はてなで書くモチベはないので、DN簡易版でお送りします。

①青単ロータス(t白)

-土地(24)-
4海門修復
4玻璃池のミミック
4寓話の小道
4連門の小道(青白両面)
4《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment(THB)》
1冠雪の平地
5冠雪の島

-呪文(36)-
4怪物縛り(ETBエンチャ先タップしパワー分自傷、アンタップしない)
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea(THB)》
4《通路の監視者》
4《タッサの神託者/Thassa’s Oracle(THB)》
4《老いたる者、ガドウィック》
4鏡映魔術師ジェイス
4栄光の探索(氷雪土地/伝説/英雄譚サーチ、唱えるのに払った氷雪マナ分ゲイン)
4《ニクスの睡蓮/Nyx Lotus(THB)》
4《秘儀術師のフクロウ》

 栄光の探索が基本地形or睡蓮orガドウィックをサーチ出来るので、流石に青単ロータスも構築レベルになったんじゃねえかな…。BO3では依然ロンロン論外だけど、BO1では通用しろ(願望)。


②青白ヨーリオン
-サイドボード(1)-
《空を放浪するもの、ヨーリオン》

-土地(36)-
4《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment(THB)》
4《ラウグリンのトライオーム》
4イストフェルの門(生贄2ドロー2ゲイン青土地)
4連門の小道(青白両面土地)
1《ヴァントレス城》
1エメリアの呼び声
7冠雪の島
11冠雪の平地

-呪文(44)-
4《メレティス誕生/The Birth of Meletis(THB)》
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea(THB)》
4襲来の予測(予顕カウンター)
4多元宇宙の警告(予顕占術ドロー)
4ドゥームスカール(予顕ラスゴ)
2アールーンドの天啓(予顕タイムワープ)
3精神惑わせの秘本
4スカイクレイヴの亡霊
2《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun(THB)》
4真面目な身代わり
2《空の粉砕/Shatter the Sky(THB)》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》
2崇高な天啓
2《夢さらい/Dream Trawler(THB)》

 リストのマナコストが変な並びなのは、予顕を2マナ扱いにしているから。ヨーリオンでデッキを薄めるとどうしても2マナ域が減ってしまうが、予顕なら2Tアクションを無理なく増やせる。御蔭で魅力的な王子、ガラスの棺辺りのあんま強くないカードを減らして重量系コントロールを組むことが出来た。
 2色にまとめる理由としては啓示土地が詰めることと、サイドに隆盛するスピリット(大立者亜種)を取れるところ。スピリットを取るなら占術土地は冠雪2色土地にしても良いかもね。


③エスパーヨーリオン
-土地(36)-
4陽光上りの小道
4清水の小道
4連門の小道(青白両面土地)
3《寓話の小道》
3《欺瞞の神殿/Temple of Deceit(THB)》
3《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment(THB)》
2《静寂の神殿/Temple of Silence(M20)》
2《島/Island(DOM)》
2《平地/Plains(XLN)》
3《沼/Swamp(DOM)》
3エメリアの呼び声
2イストフェルの門(生贄2ドロー2ゲイン青土地)
1ハグラの噛み殺し

-呪文(44)-
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea(THB)》
3精神惑わせの秘本
4ドゥームスカール(予顕ラスゴ)
2襲来の予測(予顕カウンター)
2多次元宇宙の警告(予顕占術ドロー)
3《無情な行動》
4スカイクレイヴの亡霊
2ニコ・アリス(生成シャードPW)
3《エルズペスの悪夢/Elspeth’s Nightmare(THB)》
2《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun(THB)》
2烏の警告(トークン生成+アタック通るとドロー+サイドチューター英雄譚)
2《裏切る恵み/Treacherous Blessing(THB)》
4《予言された壊滅(ELD)》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》
4《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death(THB)》

-サイドボード(5ぐらい)-
《空を放浪するもの、ヨーリオン》
魅力的な王子
屋敷の踊り
絶滅の契機
ウギン
崇高な天啓

 これも2マナの足りなかったデッキ。
 ニコアリスは一応単除去置物扱い出来るので、ぺス悪夢・裏切る恵みと振り分けて採用。青白系が流行るならアクティブアド稼ぎは欲しい。 
 英雄譚は屋敷の踊りサーチ要員。これでメインに入れなくて良くなった。


④セレズニアヨーリオン
-土地(36)-
4《豊潤の神殿/Temple of Plenty(THB)》
4枝重なる小道(緑白)
4花面晶体
2変わり樹の共生
3エメリアの呼び声
2平地
2森
1島
1沼
1山
2陽光上りの小道(白黒)
2岩山被りの小道(緑赤)
2針縁の小道(赤白)
2樹皮路の小道(緑青)
2闇孔の小道(緑黒)
2連門の小道(白青)

-呪文(44)-
4《金のガチョウ》
4世界樹への道(地勢+5色根本)
4《パンくずの道標》
2《魅力的な王子》
3ドゥームスカール(予顕ラスゴ)
3栄光の守護者(予顕修復天もどき)
3《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun(THB)》
4ラノワールの幻想家
4スカイクレイヴの亡霊
4《意地悪な狼》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》
3《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death(THB)》
3グレートヘンジ

 アグロコントロール。コントロールミラーとかち合うと流石に不利なので、2マナ域にミニ根本を取った。素キャスト+ヨーリオンブリンクで2枚サーチ出来るので両面土地を1枚でも引けば7T目に根本起動できる…筈。
カルドハイム、要素多すぎて却ってアーキタイプとして成立しなさそう。
https://www.mtgsalvation.com/

Battle of Frost and Fire:英雄譚1章、非巨人・PW全体4点、2章:占術3、3章:2ドロー1ディス
 史上初?の全除去英雄譚。巨人デッキは成立しなさそうなので落とせないのは砕骨だけ。炎呼びチャンドラからちょい落ちる使用感かな?

The Bears of Littjara:英雄譚1章:多相2/2生成、2章:シェイプシフターは4/4に、パワー4以上の生物は対象の生物/PWに自パワーダメージ
 …評判ほど強いか?イロアス競技会全然使われてないよ。ミッドレンジミラー以外は微妙そう。

Narfi, Betrayer King:自他氷雪/ゾンビは+1/+1、氷×3:墓地からタップ状態で戻す
 うーんこの絶妙に足りないマナレシオ…。

Battle for Bretagard:英雄譚1章:1/1人間、2章:1/1エルフ、3章:名前の違う各トークン1体増やす
 普通に横並びカードとして扱うと軍族童の超絶劣化なので、shardトークン、宝箱なりと組み合わせるか…?そこまでして使うメリットなさそう。

Reidane, God of Justice/Reidane’s Shield:飛行警戒、相手の冠雪土地はタップイン、相手の4マナ以上の非生物呪文は唱えるのに②必要
/相手の発生源がこちら/こちら生物に与えるダメージを1点軽減、こちら/こちら生物を対象とする相手の呪文/能力は①払わないと打ち消す
 サリアと違い低マナは阻害しないが、ラスゴ絶対打たせないマン。裏面も実は生物ミラーで結構ウザそうだし、神サイクルの中では上位かも?

