 lesson。

・Plargg, Dean of Chaos/Augusta, Dean of Order
Tルーター、4R,T:トップから非土地非伝説の3マナ以下のカードまくれるまで公開し唱えてよい
/他自タップ生物は+1/+0、他自アンタップ生物は+0/+1、アタック時全生物を起こし好きなだけタップして良い
 色々書いてあるけど、基本はアグロのロードもどきか。
https://demonition.com/blog-entry-86095.html
 2021/8/26になるそうですね。

以下雑感

・元祖月姫、Fateと比べると流石に上だけど、キャラの塗りが魔法使いの夜から若干退化してない…?(元祖月姫に寄せただけだと思うけど)
・前編はアルクルート、シエルルートの2ルート収録。…前後編っすか!??後編発売がまた10年飛ぶとかないよなあ!??
・第一報ではSwitchのみだったが、switchで現物版、PS4でDL版発売とのこと。両方で100pの設定資料集が付くって聞くと定価8800円でも安く感じる不思議!(訓練された型月厨)
・CERO・Z指定(とはいえエロ方面ではない)
・パケ版は3/31(水)10:00予約開始。電気屋に行って「月姫 アピースオブグラスムーン1つ予約(ニチャァ)」は陰キャには辛いので、型月公式通販での10時予約合戦に僕も参加します。





Historic Shakeup:2週目
Historic Shakeup:2週目
Historic Shakeup:2週目
 更に禁止カードが追加され、中途半端に除去やハンデスの入った雑デッキが大量に増えた
→生物で始動するパラドックスコンボは割を食ってると感じ断念。代わりに生物に頼らないコントロール方向のデッキを模索した(但しぼんやりデッキは断じて使わない)



①スルタイ根本
 ヒストリックなら2マナ加速が12使えるので流石に強い。
 ヒストリックにしかないサーチとしてはヴォリンクレックス+リリアナ。奥義が即使えるので相手だけカタクリズム状態に。虐殺少女もアグロ相手に1枚混ぜておくと大変強い。盤面全滅させたうえで4/4威迫+@が残る。
 ヒストリックだと中マナ圏も沢山積める。土地を無限に伸ばせるムルダヤ、世界樹サーチ出来るゴロスの2種。


②霊気池
 めくり先としてはタイムワープ4枚。ウギン4積みやウラモグと違って素キャストが可能で、攻守どちらにも使えるカード。決定力自体はそこまでないが、最終的にウギンで飛ばしカーンでギフトorプラ天で勝つ。かなりコントロールに近い形。

 …ただ、デッキがスタンレベルなのよね。蓄霊もつむじ風も弱すぎる。赤のカードが全部弱い(チャンドラも正直微妙)なので、後述のサーチカードを積んだバントカラーの方が良いと思う。流石にデッキ的に4T霊気池しないと話にならない。


③白単モニュメント
 栄光の探索霊気池を考えていった結果、「忘れられた碑の方が良いな…」と思いモニュメントにシフト。モニュメントの他に平地、カーン、デカウギン(ちびウギンをサーチはないかな…?)、ウラモグとシルバーバレット先は多様。特にウラモグの実質枚数を増やせるのは嬉しいね。

 前環境と違って2Tアクションを16枚取れるようになったのは本当にデカい。禁止指定されている守護像の代わりに冷鉄の心臓積んでるけど、御蔭で白マナ源が16取れるようになりダブシンも安定して捻出できるようになった。同じく2マナ圏扱いの予顕もそこそこ。ドゥームスカールの他にXXW天使もマナを大量捻出するコンセプトにマッチ。
 突発企画。推定所要時間、積んだ理由の可視化を試みてみる。

・異形コレクション蠱惑の本 井上雅彦監修
残1時間
 読み終わりたくねえよ…。毎週発刊して?

・21世紀の資本 トマピケティ
残3時間
 映画原作。読みやすい本なんだけど如何せん量がね…。

・火星年代記 レイブラッドベリ 
推定:6時間
 世界で3番目に尊敬してる作家、ブラッドベリの代表長編。ブラッドベリの短編は詩情とノスタルジーに溢れていてどれも好きなんだが、長編は設定がふんわりしていてどうも好かん。

・珈琲城のキネマと事件 井上雅彦
推定:3時間
 異形コレクション再開につき購入。まあさっくり読める量。

・神話の力 ジョーゼフキャンベルほか
推定:4時間
 ハリウッド映画の英雄譚分析で最も有名なキャンベル。対談本なんで、これもさっくり読める。

・身分帳 佐木隆三
推定:5時間
 映画原案本。森村誠一好きなのでとっつきやすそうな文体。

・宗教的経験の諸相 ウィリアムジェイムズ
推定:12時間
 ジェームズガン監督の出世作「スーパー!」の精神的元ネタ。ジェイムズの代表作「プラグマティズム」はちんぷんかんぷんだったから、こっちの哲学本も手が出づらい。

・眩談、鬼談、幽談、冥談、厭な小説 京極夏彦
推定:4時間×3、5時間
 日本で一番敬愛している作家、京極先生の短編集。京極作品で時代小説は葦編三絶するほど好きなんだけど、現代小説はどうもなあ…。

・Another 2001 綾辻行人
推定:5時間
 アニメから入って、セルフスピンオフも読破済み。ハードカバー800pだけど、文字が大きいのであっさり読めそう。

・重力の虹 トマスピンチョン
推定:70時間
 ハードカバー2段組文字ぎっしり、おまけに内容がSFドグラマグラ。重い。

・The Complete Little Women  Louisa May Alcott
推定:170時間
 映画原作。
 アマゾンで原書注文するときに「550pか~。いけるかなー」と思いポチったが、実物はA3サイズに文字びっしり。1pあたりの文字量はpenguin classicsの更に3倍近くあると思う。ジャックロンドンの原書もこんな感じだったし、全集は覚悟して取り組まないといかんね。




概算としては296時間か…。よし、1年間は本買うの絶対に止めよう!
脳が腐る稚拙難解ホラー『樹海村』を大いにこき下ろす
粗筋 天沢鳴と妹の響、鳴の恋人の鷲尾真二郎、新婚の阿久津輝と美優は幼馴染の5人組。輝・美優の新居地階から発見された謎の箱によって、一人づつ怪事に見舞われていく。ネットの噂では「コトリバコ」と称されるそれは、樹海巡視員出口の言によると『棄民され樹海で寄り集まった者たちが生み出した呪具』とのこと。
 一人残った響は呪いを森に返すため、箱を伴い富士樹海へと分け入っていく…。


 酷評はストーリーを追いがてらツッコミを入れるスタイルが常なんだけど、今回は要素ごとのあげつらいになります。だって粗筋追っていっても脈絡が繋がらねえんだもん!気になったそこのキミ!ロングラン公開しているので自分の目で確かめに逝け!!