Ascendant Spirit:氷氷:2/3戦士に、氷氷氷:戦士だったなら4/4飛行天使に、氷氷氷氷:天使だったなら+1/+1を2つ乗せ「アタック通るたび1ドロー」を得る
 大立者系統のカードだが、青は圧倒的に構える意味のある色。2色ぐらいなら使えるかなあ。

Skemfar Avenger:他のエルフ/狂戦士死亡するたび1ドロー1ルーズ
 能力は強いんや。けど1マナがおらしまへん…。

In Search of Greatness:アップキープの開始時コントロールしている他パーマネントの最大マナコスト+1のパーマネントカードを手札からマナ払わず唱えてよい、そうでなければ占術1
 以下ちゃうぞ?+1限定やぞ?流石にこれに禁止禁止喚くのはイゼ速クオリティちゃう?創案とは大違い。
 真面目に使い道考えるなら、奇怪な具現デッキかな?あれは3~5マナで固める必要があるデッキで、全てパーマネント構築であり、これを複数引きしても無駄にならない。おまけにアップキープ誘発スタックでお告げを投げられる。

Gnottvold Slumbermound:タップイン赤土地、3RGG生贄T:ランデス+4/4トランプル生成
 ランデス英雄譚より強いやん!ところで今アズカンタ級の割りたい土地ってないよね?
→ミニ啓示土地出たから、単純に低速デッキの同サイクルカード割れるだけで強いね。

The Omenkeel/Cosima, God of the Voyage:機体のアタックが通るたびその点数分トップ追放しその中から土地をプレイしてよい、搭乗1
/アップキープに追放可、上陸するたび
①航海カウンターを1個置いて追放のまま
②カウンターは置かず,既に乗っている航海カウンター分の+1/+1設置とドローをして場に戻る
を選ぶ
 トラッカー…には程遠い。一旦場外に逃げれば上陸繰り返して航海カウンターを溜め、ファッティ+複数ドローで戻れるが…。こんな迂遠さより精神惑わせの秘本なりPWにしない?アドに変わるまでの時間が遅すぎるよ。

Gates of Istfell:タップイン白土地、2WUU生贄T:2ドロー2ゲイン
 強い。確定タップインにしても4枚積む価値はあるんちゃいます?

Battle Mammoth:トランプル、自生物が相手の呪文/能力の対象になるたび1ドロー、予顕2GG
 シンプル。6/5という絶妙なサイズがグレヘンと相性良いのもポイント。


Glorious Guardian:瞬速飛行、ETBで臨む数の自非天使生物をこいつが場を離れるまで追放に、予顕2W
 のし歩く城塁超絶上位カード。イゼ速の評価異常に低いけど、ぼかぁ普通に強いと思います。アグロで合計5マナは重いとか言ってるけど、いや修復も中速以下のデッキに入ってたし…。カウンター以外で絶滅の契機、ウギンを避けられる唯一のカードだしね。

The Raven’s Warning:英雄譚1章:1/1飛行生成2点ゲイン、2章:1体以上の自生物がアタック通すと相手手札観て1ドロー、3章:ゲーム外部から1枚サーチしてデッキトップへ
 エスパーヨーリオンでヘリカスのお告げ追加として。屋敷のお告げ+ラス+ウギン辺りをサイドに仕込みたい。

Graven Lore:支払った氷分占術X、その後3ドロー
 他の氷雪系と違って素で強いのが何より。2色+啓示土地積んだとしても基本地形は12程度積めるし、後半トップしたら占術4~6も見込める。まあ問題は予顕ドローというクソつよが同じセットに居ることだけど…。

英雄譚1章:2/3威迫狂戦士生成、2章:狂戦士1体がアタックするたび1ルーズ1ドロー、3章:狂戦士1体につきR生成、エンドまで失われない
 カードは良いんだけど、1マナが少ないのがダメ。

Righteous Valkyrie:飛行、他天使/クレリック出すたびタフネス分ゲイン、ライフが開始時より7以上なら全軍+2/+2修正
 1マナが(ry…って言おうと思ったら、全体パンプなんだ!ヒストリックだけならワンチャンありそうかな。ヘリオッドよりは普通に強そう。

Doomskar:全除去、予顕1WW
 (ラ)凄!
 カウンター、ドロー、ラスゴと方向性違う3種が予顕出来るのは青白コンやべえな。

Resplendent Marshal:ETB/死亡時、自墓地から生物1体追放したならその生物タイプを共有するこれ以外の自軍に+1/+1設置
 ちょっと未知数。でも白で部族単って組めないよね?





本年ワースト候補! 『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打ち上げ計画』をちょっと語る
 久しぶりに激怒を覚える映画だったので紹介。



粗筋 2010年インド、ベンガルール。ロケット打ち上げ失敗の責任を取らされる形で、天才科学者ラケーシュは火星探査プロジェクトという閑職にお払い箱となる。生活の知恵ともいえる妙案で軽量化に成功し念願のスタートとなるが、配属されたメンバーは2軍とも言うべき面子ばかり。予算も納期も常識外の中、彼らは探査機の打ち上げを達成できるのか…?


①作品概説
 本作はアジア初の火星探査機打ち上げ成功を描いた劇映画です。以前紹介した『パッドマン 5億人の女性を救った男』の製作陣が再集結。
https://magiclazy.diarynote.jp/201812090039181869/
 監督のR・パールキが脚本、助監督のジャガン・シャクティが監督を務め、主演のアクシャイ・クマールが今作のラケーシュを好演。インド本国でもパッドマンを超える大ヒットを記録しました。そんな訳で、映画としての質は問題ない。ただどうしても腹に据えかねる部分があって…。これから、今作が反知性的な映画だという観方でくっちゃべって行きます。


②乗り越えるべき困難と映画技法
 劇中において、プロジェクトチームが解決すべき課題がいくつか提示されます。「燃料積載量」「探査機軽量化」「自律調整プログラム」「容量限界と多機能化」…。一つでも未解決では立ち行かなくなる。ならば、その過程を詳説すればこそ、「実話・大プロジェクトもの」としての面白さが出るじゃないですか?それなのに本作は、そこをモンタージュでごくあっさり済ませてしまう。
「日常的な気づきから糸口が見つかる」って見せ方は大変良いです。揚げ物から「燃料は点火し続けるのではなく温度を許容値で保てば良い」の発想、ヨーヨーから「スウィングバイによる楕円軌道で燃料節約」の発想、プラごみを見て「温度・環境変化に強い軽量外壁」の発想…。でも、発想だけなんですよ。その先の試行錯誤を見せる気がない。

 大目標に向けて問題を分割する。観察し、仮説を立て、検証する。小目標を達成したら見えてくる新たな課題にも対応し、PDCAサイクルを回していく。そうやって要求スペックに対して1ミリを、1グラムを、1円を切り詰めていく。そういう継続的な前進が開発であり、科学的思考だと(僕個人は)思うんですが、この映画は発想=即結果。跳躍であって前進ではないんです。
 では130分もある本作、何に尺を使っているかと言うと…開発者各人の抱える家庭問題描写です。


③社会問題と科学映画
 家庭、宗教、妊娠、恋愛…。これらを軽視する積りはないんですが、「探査機打ち上げプロジェクト」の成否に何も関わって居ないんです。え、これ要る?