①演出で場面を繋げない
 ワンカットものを除き、映画はカットで場面を跨ぎます。そのため、台詞の流れなり、視覚的演出で承前するものです。ところが今作にはそれがない。例を上げましょう。

 前半、阿久津美優が呪いによって流産に見舞われます。ここに必要なのは「妊
娠している事実」「事故or体調急変」の2つですよね?引っ越し先の本棚に妊婦ハウツー本や姓名判断の本を並べたり、ベビーベッドを置けば妊婦と分かる。そしてその後に腹部レントゲンや手術台横の掻把器具を映せば、間接的に流産も示せる。
 ところが今作は一味違う。妊娠は引っ越し段ボールの「オムツ」の文字と「お母さんになるんだから」の台詞、流産に至っては響が赤ん坊の幻聴を聞く→「美優さんが…」と呟く→病院ベッドに横たわる美優→泣き崩れる輝…の流れで示される。???
 先ず、美優役の女優がモデル体型な以上、妊娠初期にしか見えない(=オムツが不必要な時期のため、妊娠を示すアイテムとして不適)。
 加え、事故に遭うor突然お腹を抱えてしゃがむなどの妊婦への危険を匂わす演出が一切ないため、これが流産に限定した描写とはとても思えない。

 もう一つ例を挙げます。響がファンだった霊能youtuberが配信中に失踪。それを受け視聴者がskype部屋を立てて話し合う。そこで上述した幻聴を聞く場面があるんですが、そこから数分後、突然樹海凸オフ会に場面が飛ぶんですね。???
 前のskypeシーンでOFF会を開く旨を雑談の中に紛れ込ませたり、或いはチャット欄に「来週9時に青木ヶ原入り口集合!」の文字と共に地図URLが添付された画面を映したりがない。

 一事が万事この調子で、起承転結の「承」「転」が抜けたエピソードが連続する。そのために登場人物が突然ワープするか意識が飛んでるようにしか見えないんすよ!!


②霊能力設定
 同時期に公開された『さんかく窓の外は夜』しかり、霊能力の設定がふわっとし過ぎです。
 のっけから響はメンヘラ不思議ガール(パンフ曰くシャーマン体質)として示されるため、「ああこの子は霊能者なのか」と観客は思う。ところが、中盤で主役が鳴にチェンジした途端、彼女も突然霊的感応力を示し始める。
 加え、霊能力で出来ること何の理由づけもないまま広がり出す。始めは呪物察知、霊視だけだった筈が、中盤では姉妹間のテレパシーに。ラストバトルに至っては異界に思念体飛ばしますからね。『ヴァンパイアハンターD』かな?
 

③怪奇:リアリティーレベル
 コトリバコが起こす事態がどんどん物理攻撃・範囲攻撃になっていきます。発端部では事故死誘発や幻覚・幻聴だったものが、中盤以降では自殺精神攻撃へ。ラストバトルに至っては『ベルセルク』の蝕空間→口寄せ・穢土転生→木遁口寄せ・樹海人間を発動する始末。

 一介のホラーファンとしてはね、怪奇インフレ即駄作とは言いませんよ。でも、映像的な理屈づけが欲しい。怪奇そのもの以外の描写で、事態が進行していると示せば納得出来るんですよ。
 皆大好き『ハムナプトラ』では、悪魔イムホテップは犠牲者の肉体を奪う度パワーアップしていく。そのため復活直後は乾燥しきったミイラだった体も皮膚をまとい肉をつけ、最終的には完全な姿となる。
 或いは、実話系怪談ではどうか。天井の染みが夜ごと大きくなり、遂には真っ黒に腐食した天井板から黒髪の女がずり下がる…ってのはお決まりのパターンです。

 かようにして、コトリバコがパワーアップしているという描写を何故採れなかったのか。(原作の2chコピペに倣うなら)初お目見えの時は両手に乗るくらいの、綺麗な寄木細工にすれば良いんですよ。それなら、響だけはそれに嫌悪感を抱くにせよ、周り4人は寧ろ気に入るベタな展開が作れる(美優が「可愛いからインテリアにしよ~」と持ち帰ったりすれば、彼女が最初の犠牲者になる理由づけにもなる)。
 それが、犠牲者が一人つづ出るたび、徐々に変貌すれば良いんですよ。赤くどす黒く変色し、隆起し模様が浮かんで、大きさも増していく。ビジュアルで反復と変化を示せれば、怪奇現象の亢進も吞み込めた筈なのに。


④怪奇:物語の推進力
『犬鳴村』の時も言ったんすけど↓
https://magiclazy.diarynote.jp/202102061759561963/
超常系ホラー映画で物語の推進力を複数設けるの止めません?
 何でこの5人組は呪われてるんですかね?樹海の近く(車で数分程度の距離)に住んでいるからなのか?コトリバコを見つけたからなのか?鳴・響が10年前に樹海に入ったからなのか?姉妹の母親、琴音が原因なのか?一つに絞れや!
 設定がいい加減なせいで因果関係が理に落ちない。因果関係が見えてこない以上解呪方法も見えて来ず、異変に気付いて以降の行動にも物語上の意味が生まれえない。


⑤物語の推進力:無駄な人数の多さ
 物語の推進力に関わる部分ですが、人間関係が錯綜し過ぎです。見やすく簡略化しましょう。
 5人組にそれぞれ家族があり、樹海巡視員出口が関わり、響には心霊youtuber番組の繋がりがあり…と、メインキャストだけで30人近く居ます。そらお話が取っ散らかるに決まってるわな!群像劇を捌く技量がないなら減らせ!主人公一行5人に地元の物知り爺、後は霊能者一人の計7人で話回るから!


⑥伏線にすらなっていない
 ぼかぁ後付け説明映画って死ぬほど嫌いなんですけど、 
https://magiclazy.diarynote.jp/202002282300477629/
少なくとも「前半部で抱いた謎・違和感を解消する」機能は果たせるじゃないですか。ところが本作、謎の自転車操業が起きるんですね。いやーこれには参った!

 例えばこんな場面。真二郎の寺に放火した罪で響は逮捕。統合失調症として精神病院送りになるんですが、後々コトリバコを消滅させようと火を点けたことが明らかになります。これ、冷静に考えればおかしくて。
 前半部では「呪いで精神に異常を来たす」ことが示されているワケだから、当然観客は「響も狂ったんだなあ…」と思う筈。ところが後で「響は正気だった」と示される。なら今度は「何で寺に火を放ったの?」って疑問が湧きますよね?
 「寺に呪いが広がり切ったので、全部を灰にすべきだった」とか、「火でないと滅せない」とかロジックがないと、殺人に次ぐ重罪をするだけの理由づけにならないじゃないですか?

 或いは天沢家の過去にまつわる話。姉妹は13年前、自分たちを連れ樹海で無理心中を図ろうとした母、琴音に複雑な感情を抱いていますが、実は「コトリバコを樹海に戻すための決死行だった」と明かされる。
 ならさぁ!!何で4,5歳のガキ2人連れで草深い林野に分け入るんですか???二人に憑いた穢れを祓う儀式を道々行ったとか、肯定できるロジックあります?