 社会問題を取り入れた大プロジェクト映画は勿論あります。先述した「パッドマン」がまさにそうですし、マーキュリー計画に携わった女性を描いた「hidden figures(クソ邦題:ドリーム)」もありました。でもそこには、必然性があった。
 因習・偏見によって女性は低く扱われている現実に、上記二作の主人公たちは立ち上がった。でもそれは、「私たち(彼女ら)は辛い思いをしている」という感情論に決して落ち着かせていない。
 ケガレ観念によって、女性は生理の1週間就学・就業に付かせず家に閉じ込められる。数学者・エンジニア・時代に適応した管理職といった有能な人材が、黒人女性というだけでパフォーマンスを発揮できない。客観的事実として、社会全体の生産性が下がることを指摘する。よって、差別はモラルを抜きにしても止めるのが合理的だと証明している。だからこそ力強く感動的なのです。

 結局、各人の抱える鬱屈とプロジェクトは絡むことなく並列して進むのみ。「プロジェクトの成功で周囲の目が変わり、私生活でも自己実現する」なら、まだ分かるんだけどねえ…。


④科学者描写:敵
 プロジェクト映画に、分かり易い悪人って不必要だと思うんです。乗り越えるべき困難は、人ではなく物理的制約。
 リドリー・スコット監督の傑作『オデッセイ』が気持ちいいのは、無能が一人たりとも出てこないから。植物どころか水の一滴もない火星で、どう2年食いつなぐのか。磁気嵐で機器を喪失した後、どう地球と交信するのか。餓死のリミットが迫る中、救助船到着を早める術はあるのか。人為的なピンチなぞ無くとも、あまたの制約に人類の英知が立ち向かうだけで話は面白いからです。

 一方、今作がやったことと言えば…無能な上司キャラの配置。インド宇宙研究機構に招聘されたのは、元NASA職員のルパート。現場を全く知らない事務方経理方ならまだしも、カッシーニ開発に携わったバリバリの技術屋ですよ?しかも絵空事段階のプロジェクト始動前なら兎も角、各部の開発が進み数字を詰める段階に来ているのに、「はい無理無理中止しよー」ってことあるごとに嫌味言うって、ありえます??
 今作、国策映画の臭いがどうも鼻に付くんですよね。NASAをド無能に描く手つきしかり、『パッドマン』では否定的に描いた宗教を一転して縋るべきものに見せたり。そりゃインドの大衆には受けるでしょうけど…。


⑤科学者描写:主人公
 そもそもの話、主人公ラケーシュがどうにも言行一致してないのが気に入りませんでした。奇矯な振舞いは目立つものの、情熱的な一面のある天才科学者…。テンプレながら魅力的な主人公像ですよねえ!?でも、彼は自分で言うほど科学屋魂を見せていたでしょうか。
 中止の危機に遭ったプロジェクトを救うため、彼は単身重役会議に乗り込みます。でもそこでやったことは、研究機構トップ一人に狙いを絞った説得なんですよ。データやロジック、全てを使い果たした上で情熱を語るのは大歓迎ですよ?でも数字一つも見せぬまま、「あなたと、あなたの相棒の作り上げたこの機構で、NASAの手など借りず火星ロケット打ち上げましょうよ」って泣きつくの、どうです?ルパートの反知性に、こっちも反知性で対抗してどうすんですか。

 一方、先に上げた『hidden figures』はこうです。女人禁制の作戦会議室に参席した主人公が、部外秘のデータを聴くや黒板に数式を書き始める。雁首揃えた男どもでは出来なかった帰還ロケット着水地点の計算を、彼女一人はその場で叶えられた。このぐうの音も出ない知の勝利とは、今作は正反対です。
 それともあれですか?科学者の世界でも、政治力とトークスキルが強い奴が出世するっていう極上の皮肉ですか?それならそれで納得ですが。


⑥結びに
 同ジャンルの傑作を上げて〆るのが通例なんで、『オデッセイ』『パッドマン』『hidden figures』は文句なしにお勧めします。
 それとは別に、1月からアニメ2期が開始した漫画『Dr. STONE』もぜひ読んで下さい。漫画特有のモンタージュ・デフォルメをディティールの省略ではなく、寧ろ少年漫画らしい外連味に昇華したアツい作品ですので。
https://www.mtgsalvation.com/

Kolvori, God of Kinship/The Ringhart Crest:伝説3体以上で6/6に、1G,T:トップ6枚から伝説1枚手札へ
/ETB生物タイプ指定、T:G(伝説/指定生物にのみ使える)
 柔軟性ありそうで実はKP足りてないカードに見える。マナ加速モードはマナクリから落ちる性能だし、神モードはレシオ不足。何よりタンケモと同じマナ域なのがねえ…。一応ファレン卿→ギャレンブリグ→これのムーヴはあるけど、信心が全く使われていない現状横並びシナジーカードは無理そう。

Sculptor of Winter:T:氷雪土地アンタップ
 マナクリ劣化だけど「エルフならず者」は悪さ出来るかな?

Path to the World Tree:ETB地勢、2WUBRG生贄:2ゲイン2ドロー対象生物2点2/2生成、相手2ルーズ
 地勢+ミニ根本。ETBが土地詰まり(色事故)を回避しつつジェスカイ根本より圧倒的に唱え易い色縛り。メレ誕ですら実績があるんだから、流石にこれ使われるのでは?
 2Tに置いても(メレ譚と違って)4T壊滅の維持コストになるのもポイント高い。

Esika, God of the Tree/The Prismatic Bridge:警戒、好きな色マナクリ、伝説生物も好きな色マナクリになる
/アップキープに生物/PW出るまでトップめくり場に出す
 これも柔軟そうでKP足りないものと推測。特に5色モードは不安定過ぎる。設置して4T経ってもゲームに勝てなさそうなのは流石にまずくない?

The World Tree:タップイン緑土地、土地は6枚以上で5色出せるように、5色×2,生贄:デッキから好きなだけ神を場に出せる
 ま、所詮土地枠なので積み得。非伝説なので4枚積める。

Koma, Cosmos Serpent:カウンター不可、アップキープ毎に3/3蛇生成、蛇生贄:①エンドまで本体破壊不能②対象パーマネントタップ,エンドまで起動不可
 若葉のドライアドと違って除去耐性はある。けど7マナ以上ならウギン使うよなあ結局。

Dragonkin Berserker:先制攻撃、誇示コストはドラゴン分軽減、誇示4R:4/4飛行ドラゴン生成
 リムロック砕骨が居るので2/2先制攻撃は見た目より止められ辛い。そこそこ。

The Trolls’ Awakening:英雄譚1章:ランデス、2章:土地1枚リアニ、3章相手より多い土地枚数分4/4トランプル生成
 フィニッシャーにもなるランデスカード。ビッグマナ好きとしては使いてえなあ…。

Saw It Coming:打消し、予顕1U
 環境にあるだけで意味がありそうな一枚。天才の片鱗+これで構えていけ!

Quakebringer:プレイヤーはゲイン不可、アップキープに①これが場に居る②これが墓地にあり巨人コントロールしている、どちらかの場合に相手2点、予顕2RR
 イゼ速過大評価その2。「ならず者逝ったwww」って言ってるけど、砕骨クラスの低マナ巨人全く増えてないんすけど…。これ自身軽かったら文句なく強かったと思います。

Snakeskin Veil:対象+1/+1設置呪禁 
 顕在的防御亜種。バットリとしての役割は減ったけど、+1/+1シナジーは組めそう。

Tergrid’s Shadow:お互い2体生贄、予顕2BB
 インスタントで面対処出来るのは面白いけど、ちょっと重すぎるか。

Tyvar Kell:L3、+1で対象エルフに+1/+1設置アンタップ接死付与、0:ラノワールのエルフ生成、ー6「エルフ唱えるたび速攻付与と2ドロー」紋章
 調整版フレイアリーズ。マナクリが増えるのは強いけど、プラスと奥義が限定的過ぎるので流石にエルフ専用か。部族デッキで恒常的に面強化出来るなら、ラノエ生成もクロックとして計算できるかも。

Toralf’s Hammer/Toralf, God of Fury:装備生物は「1R,T,装備外す:稲妻,この装備を手札に戻す」を持つ、装備先が伝説なら+3/+0修正
/トランプル、相手PW/生物に非戦闘超過ダメージが与えられるたび、その点数分好きな対象に与える
 超トランプル神+太陽打ちの槌。装備モードが流石にテンポウンチなので、神が本体か。でも冒涜の行動のような即死カードが(まともなマナでは)スタンにないからバニラだよなあ…。

Jorn, God of Winter/Kaldring, the Rimestaff:アタック時各氷雪パーマネントアンタップ
/T:自墓地の対象氷雪パーマネント唱えてよい、タップイン状態で戻す
 神モードは疑似警戒+予顕マナ稼ぎ、置物モードは4テフェ等で継続的に土地を落とし実質るつぼとして使うのが鉄板か。
 両モード使うとなると3色。大量の基本地形+確定タップイン2色を使うほどのKPは無いから、他に氷雪参照するカード欲しいね。真冬クラスのカードが来たら考える。

Harald, King of Skemfar:威迫、ETBでトップ5枚からエルフ/戦士/Tyvar(エルフPW)1枚手札へ
 騎士の3/3と違って本体性能良いし、PW積めるのでラス1枚で即投了デッキにはならない。ただ騎士と同じでまともな1マナ生物おらんのよね…。

Egon, God of Death/Throne of Death:接死、アップキープに自墓地2枚追放できなければ生贄+1ドロー
/アップキープ切削1、2B,墓地から生物1枚追放:1ドロー
 自壊デメリ生物にしてはアド損しないのは良さげ。とはいえ裏面はバニラに近いか。

Elderfang Disciple:ETB1ハンデス
「エルフ・クレリック」。1/2ならず者は使われなかったがこの生物タイプは頑張れるか。

Starnheim Unleashed:セラ天生成、予顕されていたらX体生成、予顕XXW
 素キャストのレシオがうんちなので予顕一択。そうなると土地にもなれるエメリアの呼び声使うよね。

Jasper Sentinel:警戒、T,アンタップ生物1体タップ:好きな色1点
 ぶっ壊れ!!!!!(キナン目線)。いい加減historic brawlでキナン禁止にしろや。





新春2本立て鑑賞 『ビルとテッドの時空旅行』『ワンダーウーマン1984』
新春2本立て鑑賞 『ビルとテッドの時空旅行』『ワンダーウーマン1984』
 1本ごとに書くほどの熱意はないので、「80年代アメリカ」という軸でざっくり二本立て評を試みます。

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』
超粗筋 77分(主観)で世界を救う曲を作れ!

 結論としては「作り手は何故1作目が評価されたのを理解してない」な、と。
 1作目『ビルとテッドの時間旅行』は1989年。80年代のアメリカはと言えば、レーガン大統領のレーガノミクスの時代でした。この政策は乱暴に言うと減税、規制緩和による大企業優遇+そこで減る歳入は社会保障の切り詰めでカバーというもの。冷え込んだ経済を犠牲出しながらでも動かせば、大企業様の利益がトリクルダウンする筈!貧乏人も結果得をする!って考えです。今の共和党に繋がる新自由主義ですね。
 で、この政策によって生まれたのは大量消費社会と競争至上主義でした。50年代全盛期アメリカのような「ボトムアップで皆が裕福になる」時代とは別。1作目『ビルとテッドの時間旅行』はこの潮流へのアンチテーゼだったのです。二人は一流大学とは縁のない超おバカ高校生。そんな彼らだけど、「肩肘張らず、互いをリスペクトすれば十分じゃない?」とレールを外れた人生も肯定してくれる。だからこそ、当時の若者は熱狂したのです。

 ってワケで、このノリをそのまま2020年に持ってきても受けるワケないすよね。
 そもそもの話、「おバカコメディー」と「人生再帰ジャンル」の食い合わせが最悪。ちゃらんぽらんな馬鹿キャラは高校生だから許されるのであって、子供が成人済の50代男性なのに口半開き・トロけ顔でぐふぐふ笑ってるのは白痴かヤク中ですよ。人生再帰ものは理想と現実のギャップに苦悩し、それを埋める努力をする姿に感情移入するジャンルの筈。それなのにビルとテッドは現状に何の不満も持っていないのだから、感動が生じようがない。
 今作、当初の案では「互いに成功し、今では疎遠となった二人が再会して危機に挑む」って設定だったらしいです。絶対こっちの方が良かったですよ。ビルとテッドの片方、若しくは二人とも世間ズレしくたびれた中年にする。それが相方、或いは娘ちゃん二人のバカノリに当初は(常識に則った)反発を抱くも、徐々に昔を思い出すようにテンションが変わりだす。クライマックスに向けて両家族とも全員ぶっ飛んだ発想をするようになり、それが結果として世界を救う妙手となる…。これならば「おバカコメディー」「人生再帰もの」どちらの要件も満たせたのでは。