⑦褒めポイント
 『犬鳴村』が何ひとつ褒めようのないクズ映画だったのに比べ、今作は好意的に観れる部分もあります。先ずはホラージャンルの小ネタを仕込んでいるところ。
 パンフにある通り、主役が物語の中途で入れ替わるのはヒッチコックの『サイコ』。冒頭での「若い男女が森の一軒家で呪いのアイテムを見つける」展開は、もろに『死霊のはらわた』でしょう。
 マニアックなところでは、後半の樹海結界・蝕での枝木の影絵+樹木人間描写。あれは恐らく、黒澤清監督のホラードラマ『木霊』のオマージュですね。黒澤清は今作の監督、清水崇の師匠に当たる方です。
 
 他には、樹木人間の出るシーンでは特殊メイクとCGをシームレスに連動させた画になっていて(メジャー邦画にしては)見ごたえがあった。『犬鳴村』の「ぼろ布はっつけたエキストラの皆さん」っぽさは無くなっていて進歩!


⑧結びに
 何故『樹海村』はクソなのか。『ラビットホラー3D』辺りからグラン・ギニョルっぽさを取り入れ始めた清水崇監督が悪いのか。『貞子3D2』『妖怪人間ベラ』などクソ映画常連の主脚本、保坂氏が悪いのか。いや、戦犯は他に居た!!
 企画の上の方達です。本作、まっさらの企画立ち上げから公開までに、おおよそ10か月くらいなんだそうです。低予算映画なら兎も角、こんな地獄の突貫工事でまともな作品が出来るワケないじゃないですか。

「あ、清水ちャ~ん?ナキイヌ評判良いみたいじゃな~い?それでさ、また新しいホラー作ってよ。今度はさ、ノベライズと一緒にコミカライズも事前に転がしておいてさ。年明けからテレビとシネコンで予告もバンバン打って!公開直前にはナキイヌも派手に地上波で放送してさ。
 え、公開時期?そんなん来年2月で良いっしょ!予算もバーンと増やすし面接もリモートでちゃちゃっと済むじゃんwwそれじゃリスケよろぴく!」


って感じの、ハラワタの腐った電通マインドがビンビンに伝わるんですよ!(個人の感想です)

 ともあれ、今作の興収も東宝&電通のマーケティング戦略のおかげで上々。本筋に一切絡まない『犬鳴村』のガキ&youtuberを出しているように、「村シリーズ」として恒例化(ひょっとしたらユニバース化?)まで目論んでいるのでしょうか。5年後あたりでは『犬鳴村VS樹海村VS原発村』なんて出てたりして…。

 そんなんだから、Jホラーは死んだんだよ。






 はい、5千字評でした。
 電通名言「偏差値40にも理解できるものが『普通』だ」を思い出す、偏差値20の僕には理解の及ばない映画でした。
Historic Shakeup:ティムールパラドックス装置
 増えたカードは2種。

 青緑両面は貴重な青・緑カウントを増やすカード。
 
 コンボデッキとしての質を高めてくれたのはビルギ。こいつの強みとしては
・アンバーのマナ源
・疑似キナン
・裏面が(ほぼ)無限コンボの要。カーン→聖域の門で無限マナが成立した後は場の生物を全部戻して裏面ハーンフェルの起動コストに充てられる
・雑ビート要員だった相棒ジェガンサもハーンフェルの起動1回分の保険になる
・キナン・エムリーと違って複数引いても腐らない
こんなところか。ウーロ+タミヨウ型は無限がエムリーしかなくてコンボデッキとしての精度が低かったが、漸くまともな無限コンボとして成立出来るかな?


追記:アンバーの信頼度が増したからマナクリ土地はバーラゲドの復活にしても良いかな。

今年マイベストの『素晴らしき世界』評はこちら↓
https://magiclazy.diarynote.jp/202103100151575242/



 入院前後の不要外出禁止で劇場映画ストックが貯まり過ぎた。何かお勧め映画ありますかね?
 以下が興味のある作品リスト



・花束みたいな恋をした
 絶賛しか聞かず、実際にロングラン+興収上位をキープしている。レビュー読む感じリンクレイターの「ビフォア」シリーズや「ブルーバレンタイン」のような、熱愛からやがて冷めていくまでの過程全部が描かれてるらしいね。中高生がターゲットの激アマちゅっちゅ恋愛映画はクッッッッソ嫌いなんだが、こういうのは僕でも楽しめそう。

樹海村
 低知能ネアンデル短文を除き、マジで酷評しかない。ホラーって所詮キワモノジャンルなんだから、エクストリーム表現やツッコミ処、出演アイドル等どこかを褒める傾向があるのにこの反応なのか…。

・ビバリウム 
 予告見る感じでは『ステップフォードの妻たち』のような均質性社会ホラーなのかな?アート映画枠。

・ラーヤと龍の王国
 5つの氏族と龍が居る世界ってこれ実質タルキールでは?
 ただ映画のルックが「カンフーパンダ」+「アナ雪」+「ネバ―エンディングストーリー」ってコンパチ感があってあんま好かん。

・シンエヴァ完 
 全く期待してない。
 新劇序・破ってTV版のうじうじ私小説感をとっぱらったところが長所だったと思うんですよ。それがQでガイナ解体&スタジオカラー+トリガー離反を描いて来られて呆然。
 「海獣の子供」とか「この世界の片隅に」のような発狂作画なら何年待たされても許せるんだけど、そういう手間暇を愛でる映画でもなさそうだしなあ…。トリガーがコンスタントに正統派エンタメを送り出してるのに、カラーはエヴァ以外に下請け仕事しかしてないのもなんか…。




社会派映画の傑作『素晴らしき世界』を只管褒めちぎる
粗筋 殺人罪で13年服役した元ヤクザ、三上正夫は幼い頃に離別した母を探すべく、テレビ局に「身分帳」(服役囚の生い立ち、罪状を詳細に記した記録)を送る。雇われディレクターの津乃田は仕事のインスピレーションを得るべく三上の取材を開始。だが三上は周りとの衝突を繰り返し、次第に社会から孤立していく…。




 はい、今年ベスト来ました。観に行きましょう(結論)
…で終わらせるのもアレなんで、絶賛評をつらつら書いていきます。一つもケチつけないから、酷評期待しないでね?