「外しギャグこそがビル&テッド」って言うんなら、せめて1作目が評価されたように現在の時勢を作品に盛り込むべきだったんじゃないですかね。ブラムハウスの低予算ホラーの方がよほど意識的に作ってますよ。


ワンダーウーマン 1984
超粗筋 女傑VS何でも願い叶えるマン
 
 タイトル見たとき、いやーな感じしたんですよ。「あーまたぞろエイティーズノスタルジーものかよ」、と。でも蓋を開けてみると違った。この時代の良さと悪さ、その両方をきちんと捉えている。ここは非常に良かった。
 今作にはヴィランが二人登場する。ロード社長が体現するのが、前述したレーガノミクスの社会状況ですね。彼は「ドリームストーン」の力によって、他者の願いを叶え同時に対価を奪い取っていく。DCヴィランって大概「暴力で世界を支配しちゃうぞーわっはっは」って感じの脳筋タイプばかりだったので、口八丁手八丁でのし上がる姿は新鮮。大衆の競争意識をマスメディアで煽り立てて成長していく姿はレーガンであり、トランプでもある。
 もう一人のヴィラン、バーバラはポストフェミニズム時代の女性を象徴している。戦後に女性の社会進出が広がり「建前上は」男女平等になった。けれど実際は男と同じ仕事は求められていない…。『ワンダーウーマン』は戦中が舞台だったけれど、あちらの「女は家に居ろよ」観とは差別化できている辺り、きちんと時代性が出ていたな、と。

 ここからは一転こき下ろします。
 先ず、アクションが酷い。「ヘスティアの鞭」って縄が武器なんすけど、この使い方がワンパ。ライミ版スパイダーマン、アメスパ、ヴェノム、マーベルスパイダーマンとここ20年の過去ヒーロー映画の方がよっぽど見せ方工夫してますよ。 
 空飛ぶシーンも、流れる雲を背景にしてフワァ…と飛ぶばかり。マンオブスティールから退化してません?
 パティ・ジェンキンス監督は「アクションで実写に拘った」と発言。でも実写アクションに意味があるのって、「マッドマックス」「ミッションインポッシブル」のように、命の危険があるアクションを生身の人間が演じる感動であるとか、ノーラン監督作品のように巨大な構造物が実際に駆動し壊れていく見事さにあるものじゃない?いずれにしても作品のリアリティーラインが高いのが条件。いやさ…スーパーヒーロー映画で、そこ頑張った意味ある?ワンパンで車吹っ飛ばす怪力女なのに、近接格闘シーンになった途端動きがのたくさして、挙句ワイヤーアクションでフワァ…と浮き上がるのってダサくない?

 もう一点。長ェ。1作目は批評家連中から「時間がもっと短ければ完璧」と言われていたのに、今作もまたぞろ150分ある。
 必然性のある長さなら良いですよ?でも今作でやることと言えば、「浮世離れした異性を、連れ合いが市中観光にエスコートする」という「ローマの休日ごっこ」。それ!1作目でやったから!トレバーとのいちゃつきまた繰り返すの!?
 前述した空飛ぶシーンも不必要なシーンなんですけど、これも脈絡の繋げようがあった筈です。例えば冒頭の幼年期超人トライアスロンの下りを、飛行訓練にする。子供の頃は心の修練が足りず飛べない(或いはアステリアの鎧に認められない)一方、世界の危機に際し行動を示すことで初めて空を飛べるようになったら、それは「敵本拠地に間に合う」「観客をエモくさせる」って両機能を満たせるじゃないですか。

 この監督、舞台設定、人物描写、美術は文句なしに上手い人だとは思います。ただアクションと編集周りは制作側がコントロールした方が良いんじゃないかなー。




 大分ふわっとしてますが、新年一発目はこんな感じで。
 いつの間にか大量に増えてましたね。
https://www.mtgsalvation.com/

Invasion of the Giants:英雄譚1章:占術2、2章:1ドロー後巨人公開出来たなら本体/PW2点、3章:次の巨人キャスト②軽減
 これが次の禁止候補とか、イゼ速民頭良すぎない?場に影響を与えないドロー英雄譚がクソ雑魚なのはメドマイの予言、イロアス競技会で証明されてるし、巨人構築前提なうえにタイミングを選びすぎ。業火のタイタンが再録されたら一瞬で評価は上がるけど、それにしてもコブラ+小道でも2マナ加速出来るしなあ…。
 それと、次環境は2Tforetellムーブが鉄板になると思うので、2マナカードの評価は下がるんじゃないかな。

Niko Aris:ETBでX個のシャードトークン(2マナ+生贄で選択効果)、L3、+1:対象生物ブロックされない、本体にアタック通したらバウンス、ー1:対象のタップ生物にこのターンドローした枚数×2点、ー1:シャード生成
 マナどんだけ注ぎ込んでも忠誠度増えないとかマジ?シャードがエンチャントなので星座とか、昇殿とかと組み合わせるのかな?流石にコントロールでこんなの使わないっす。

Valki, God of Lies/Tibalt, Cosmic Impostor:ETBで生物限定のナイトメアハンデス、X:追放したマナコストX生物のコピーになる/
ETBで「ティッボが追放したカードを色マナ制限なく唱えられる」紋章獲得、L5、+2:互いにトップ追放、ー3:対象生物/茶追放、ー8:全墓地追放し赤×3生成
 ゼンディカーのキッカー生物が全く使われてないのを思えば、この2マナ生物も弱そう…なんだけど、PWは夢あるよなあ!?7マナという激重は承知の上だが、掌握力があり忠誠度もなかなか。紋章のおかげで除去→返しに殴り殺されても追放先を唱えられるのはナイス。

Sigrid, God-Favored:瞬速先制攻撃プロテクション(神)、ETBで対象のコンバット参加生物をナイトメア追放
 割と入れ得っぽさある。スカイクレイブの亡霊と違って本体性能が高めなのが嬉しい。

Old-Growth Troll:トランプル、死亡時エンチャント(森)として復活、エンチャントされた森はT:緑緑生成と①+この土地生贄:タップ状態の4/4トランプル
生成
 えっ強くない!???緑単フードなら除去されてマナ加速になるのは万々歳だし、後半に無駄土地が4/4になるのは言うまでもなし。それに加え本体が3マナ4/4トランプル(おまけにギャレンブリグや野獣先輩のようなデメリットなし!)だからね。ケチのつけようがない。