①作品概説
 ルポや社会派小説で知られる佐木隆三のノンフィクション小説『身分帳』を原作に、西川美和監督が映画化。西川女史はオリジナル脚本の作品を監督・脚本兼任してきたが、本作が初の原作ものとなる。
 師匠の是枝裕和に似て抜群の演出で知られ、デビュー作から一貫して国内外で評価されてきた監督。今作もまた海外の賞を獲得している。


②脚本面
 話の作りがものっそい上手い!!先ずはこれ。
 全編凡そ120分、大きく分けて3幕構成と呼べる作りになっています。出所後の三上が社会復帰しようとする第一幕、生来の直情径行で周囲と衝突し転落していく第二幕、改心し社会復帰を果たす第三幕ですね。
 粗筋だけ見ると堅苦しい意識高い系に思えるじゃないですか?全くそんなことはないんです!!作品のトーンがひと幕ごとに推移していくため、飽きが来ることがない。第一幕は貧困問題が主ですが、三上と津乃田の交流が進むうちドキュメンタリースリラーの様相を呈してくる。これが第二幕ではアウトロー逃避行ものに変わり、第三幕ではヒューマンドラマに着地するといった具合に。

 実は第三幕のその先に、観客の反応も真っ二つになっている展開があります。これについてはストーリー解説が必須のため、後述します。


③演技演出面
 これも文句なし。是枝組だけあって、無粋な説明台詞は出てこない。津乃田が上司に抱く恋情、庄司夫妻の身元引受に対する微妙な温度差、三上が逃げ込む先の下稲葉組が漂わす虚勢と疲れ…そして何より役所広司演じる三上の存在感。語り切らず、だが端々まで手が込んでいる御蔭で世界の広がりが感じられる。
 
 論理的な伏線回収ではないが、僕が映画に求める要素「反復と変化」が随所にみられるのも大変良い。主治医の態度、教習所、朝餉とカップ麺、出稼ぎ外国人、三上宅の集い…。何気なく流れていくエピソードの対比の中に、三上の転落や成長が活写されています。


④第一幕:脱貧困
 それでは話を追いながら、各特長を見ていきましょう。
  第一幕は、出所後の三上が社会復帰に挑むも挫けていく姿が描かれます。ここが面白いのは、「前科者?怖いじゃん」という類の安易な差別悲劇ではなく「社会システム上貧困から抜け出せない」と提示できているところ。
 三上は少年院・刑務所で縫製・木工の技能を取得したが今時そんな仕事はない。心臓病で重い肉体労働も出来ないため運送業に活路を見出すが、免許は服役中に失効。警察署に届け出に向かうも、一度失効したからには技能試験を経ての再取得が必要になり多額の研修費用が必要になる。蓄財などある筈もなく、おまけにケースワーカーには「元反社」ということから生活保護に難色を示され…とケチが付き続けていく。

 ネアリズモの古典『自転車泥棒』の時代から見える通り、貧困を抜け出すには先ず元手が必要なのです。『自転車泥棒』では自転車、今作では免許証であるように。免許を得るには研修費用が要り、研修費用を得るための短期バイトが、短期バイトには携帯電話や住居が、それには経歴や身元引受が…と前提が無限に積み重なる。
 貧困を抜け出す、その最初の足掛かりすら見えないからこそ再犯社会になるのではないか。劇映画ならではの感情移入で、前科者の貧困ぶりが提示されます。


⑤第二幕:自己責任と環境の狭間で
 前節では社会システムとしての貧困を上げました。しかし、今作はそれだけに話を落ち着けない。西川監督はインタビューの中で
「…このお話の面白さは主人公が罪もないのに酷い目にばかり遭う、というものではなく、酷い目に遭うのはそれだけこの人にも問題があるし、社会や周囲の人々も残酷なばかりではなく、時に手を差し伸べてくれて捨てたもんじゃない、ということを両面描いているところだと思うんです。そこが佐木さんのフェアなところですよね…」

と語っている。僕個人もこれには全面同意です。犯罪者の貧困を描いた邦画で近年評価の高いものと言えば、パルムドールを取った是枝監督の『万引き家族』しかり、或いは今年初頭の大作『ヤクザと家族』しかり、どうにもセンチメンタルが過ぎる。社会の被害者なのだという意識で止まっている(ぶっちゃけイデオロギー臭が…)。

 対照的な作品として、以前も紹介した『フロリダプロジェクト』という映画があります。
https://magiclazy.diarynote.jp/201812312240049169/
この映画もそして今作も、社会と個人両面をフラットに描いています。『フロリダプロジェクト』では、安モーテルの住民は懸命に足掻いていました。何とか蓄財し転居していく者、女給職とフードバンクで最低限は満ち足りた者…。行動の違いが、最終的には明暗を分けていった。
 翻って今作はどうか。三上には常に選択肢が与えられていたんですね。周囲の助言という形で。ケースワーカー、スーパーの店長、身元引受人…しかし三上は彼らの言葉を拒絶し、極道者の生き方を意固地に貫くがままに九州まで流れ着く。しかし最後には兄弟分のご内儀が残した言葉によって改心し、東京へと舞い戻っていきます。


⑥第三幕:再出発
 過去への未練を断ち切った三上は、新しい暮らしを営み始めます。当面の生活費を工面するために、特別採用枠のある介護施設で働き出す。三上が定収入を得たことに感じ入ったスーパー店長、松本は出世払いの形で祝儀を出す。それを身元引受人に電話すると、「手元に金を置いておくと生活保護要件から外れる。さっさと免許センターに払い込め」と運用の助言を受ける。これならいずれ正業の運転手に…と全てが好転していきます。

 社会参加を阻んでいた幾重の障害を、今度は一つづつ解決していく。主体性を持って働きかければ、周りもそれに応えてくれる。社会を変えることは出来なくとも、手の届く範囲の居心地は良く出来る…冷酷な自己責任論にも、無力感と憎悪に満ちた環境論にも走らない見事な着地ではないでしょうか。

 …と、これで終わるなら綺麗なんですよ。でも、第3幕の続きがあるんすよ意地悪だなー!!!!


⑦再出発のその先
 三上の更生祝いの席、身元引受人の庄司は語ります。「これはゴールではなく出発なんだ。社会に出たら受け流していけ。そうやって自衛しなければ身が持たない」。果たしてその言葉通りに、介護施設では過酷な現実が待ち受けていました。
 
 ある日、三上は同僚二人が知的障害を持つ施設職員を虐めている姿を見ました。これまでの三上なら、突発的な義憤に駆られ叩きのめしていたところ。しかし失職を恐れる今の彼は、歯を食いしばり観て見ぬふりをします。(ここが憎いのは、虐められる側があわや死亡事故という業務上の過失を犯していたこと。虐めを正当化するつもりはないが、100%の善人とも言えない)。
 適度にガス抜きし周りに合わせられる「まともな人」を演じるべく、その場をやり過ごす三上。しかし彼はその晩に息を引き取り、残された人間は茫然と立ち尽くす。カメラがゆっくり上がり晴天に「素晴らしき世界」と映り終幕を迎えます。
 

⑧ラストの意図
 この「蛇足」部分はなかなかに難解です。一つには、原作小説のモデルとなった現実と重ねる部分があったのではないでしょうか。原作『身分帳』では主人公山川は希望を持って福岡に向かうところで話が終わります。しかし補遺となる続編『行路病死人』では、モデルとなった実在の犯罪者田村義明と原作者佐木隆三のその後の交流が描かれます。田村は結局、転居後半年で病死。映像化を待たずしての最期だったそうです。

 もう一つは僕の妄想ですが、三上は自殺したという説です。介護施設からの帰り道、三上に元妻からの電話が来ます。「また貴方に会いたいわ。娘と3人で」と。しかしそこの音質が歪なこと、会話の流れが余りに不自然なこと(自分は兎も角無関係の我が子を殺人犯と同席させるか?)、そして何より耳に充てたスマホの画面がブラックアウトしていること…から、これは三上の妄想だったのでしょう。振り切った筈の過去に、また縋ろうとしてしまった。
 三上は主体的に貧困から脱出していける。しかしその主体性を(知的・精神障害など生得的に)持てない人も居る。「まとも」で居続けるには、自分の更に下に居る人を踏みつけ続けなければいけない。それに彼の心は耐え切れなくなり、嵐吹き込む窓を閉めることなく眠りについた…。
 前科者に限定せず、より広い範囲(インタビューで監督が言うところの”loser”)の問題提起を、監督はこのラストに込めているのではないでしょうか。


⑨結びに
『素晴らしき世界』は原作からお話を現代に移し替え、各エピソードも改変・脚色されています。しかし原作のエッセンスは残し、また上述してきたように映画的な魅力に溢れた傑作です。
 原作『身分帳』は長らく絶版でしたが、このたびの映画化に合わせ再版。新装版には西川監督も文章を寄せています。
 観てから読むか、読んでから観るか。どちらも媒体特性に合った傑作なので、ぜひこの機会に触れてみてね!!!







 はい、4千字評でした。シャバ明け(意味深)1発目の映画だったのであんまり論理的な文章にできませんでしたが、とにかく良い映画よ!ユーモアありフェラあり感動あり!!プ〇ルだの〇滅だのリピートしてる暇があったらこれ行け!!


①映画観に行けてない
 時間あるしコロナ関係ないけど、2月は映画館通えませんでした。良作邦画目白押しの時期だったんだけどねえ…。


②DN、衰退するってよ。
「3月31日、新規ユーザーの募集終了のお知らせ」
https://webmaster.diarynote.jp/202103021827098168/
 最近は主婦とかの全く知らないクラスタの日記を巡るのが楽しかった。それだけにこのサービスもいずれ終わると知ってちょっと感傷。


③プリコネ嵌った
 終わりの見えないハクスラ、エンドコンテンツが少数の人権ユニで戦う「高級資産ゲー」ではなく総戦力で殴る「総資産ゲー」な点、課金圧が低いところなど、僕がソシャゲに求める全ての要素が詰まってる。
 一日辺りで育成の限界効用が逓減していくのも秀逸な設計で、御蔭で毎日ログインせざるを得ない(裏を返せば、新規定着率が心配になるゲームでもある)。

 アリプリガイジバトル、ガチクランバトルなど本当の上位目指すなら人生を捧げる必要があるけど、まったりプレイする分にはなかなかに楽しいソシャゲ。


④「テコンダー朴」にも嵌る
 徹底的な韓国礼賛、反日実践を美化することで反語的に韓国を揶揄した風刺漫画。
 これだけ聞くとウヨ漫画に思えるが(連載開始は07年。日韓W杯+韓流ごり押し+ネットインフラ整備でネトウヨが発生した時期)、右翼左翼中国アメリカ日本政府ついでにタイと全方向に喧嘩を売るスタイルで大変好感が持てる。

 反語揶揄で進むため、ウヨ漫画にありがちな「(半島民に比べて)我々日本人の清廉さと言ったらァ!!」って類のゲロ気持ち悪い自国美化がないのも素晴らしい。クソ漫画の態して、小林よしのりよりずっと頭良いんだよなあ…。

 とはいえ、「重根!(チャングン)」だの「南北統一(ナンブクトンイル)!」だの連発するので、ネタをネタとして理解できる人限定です。

ジャンル好きとしては承服し難い映画『ヤクザと家族 The Family』について大いに語る
粗筋 自暴自棄な暮らしを続ける少年、山本賢治はある日柴咲組組長、柴咲博と出会う。命を救い救われの関係になった山本は、親子盃を受け柴崎組へ。1995年、2005年、2019年と暴対法の締め付けが強まる3時代を背景に、山本賢治の凄絶な生き様が描かれる。


①作品概要と評価点
 挑戦的な作品を配給し続ける「スターサンズ」と、日本で一番注目される若手監督藤井道人。日本アカデミー賞を総ナメにした『新聞記者』の黄金コンビが、新たに世に送り出すのが今作『ヤクザと家族 The Family』です。

 タイトル一発で分かる通りこれから長文酷評するんで、始めに評価点は述べます。撮影と役者の演技は本当に良いです。
 藤井監督は早くからMVで活躍された方だけあって、画づくりが本当に美しい。陰影の濃い歓楽街、冴え冴えとした港町の曙光、恐らくはキタノブルーを意識したであろう照明の色調や衣装のカラーリング、誰も居ない事務所の薄呆けた空気…。どれ1枚を取ってもキマってる。

 演技について言えば、賢治役の綾野剛、博役の舘ひろし、翼役の磯村勇斗…など主役級は言うまでもない。けれど、個人的に感心したのが最終章での部屋住み(下っ端)役ですね。或るドキュメンタリー映画を後述しますが、現実の部屋住みはオラついたチンピラではなく、ああした小心翼々タイプが多いらしいのです。今作、取材協力や所作指導がしっかりついていて、それが端役にまで行き届いているのは素晴らしいですね。


②「自業自得」
 世評は概ね絶賛ムードなんですが、酷評意見としては「ヤクザは犯罪者なんだから、社会から排斥されて当然でしょ?自業自得じゃん?」というものがあります。
 監督はインタビューの中で、「(排除しようとする)社会の残酷さを見せたい」「(人権排除の動きは)今の自分たちにも通じるんじゃないか」と応えている。『新聞記者』の監督なだけに、広い意味での社会メッセージを投げる映画作りなのは頷ける辺りです。均質性を求める空気社会だからこそ、忖度や排除が起きるワケですしね。

 でもね、ぼかぁ違う意味で「こいつら自業自得じゃん」って思ったんです。揃いも揃って無能。ド無能。言い換えるなら、この映画ってお仕事映画として本当にヒッドいんですよ!!!!