Elvish Warmaster:エルフ出るたび1/1生成(1T1回限定)、5GG:エルフ全体+2/+2接死
 リス・アラナの超絶上位カード。まあでもヒストリックより上では使わんか。

Alrund, God of the Cosmos/Hakka, Whispering Raven
手札+foretell分サイズアップ、エンド開始時にカードタイプ指定しトップ2枚から該当分手札へ
/飛行、アタック通れば占術2+本体バウンス
 巨人英雄譚のときに言ったけど、次環境2マナカードの評価は下がると思います。3テフェ3ナーセのように守るべきPWも居ないしね。
 神モードはアド能力がエンド誘発とはいえ、流石に不安定。土地指定して外れることがあるし、実となるカードは流石に確率低すぎて指定したくない。

Binding the Old Gods:英雄譚1章:苦渋の破棄、2章森ランパン、3章生物接死付与
 死の芽生えもどき。とはいえ高マナ圏で使いたいカードもないか。

氷雪土地再録
 英雄譚で神で両面カードで氷雪!?カルドハイム盛りだくさんだな(語彙消失)

Frost Bite:対象生物/PWに2点、氷雪3以上で3点
 雪崩しもどき。でも現状は砕骨以上の低マナ火力は存在しないか。

Varragoth, Bloodsky Sire:接死、boast1B:デモチュー(boastはこの生物でアタックしたターン1回のみ起動可)
 種族ならず者なので、何かしら出来そう。

Alrund’s Epiphany:1/1飛行2体生成し追加ターン、このカード追放、foretell4UU
 追加ターン。帳の覚醒みたく、このカード自体がフィニッシャーになりうる性能なのでコピーしたいよね。ちょっと注目。

Vorinclex, Monstrous Raider:トランプル速攻、自軍設置カウンター倍化+相手設置カウンター半減
 カウンター版ギセラ。本体性能がそこそこあるが、まあ巻付き蛇にしては重すぎる。

Glimpse the Cosmos:予期、巨人コントロールしていれば墓地からUでFB
 巨人構築来るか!??

Behold the Multiverse:占術2ドロー2、foretell3U
 青巨人ありきとはいえ天才の片鱗が使われたんだから、圧倒的上位カードのこれも構築レベル。

Goldspan Dragon:飛行速攻、殴るたび宝箱生成、宝箱のマナ2倍
 単体ではタンケモやランクルの圧倒的下位カードなので宝箱前提。こいつからウギン→マイナス4起動って無茶苦茶腹立つよな?


 今回はここまで。
https://www.mtgsalvation.com/
サルべ順。

・2色土地
 インフラ枠なのにセット跨ぐのやめて♡

・Showdown of the Skalds(1章:トップ4枚舞台照らし、2・3章:キャストするたび+1/+1を対象に設置)
 比べるべきは照らしというより僻境か。4マナ4枚はそこそこのバリューだし、2・3章と併せて実は結構強いかも?

・Pyre of Heroes:クリーチャータイプ制限の殻
 多相が次セット来ると言えど、起動2マナの殻は重すぎるよなあ…。どっちかというと下環境向け?人間とかエレメンタルとか。

Magda, Brazen Outlaw:他ドワーフ+1/+0、ドワーフタップするたび宝箱生成、宝箱5つ生贄で茶/ドラゴン1枚を場にチューター
 どうせならサーチ能力まで使いたいが、機体/ドワーフ単のようなアグロは厳しいか。後はパラドックス装置デッキでジャンヤング―/フレイアリーズの歌などでこいつに起動能力を持たせ、宝箱ぐるぐる生成とか。
 …いろいろ考えたけど、単体で使い捨て覚悟の2マナ圏として使うのが一番強いかも。1マナ軽くて速攻の無いラネリーだし、ずる賢いゴブリンがシングルシンボルになったともいえる。ただ現スタンに4マナの強いカードないのよね。

Halvar, God of Battle/Sword of the Realms(装備/エンチャント生物は2段攻撃、戦闘開始時にシガルダの導き/装備先は+2/+0警戒、装備先が死ぬ度手札に戻す)
 いろいろ盛りだくさんだけど、裏面の装備モードが死ぬほど弱いか…。

Kaya the Inexorable:L5、+1:「この生物が死亡するたびオーナーの手札に戻し1/1飛行生成」カウンター設置、-3:対象追放、-7「アップキープ毎に手札/墓地/追放領域から伝説をマナ払わず唱えて良い」紋章
 +能力ってケイヤ式幽体化ですらねえのか!こら弱いわ!5マナPWでアド取り辛いのは使われないって。

Realmwalker:多相、ETBで生物タイプ選ぶ、デッキトップが当該タイプなら唱えて良い
 ジェネリック詮索者。まあエルフぐらい。

Sarulf, Realm Eater:相手パーマネントが場から墓地にいくたび+1/+1設置、アップキープに+1/+1カウンターを取り除いたなら、その数以下の土地でない他パーマネント全て追放
 ディード狼。なんかM20に似たような5/4壁居たけど全く使われなかったよね…。

Toski, Bearer of Secrets:カウンター不可、強制アタック、破壊不能、自生物が相手本体殴るたび1ドロー
 タッサバイデンド内蔵生物。…でも破壊不能ってもはや大した除去耐性でもないしなあ…。

Ranar the Ever-Watchful:飛行警戒、毎ターン1度目のforetellは0マナに、手札や場から追放するたび1/1飛行生成
 この手のシステム生物で使われるものって、亭主やならず者みたいに軽いものじゃん。出して直後にforetellしたらアド+テンポとはいえ4マナ2/3はねえ…。
 foretell以外でもトークン生成出来るのは注目。「1枚以上追放するたび」なので、ヨーリオンで大量追放しても1体しか出せないのは大変残念。
 年末の続きです。

・悪人伝
 悪徳刑事&最強ヤクザVS殺人鬼。予告の時点でクソ楽しそうだが、期待違わずアクションのてんこ盛りで話が進む。途中、ヤクザ抗争と潜伏先乗り込み、2地点で一瞬物語が停滞する…のだが、そこでのディティールがきちんと後半犯人を追い込む伏線になっていく脚本が見事。
 今作の特徴としては、「社会正義と個人倫理が両立されている」ところ。これはノワールジャンルとして嬉しい。最終的に殺人鬼は捕まるのだが、それに寄与したヤクザの親分も逮捕される。けれど、彼は大勢の子分が平伏する中を収監される。「メンツを何より重んじる」の信義通り、彼は王として君臨する。
 そして、刑事との取引で同じ獄に繋がれた殺人鬼を捉えたときの、あの凄絶な笑み。変に湿っぽくならず、最後までキレッキレ。



ここからベスト4。

・ジッラ 修羅のシマ
 演出が抜群。日本で劇場公開されるインド映画で言うと、今年の「サーホー」や「ジガルタンダ」のように、3時間級作品は冗長なシーンの連続で飽きが来る。一方、ジッラは主人公の成長とその圧倒的強さを外連味たっぷりの決め画+スロー演出で非常にコンパクトに済ませる。だらだらドラマで見せるのではなく、アクション+モンタージュ+ミュージカルによってストーリーテリングを短縮してるワケ。さながらかの大傑作「バーフバリ」のようにね。

 それでも45分~90分地点では、主人公がこの世の春を謳歌するシーンが結構のボリュームで挟まる。「悪党の癖に良い気なもんだよなー」と若干不快感が募って来るも、これきちんと演出的伏線になっていくのよね。
 80分での物語折り返し地点、警察上層で専横を利かせたことが遠因で悲惨な事故が起きる。それまでのコメディ演出から一転、どぎついハード描写でジッラは打ちのめされ、初めて正義の心に目覚める。ぬるま湯シーンが長つづきしたからこその、この懊悩と成長。
 そこの覚醒シーンがバチグソかっこいい。。宙に舞う悪漢が割った蛍光灯の火花に照らされ、あれほど嫌がっていた官服を身にまとい入場。
https://www.youtube.com/watch?v=L6dfjaPN-xQ&ab_channel=UIEMovies
ここで"Jilla Jilla Jilla"が掛かるのは絶頂もの。

 悪人伝と同じく、「社会正義と個人倫理の両立」が成立するエンドなのも好印象。マフィア組織は壊滅にまで追い込み、ジッラの父である親分も逮捕される。けれど、彼は最後に息子と共闘し(ここでの革靴=息子の足、サンダル履き=親父の足が踏みだすショットが最高にかっけーんだ)、息子手ずからのワッパで縛に付く。そこで幸せだった頃と同じ押し競まんじゅうでパトカーに向かうあの絵面だけで、彼の心は救われてるんだよ。
 どの画にも気配りと侠気が満ちた見事な大作活劇でした。


・キケンな誘拐
 コーエン兄弟の「ファーゴ」を思わす予測不能なストーリー展開と巧みな伏線、エドガーライトを思わすキレッキレの編集テンポとキャラクター性の強いコメディーセンス。身代金誘拐チームが主人公という、撮りようによっては非常に不快感を覚える題材ながら、パワーとユーモアで圧倒され2時間40分があっという間に過ぎていく。

 それでも、一番衝撃的だったのはラストだね。劇中最も性根の腐っている青年が棚からぼた餅で勝ち組となり、歯の根の浮くような偽善事業で社会の尊敬を集める。一方、金は失うも日常に戻れた誘拐犯は、本来コメディ要素の筈だった妄想癖がトリガーとなり、「二度と家に帰さない」であろう本当の誘拐へと乗り出す…。ここまでゲラゲラ笑っていた観客を、現実に戻してくれるような忌まわしい幕切れ。コメディよし、社会派よし、毒っけよし、の3拍子揃ったエンタメでした。


・透明人間
https://magiclazy.diarynote.jp/202007232210449599/
 ブラムハウスって、「ワンアイディアは良いけど、ジャンル映画的完成度は一歩足りない」ホラーが多いとちょくちょく語って来たよね。それとは対照的に、今作は非常に古典的な題材で突き抜けてフレッシュな要素はない。でも、全ての要素が非常に高品質。リーワネルがドチャクソ高学歴というのもあるけど、本当に基礎力のある監督じゃないと、こうも欠点のない映画は撮れないよ。
 昨年末にレンタル開始したので、正月休み中にでも観てみて。


・ウルフウォーカー
https://magiclazy.diarynote.jp/202011200036414147/
 すげぇ(一言)




 今年も長文映画評書く位には映画に粘着する一年を過ごしたいですね。
https://demonition.com/blog-entry-80659.html

 …マジで!!!???13年越しでマジで発売されんの!!!????

 コンシューマ機持ってないけど月姫のためだけに買うか!かーつれーわー!!
〇ワースト
ドクターデスの遺産 BLACK FILE
https://magiclazy.diarynote.jp/202011300000375360/
 流石にこれと比較できる映画ねえわ!でも、ジャンルへの理解も腕もないとしても変に高尚ぶらずにエンタメに徹しようとしてる辺り、嫌いにはなれない。今年の映画だと「事故物件 怖い間取り」と似てますな。


〇過大評価部門
鬼滅の刃 夢幻列車編
https://magiclazy.diarynote.jp/202010260052545119/
 まあ、コロナで大打撃を受けた興行界が息を吹き返しただけで意義はあったよ(やんわり)。子供が映画館に来てくれることが大事。


『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』Ⅲ.spring song
https://magiclazy.diarynote.jp/202008202313364863/
 こっちは分からん。「ファン映画としては」などの留保なしに余りに絶賛が過ぎた。鬼滅より年齢層明らかに上でしょ?なのにそんな無邪気に観れる?



〇ベスト10
・恋するけだもの
 白石晃士監督は「不能犯」「地獄少女」が誰得案件、「善悪の屑」に至っては主演がリアル屑で制作中止になるなど、コミック原作ものの仕事でかなり低迷していた。それが短編「恋のクレイジーロード」をセルフリメイクした今作で、久々の当たりとなった(監督もパンフの中で「今回は安心して下さい!」と前3作の任され仕事へのホンネをぽろっと漏らしている)。
 低予算バイオレンス映画と聞くとキワモノに思えるが、撮影・照明・音楽が(この手の映画にしてはだが)しっかりしており、脚本もきちんとしたエンタメ映画に仕上がっている。

 でも、一番の見所は本編後だね。この映画、本編90分の後に30分のメイキング映像が付くのよ。円盤の映像特典なら兎も角、普通劇場作品でこんなのありえないよ?映画は尺が長くなればなるほど観客の満足度が下がると統計で出ているので、興行側は可能な限り削ろうとする。では、何故それが可能になったかというと、白石監督自身が配給・興行共に賄っているから。
 ミニシアター系の映画を見に行く楽しみは「大手にはない特異さ」を求めてだろうし、こういう「手作り」感のある映画を好きな層も居る。コスト・納期意識も非常に高いながら、きちんと作家性も損なわない作り。日本のロバート・ロドリゲス的な立ち位置になって来てるね。


・ミッドナイトスワン
 草彅剛の圧倒的な演技力(特に、面接に向かう朝の一果とのやり取りは白眉)、間接的な表現(破く写真の見せる順番、タイへ性転換手術を受けに行く下り)など、芸能人キャスティングの大作映画でこれほど高品質な邦画は近年ないのでは?
 ただ、発作の夜、一果への抱擁、ラブホ廊下の三シーンでおもっくそ直接台詞で心情を吐露するところは頂けなかった。問題が矮小化しちゃうし、余情が無くなる。


・ウェイブス
 邦画の家族映画がミッドナイトスワンとすれば、洋画ではこっち。2年前に監督の作品をくさしたけど、
https://magiclazy.diarynote.jp/201811262231476236/
今回は良かったねー!誰一人決定的な悪人は居ないのに、歯車が最悪の噛み合い方をして破滅へと転がり落ちていく。プレイリストから逆算して作った脚本なので当然とはいえ、その悲哀に満ちた物語に音楽がマッチすることといったら。全てかなぐり捨て、夜に飛び込むシーンでかかる歌詞が" I am a God."なのが、もう…。
 まあ、前半部の完璧さを思えば第二部が駄作という声も分かる。でも、「家族の崩壊と再生」がシュルツ監督の作家性なので…許せ!