③ヤクザのお仕事~柴咲組~
 本作には大きく分けて3つの勢力が登場します。主人公たちの柴咲組、敵対勢力の侠葉会、翼率いる半グレチームです。その中で、柴咲組は昔気質の任侠団体であり、暴対法の締め付けが強まる中時代の変化に取り残され滅びていきます。王道ですよね、「昔気質」「時代の波」。でもさ、具体的に何してんのさ?
 昔気質って言うんだから、花会、テキ屋、手配師、興行、金融、仲裁辺り?港町が舞台だから沖仲仕もあるでしょう。しかし、映画を見る限りでは柴咲会はミカジメ一本のようなのです。
 そりゃね、ヤクザ映画=シノギ描写は必須とは言いませんよ?それでも、殊「時代の変化」を扱う場合でも疎かにしたのは悪手だったと思います。理由については後述します。


④ヤクザのお仕事~侠葉会~
 一方、侠葉会は令和の時代になっても生き残り続けます。理由は、県警のマル暴とコネを持っていたから。「県警対組織暴力」始め、権勢を傘に着る側が勝つっていうのは腸が煮えくりかえると共に、負けていく側の悲哀も増す魅力的な設定じゃないですか?でも…言うほど侠葉会って悪党ですかね?
「緋牡丹博徒」しかり「3代目襲名」しかり、ヤクザ2派の抗争ってのは悪党側がド汚ェからこそ任侠側の善性が際立つんですよ。嫌がらせに耐えて耐えて、隠忍自重の末相手に最後の一線を越えられて堪忍袋の緒が切れる。だからこそ、殺人という最悪の解決法だとしても観客は「よくぞやった!」と共感できるのです。
 それでは今作の第二幕、抗争の発端からヤクザ映画ロジックに則って見て行きます。

 平成不況の波も去り、再開発が加速。歓楽街も縮小されることとなり、必然シマ争いは激化する。そんな中、侠葉会若頭の川山は、山本が仕切るキャバクラに山本を呼びつけ「これからはシノギがきつくなるからさ、お前ら歓楽街の南側明け渡せよ。上がりは2割払うからさ」と言います。
 ここ、ヤクザ映画的には二重にダメなんすよ。先ず、川山が親切過ぎます。要件のみならず、経緯についてまでご丁寧に教えてくれている。お前…しっかり筋通してるじゃん…。(おまけに、銭湯のテレビ、マル暴の会議シーンで既に状況提示されているのに台詞でペラるのは冗長)。
 そして、川山が具体的な嫌がらせしてないんすよ。山本を出張らせるためにキャバクラで暴れて堅気に迷惑かけたとか、嬢をセクハラしたワケでもない。それなのに、山本は親父をバカにされたことでワインボトルで後頭部フルスイングする。しかし川山はやり返しもせず啖呵を切って退散。…頭の良いヤクザや…!

 
⑤ヤクザのお仕事~山本賢治~
 それでは、戦線布告してきた相手の頭をカチ割った主人公は何をするか。女のケツを追い始めるんですね。…そっかー。
 確かにね、最終章で家族の幸せを提示するためにキャバ嬢工藤を出す意味はあります。でも例えば、シマ争いの経緯を川山本人からペラらせるのではなく、山本が工藤を使ってそれとなく聞き出す(キャバクラに来る土建屋なり不動産業者なりから)って使い方は出来なかったんですかね?そうすれば山本のヤクザIQも上がるんですが。
 組同士のもめごとを自分で作って置きながら、自分では解決に動かず女にしつこくアタックをかけ、おまけに(一切の具体証拠なく)相手にカチコミをかけにいく。…底抜けのアホちゃう?


⑥ヤクザのお仕事~柴咲博~
『アウトレイジ』という映画の面白さは、戦略性にあります。(観客=一般人からすれば奇妙な理屈にせよ、)ヤクザ世界における義理筋目で動き、相手の言質を取るや徹底的な根回しを済ませ、相手に退路を完全に絶った上で潰しにかかる。デフォルメの嫌いはあるにせよ、筋目マウント合戦がロジカルに動いているのです。

 一方、柴咲組組長はどう動いたか。(口喧嘩はあったとはいえ)自分の組員が相手に怪我を負わせた以上は、侠葉会に詫びを入れなければいけない。しかしその席で(相手からの挑発はあったとはいえ)手打ちで水に流した過去の因縁を「こちらから持ち出し」交渉を決裂させる。全面戦争ともなればカタギにも迷惑がかかる以上、本家の松桜会なりに仲立ちしてもらい手打ちに持ち込むのが筋。それなのに魚釣りに出かけて闇討ちに遭うって…。

 …バカ?


⑦ヤクザのお仕事~令和編~
 山本は川山にブッコみ服役。15年を経て出所したら状況は一変していました。暴対法でヤクザは徹底的に排除される社会体制となった。携帯は持てず正業にもつけない、組抜けして5年経つまでは組員と見做される「5年ルール」で地獄を見る…。
 パンフにもインタビューでも言及はなかったですが、タイトル然りこの現代編は『ヤクザと憲法』というドキュメンタリー映画から間違いなく大きな影響を受けています。憲法で保障される最低限の権利すら剥奪される、この実情はどうなのか?「ヤクザだから」という括りで終わらせるには余りにも過酷な社会を、劇映画だからこその感情移入で見せてくれる。まあね、泣けるよ。けどさぁ…。

 けど、お仕事映画成分がないから、その感動も片手落ちなのです。弊ブログで散々書いてきましたが、「反復と変化」は映画ならではの手法です。確かに、柴咲組事務所の落差、出迎えた組長の憔悴ぶりは良い。でも、シノギの変化(凋落ぶり)が映像で提示できてないんですよ。
 20人は居た組員も、今や5人。歓楽街のシマは侠葉会に良いようにされ、密猟やシャブ売りで月100万ぽっちを何とか絞り出す有様。15年前は漢の鑑だった若頭中村も落ちぶれている…。んだけど、比較対象となる風景が全盛期にないから、落差になりようがない。

 夜の海で密猟し漁協パトロールから逃げ出すシーンがあるのなら、15年前は漁師を使う立場だったと示すとか。シャブを売るシーンがあるのなら、15年前は売人をシマから断固叩き出す画を前に出しておくとか。
 そしてその過程で、賢治が父親として博を、兄として中村を仰ぎ漢を磨き家族になっていくモンタージュが欲しかった。たとえ法律に背くとも、ヤクザなりに汗水垂らして天に恥じぬ生き方があったと見せるからこそ、人並みすら許されぬ惨めさに悲哀や憤りが生まれるのでは?
 カタギ希望「山本賢治」は兎も角、柴崎組「ケン坊」として観ると、実はそんな泣けない構成じゃないですか?


⑧結びに
 昨年、『新聞記者』を大酷評しました。 
https://magiclazy.diarynote.jp/202004070128144710/
 お仕事映画としてのリアリティー、ディティールが余りに拙劣だと。今作も全く同じ状況です。ジャンル映画要素よりも、人間の心情を描くのを強く志向する作家なので仕方ないところでしょうが。
 

 それでは最後に、僕のお勧めを紹介します。白石和彌監督のアウトロー作品群ですね!ディティールが豊富な御蔭で、成り上がっていく過程にワクワクし、歯車が狂いだしてからはハラハラ出来る。
 悪党の気高い精神が次世代に継承されるラストは今作と「孤狼の血」は共通してますが、ジャンル映画としてのキレはやっぱ違いますよ!次回作「孤狼の血 LEVEL2」は今年8月公開予定!






 


 そんな4千字評でした。「新聞記者」より出来は格段に良いし、「ヤクザと憲法」に唸らされた人間としてはこの方向性は多いにあり。でも「~ジャンルのガワだけ借りた」って作りにどうしてもカチンと来るんだろうな。やっぱこの監督が嫌いなんだ。
 

逆に難解な映画

2021年2月6日 映画
逆に難解な映画
 昨日深夜、樹海村公開記念ということでテレビ放映されていた『犬鳴村』を見た。

・呪いの村がある→分かる
・その呪いで人が死ぬ→分かる
・霊能者がその謎を解く→分かる
・霊能者は霊と会話が出来る→分かる

 ここまでは良い。

・霊が物理的に持ち寄って来たフィルム+映写機で過去の謎を見る→!?
・霊パワーで過去の犬鳴村にタイムスリップする→!!??
・タイムスリップ先に現代で神隠しになっていた家族2人を見つけ助けようとする→!!??
・1人は何やかんや死ぬ→これは良いや
・託された赤子と共に村を脱出するが、過去←→現代の中間地点で赤子を民家に預け、それが自分の先祖になる→!!??
・何故か自分達は(霊パワーの手助けなしに)現代に戻れる→!!!???


…すごい、ものを見させてもらいましたね。敢えて言おう、カス(逆に難解)であると。

 先ず、リアリティラインがどんどん降下する気持ち悪さがある。別に、ホラー映画なんだから超常現象とかは起きて良いんですよ。でも、序盤はせいぜいが霊視程度だったのに、一切の理屈なしに事態が抽象化していく。
 次に、物語の推進方向がちぐはぐ。これ、大駄作『貞子』同様の現象です。
https://magiclazy.diarynote.jp/201905261938192394/
巻き込まれホラーと、土俗ミステリーが混在していてお話の筋が取っ散らかっている。例えば、初代『リング』は両者の方向性が合致していたんですよ。呪いを解くために、過去の謎を紐解いていく。それに引き換え今作も『貞子』も、神隠しに遭った近親者を探すことと過去を探ることが全くの別。バカ主人公、テメェは何がしてえんだ????
 最後は、多くの登場人物をカットバックで往復したうえ回想まで被さる点ですね。まあさ、清水崇監督は出世作のビデオ版『呪怨』からして、オムニバス+時系列シャッフルをしていたよ。でも、お話自体は「呪いの家で皆死ぬ」という単純な道筋だったからこそ、活きるガジェットだった。一方今作は、上記2点の「逆に難解」成分と化学反応を起こして支離滅裂になっている。


 2作目が作られるくらいだから、商業的には成功したんでしょう。でもクソ構成に加え、過剰なBGM・SE+実体感アリアリの幽霊演出…と魅力の全くないホラー要素。
 これ、何が面白いんですか?僕がバカ過ぎるのか??


〇白
・ドゥームスカール
 ナーセットの貴重な2Tアクション。否認と併せて5マナで動けるのもキナン相手に良し。

・栄光の守護者
 最高級のラスゴ避け。

・正義の戦乙女
 スタンブロールは厳しいだろうが、ヒストリックブロールのヘリオッドなら。流石に4Tダブルアンセムはやべー。

・神に愛された者、シグリッド 
 ナーセット。

〇青
・アールンドの天啓
 ナーセット始めとしたPW統率者においてタイムワープは神。おまけトークンも嬉しい。

・隆盛するスピリット
 陰キャァ!キナンにもワンチャン入るかも?

・多元宇宙の警告
 ナーセッ(ry

・星界の瞥見
 まあ最悪予期。

・彫像の伝承
 キナンだと占術4以上で「引きたいカード3枚+コグラ4枚目以降に置いて起動で出す」みたいな積み方出来ないかな?キナンは枠流石に厳しいか。

・氷砕きのクラーケン
 キナンの新たな必殺技。ETB睡眠はゲーム終わっちゃ~う。

・神秘の反射
 統率者狙い撃ちは出来るが、流石に汎用性低いよなあ…。

・襲来の予測
 全青は積め!!

〇黒
・激しい恐怖
 統率者で黒は不人気なので、まあ4マナ砂塵破くらいにはなる。

〇赤
・龍族の狂戦士
 誇示熊。

・恐れなき解放者
 同上。

・黄金架のドラゴン
 絶対無駄にならない。

・厚顔の無法者、マグダ
 新時代のウィノータになれるか?ウィノータと違って単体で自己完結してるから、全ツッパ構成にしなくて良いので、実はドワーフそこまで積まなくて構わない。2マナと軽いのも素晴らしい。
 
・ツンドラの噴気孔
 使い道わかんないけど、テンポ取れる除去は未来ありそう。

〇緑
・ヤスベラの歩哨 
 そろそろキナンは禁止しろ。

・冬を彫る者
 キナン以外の使える熊マナクリ。

・秘密を知る者、トスキ(+老樹林のトロール)
 これは第二のウィノータ。しかもカウンター不可破壊不能という耐性。1~3マナ厚くして格闘スペルさえ取っておけば爆アドし続ける。キナンキラーに見えて全てのコントロールを抹殺出来るかもしれない。

・タイヴァーケル
 PW。

〇多色
・霜と火の闘い
 ラス英雄譚。

・古き神々への拘束
 統率者で加速は無駄にならん。

・星海の大蛇、コーマ
 出し得ムーブ。

・トロールの喚起
 統率者で加速は(ry

・複製する指輪
 マナリス。まあ8Tは良く伸びるしね。

・タップイン2色土地
 大体使う。

・傑士の神、レーディン
 ハンドによっては即詰みそう。

・ヴァルキー/ティボルト
 色が合えば。

・樹の神エシカ
 両面カードは統率者ルールだと色制限はどうなるんけ?5色神モード使えるなら結構良さそう。スタンと違ってエル勝ウギン少ないから対処ホント難しそう。






お安めホラー『ZOOM 見えない参加者』について結構語る
 ま、ダメ映画なんすけど、ホラー映画好きとしてはかなりの語りしろを感じたので長文レビューします。


粗筋 コロナ禍による都市ロックダウン下、暇を持て余す6人の男女はZOOMで交霊会を考案した。霊媒師の「霊に敬意を払え」の言葉に反し、作り話の幽霊を口にしたことで怪奇現象が起こり出す…。


①作品概説…もとい、フェイクドキュメンタリー史概括(長いよ!)
 本作は全編ZOOM画面で進む異色のホラー映画。映画が68分とかなり短めのため、劇場鑑賞料金は一律1000円となっています。はい、映画の紹介は終わり!
 
 それでは、ここからジャンルの歴史を辿っていきます。本で言えば『心霊ドキュメンタリー読本』辺りを参照して欲しいんですが、このジャンルの淵源は「モンド映画」に端を発します。
 モンド映画とは、未開部族や東方国家など西欧先進諸国には縁遠い地域で行われる野蛮な習俗を撮影した「という体の」嘘ドキュメンタリー映画。観光映画、民俗ドキュメンタリーなどの系譜を組みながらも、徹底的に露悪さを追求したこのジャンルは大ヒットしました。
 そのモンド映画を継いだのが「食人族」。モンドと違うのは、「死亡した撮影クルーの遺留フィルム」(という体の)映像を組み込んだ劇映画だということ。死亡若しくは失踪した撮影者の遺した本物の映像!という「ファウンドフッテージ形式」は後年までずっと受け継がれる人気設定となります。
 そして、「ブレアウィッチプロジェクト」。「食人族」と違うのは、劇映画パートすら省き、手持ちカメラ視点一本に絞ったところ。この「POV映画(Point of View=一人称視点)」は2000年代に入り、「クローバーフィールド」「パラノーマル・アクティビティ」で一躍スターダムに。低予算ながらドル箱ジャンルになれると証明され、ホラー、モンスターパニック、ミリタリー、スリラー、SFなどあらゆるジャンルで使い倒されました。

 往時に比べPOVも下火になりましたが、2010年代後半になって現れたのが「PC画面完結映画」ですね。撮影機材のみならず、リアルタイムコミュニケーション手段としてもすっかり浸透した時代になったからこそ、「PC上でのダベリ中に事件が起きる」という作りにもリアリティが出るようになった。有名どころでは「アンフレンデッドシリーズ」と「サーチ」(これ名作です!)などがあります。

 さて、それでは何故長々とこのジャンルを語って来たか?それは、「フェイクドキュメンタリー」ジャンルの面白さには、本物らしさが必須なのを始めに理解して欲しいからです。


②フェイクドキュメンタリーの演出:人為性の排除
 ブレアウィッチ続編の酷評回を参照して欲しいですが↓ 
https://magiclazy.diarynote.jp/201612171220536677/
このジャンルは「劇映画に近づけてはいけない」んですよ。見やすいように編集されていては、「本物の映像」の背後にある製作者の存在に気付いてしまうから。
 対し今作『ZOOM』はどうか。発話者・怪異の当事者の画面が、事あるごとに拡大表示されるんですよ。そうだね、ドアップの方が見やすいね。でも、それって「誰がやってるの?」。
 他にも、撮影者がカメラマン根性出し過ぎです。着席してPC画面を覗いている時なら兎も角、非常時になっても何でずっとPCorスマホを前に構えて動き続けるの?これ、『エルサレム(2015)』のように、グーグルグラスなどのウェアラブル撮影機材なら違和感なかった弱みなんですよ。でも片手塞いだ状態で、しかも撮れ高意識するようなアングルで動き続けるって、物凄い不自然じゃん?


③PC画面完結映画:人為性の創造
 POVジャンルは観難さ=リアリティのもどかしさがある。でも、殊「PC画面完結映画」について言えば、抜け道があるんですよ。それが「誰かのPC画面上で、そいつが操作している」という演出。
 実際にPCを操作しているという体なら、一人に注目して拡大画面を表示しても構わない。更に言えば、この演出は「感情」を表現出来さえする。誰かと通話しているのに別の人とチャットをすれば、「内心どうでも良い」感じを表現できる。こわごわカーソルが動けばじわじわした恐怖感を、てきぱきした画面処理なら閃きや決意を…。劇映画にはない制約を、却ってジャンルの強みに昇華出来るんです。そうしたジャンル的工夫を今作は全く行っていない。


④興味の持続
 二つ目の欠点が、謎解き要素=興味の持続のなさ。ぶっちゃけ脚本が詰まらんです。
 勿論ね、必須条件ではない。「ブレアウィッチ」「パラノーマルアクティビティ」のようにジャンル黎明期ならその演出だけで刺激的だし、「ハードコアヘンリー」のようにアクションが物凄ければお話は単純で良い。でも、2020年にもなってフェイクドキュメンタリーホラーって、古臭いんですよ。ジャンルの後発な以上、工夫が必要。
 その癖、上述したように演出は並以下、おまけに散発的なショックシーンを繋ぐお話がない。「パラノーマルアクティビティ」だって、2以降は呪いの家の先住人や家系を巡る因縁ミステリーを見せて差別化していたのにね…。


⑤深みに嵌る
 フェイクドキュメンタリーホラーに限った話じゃないんですが、幽霊ホラーの醍醐味は「ドツボにハマって選択肢が徐々に削られていく」怖さにあると思います。今作にはこれもない。
 例えば「コンジアム」「スピーク」などのPOV廃墟ホラーは「撮れ高が貯まるまでは帰れねえ!」と意固地になった挙句、廃墟が異界化を進めて全滅していく。先に挙げた「アンフレンデッド」は、クラスメートの自殺をビデオチャットグループ内で責任の押し付け合いをし、幽霊の殺意から逃れようと反目し合うことで自滅していく。
 それでは『ZOOM』はどうか。交霊会は確かに、集団ヒステリーが起きる空間ではあります。でも、画面の向こうで友人が絶叫してカメラアウトしたら、普通警察か救急呼びますよね?「ロックアウト」って戒厳令とは違うよ?
 例えばここ、「〇〇は交霊会のしきたりを破ったから襲われた。私達は何とか穏便に霊に帰ってもらおう」と彼らなりの最善で「異常事態なのにビデオチャットを続ける」という不自然さを肯定しなければ。その場合はオカルトロジックなり謎解きが必要になるので、やっぱり興味の持続要素が必要になるワケですが…。


⑥『ZOOM』の見所
 酷評してきましたが、唯一面白かったのは映画のラスト。68分では流石に良心が咎めるのか、メイキング映像が付いてるんですよ。これが抜群に良い。
 撮影前にキャスト・クルーが実際にZOOM交霊会をやった映像なんですが、これがもう本当に劇映画とは程遠い。画面は14分割で各人の区別がつかない、マイク音質がまちまちでガラガラ声がする、緊張感の欠片もないバーチャル背景をつけた奴が居る、光源がロウソク一本なせいで鼻先しか見えない参加者が居る…。マジで、観づらい。でも、だからこそ本物っぽいんですよ。
 
 この「リアル」の交霊会では、大した怪奇現象は起きない。霊媒師のカメラが不調になる、10秒間カメラがフリーズする、ロウソクの火が傾く…。でも「リアル」だからこそ怖い。


⑦結びに
「リアル」な霊現象が映ると何が怖いのか。現実に、怪奇現象が起きるということは、霊が実在している。すると、この交霊会を囲む人間(ZOOM参加者のみならず、映画スクリーンを通し「リアルタイム」で共有する観客)=我々のところに、ひょっとしたら幽霊が来るのではないか…。
 そうした現実変容の恐怖こそ、フェイクドキュメンタリーホラーの醍醐味なのだ。そのことを今作の駄目さに(そして意図せぬ反面教師ぶりに)思い知らされた。







 4000字評でした。ま、1000円映画なんであんま腹立てんなよ!(結論
 

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