・劇場版 スパイの妻
 映像派黒澤監督とは思えないほど、脚本がしっかりしてる。トップにクレジットされている濱口監督の手腕なのかな、伏線演出の貼り方が非常に巧み。
 たださ、物語が転調する45分あたりまでが、正直退屈。2時間ドラマの編集版だから仕方がないとはいえ、画面が安っぽいのよなー。黒澤監督ってストーリーバランスが歪であっても、パキッした画面、幻想的な演出と映像の力だけで観客を持っていく作家じゃん。金取って劇場公開するんだから、もうちょっと、序盤に見せ場が欲しかった。


・TENET
 インターステラー、ダンケルクと文句なしの傑作続きだっただけに、久しぶりに晦渋ノーラン映画来たなあ!と嬉しくなる一作。理に落ちる部分は良く出来た映画として、不可解なところは深読み考察の手段として楽しめるほど映像の力がある。まさにカルト映画的な監督やね。



 長くなったので、残りは元旦に。
前回の続きです。

⑤ターザン
棚:旧作(海外アニメ・ディズニー)
粗筋:野生児、野蛮と文明の狭間で

 疎外感→身体的成長→異文化との接触→葛藤→過ち→罪の自覚と克服→真のアイデンティティーの獲得、と神話的な物語構造を辿る。それをたったの90分で、アクションの中で描き切る。ここ2,3年のディズニーピクサー映画は詰まらん枝葉末節を増やして2時間映画にしてるけど、昔の自作品を見返して欲しいね。

 …けどまあ、サイドキックは皆どこかで見たようなキャラばかりだし、ヴィランにも魅力が足りない。ディズニー映画的な強度(中毒性?)は類似作の「ライオンキング」にどうしても及ばないから、影は薄い。何度も観返す映画じゃないけど、一度目の満足感は保証するよ。


⑥シェアハウスウィズヴァンパイア
棚:旧作・ホラー
粗筋:吸血鬼は辛いよ

 監督はニュージーランドの誇る俊英、タイカ・ワイティティ。「ソー:バトルロイヤル」「ジョジョラビット」、それに「マンダロリアン」にも関わってる通り、ジャンル映画の枠組みの中でのネタの選別眼、ディティールのふくらまし方がとにかく上手い。流石コメディアン。
 
 吸血鬼ジャンルでの評論は沢山あるので、ここではPOV(一人称視点)から面白さを説明します。
過去日記にも書いたんですけど、
https://magiclazy.diarynote.jp/201612171220536677/
https://magiclazy.diarynote.jp/201905261938192394/
POVジャンルには「何故撮るのか(撮り続けるのか)」問題があります。そこが不自然だと、「パラノーマルアクティビティ」のように、不自然さが拭えないものになる。
 なので、POV映画はその弱点を「撮り手のキャラ性を増す」ことで解消しようとする。白石監督の諸作品のように、「何が何でもスクープ撮るぜ!」って感じにね。
 ところが本作、その逆を行くんですよ。冒頭テロップで「撮影クルーはお守りを付けており、万全の態勢で臨んでいる」と説明され、劇中でも散々「吸血鬼は数々の弱点を克服できない」ことが示される。撮り手が透明化するワケですよ。
 吸血鬼が心を許す唯一の人間が、怪物舞踏会に招かれるシーンも面白い。人間が紛れ込んでいることが発覚し、吸血鬼と怪物の間で悶着が起き始める。観客は当然、「いや、撮影クルーも人間だろ…?」と疑問を抱き始める。すると、ちょうどそのころになって「おい、ここにも人間居るぞ!」「しかもカメラ持ってる!」というギャグシーンが入る。POV・撮り手というジャンルの弱みを、ユーモアという強みに昇華してるんですよ。吸血鬼・コメディ・POVと全ての要素に必然性がある。

 とはいえ、かなりコアファン向けな作品なのも否めません。POVホラー初心者は…取り合えず「REC」か「グレイブエンカウンターズ」がお勧めかな。



⑦ワンス・アポンア・タイム・イン・ザ・ウェスト(ウェスタン)
棚:旧作・ドラマ(若しくは「映画通100人の選ぶ本当に面白い映画」コーナー」)
粗筋:銃と無法、その時代の終わり

 西部劇の巨匠、セルジオ・レオーネ監督の「ワンスアポンアタイム」3部作の一作。土地利権を巡り、元娼婦の寡婦、流れ者、山賊、鉄道王、殺し屋の面々が織りなす重厚なドラマが展開する。
 セルジオ・レオーネの得意とする外連味溢れるショット、ブロンソン、フォンダらの哀愁と凄みのある演技、モリコーネのとにかく泣かせる名盤…。2時間40分、ゆったりした映画なのに飽きが来ることがない。

 作品の描く「開拓時代が終わり、資本主義の時代が始まる」って構図は、そのままこの映画を巡る環境「西部劇時代の終わり、大作娯楽時代の復権」にも当てはまる。過ぎ去るものへの哀惜をここまで出せる西部劇は、もう現代では作れんのだよなあ…。



 年末進行で明日も更新します。
 コロナ禍で映画館に行く回数が激減(当社比)し、PC上で映画を観る時間が増えました。第一波から年末までの9か月間に数十本観たので、その中でとりわけ印象に残った作品を紹介していきます。
 ぼかぁ陰キャこじらせ系オタクなので、人間性の近しい方だけ画面スクロールどうぞ。



①カンフーパンダ
棚:旧作・海外アニメ(ドリームワークス)
粗筋:食いしん坊パンダが強みを活かしてカンフーマスターに

 神。神アニメ。
 宿命や因果関係、熟達や人間的成長をアクションシーンの中だけで見事に描き切る。ムゲンレッシャノサクガガーとか言ってる鬼滅キッズはこれ見て?これこそ優れた「アクション映画」やぞ???
 今作の独自性を挙げるなら、ラストバトルの多幸感かな。前哨戦が稲光と豪雨のただ中だったところから一転、陽光燦々と降り注ぐ下でのハイスピードバトルが展開される。閉塞と解放の対比、映画序盤のへっぽこぶりを全て回収していく伏線の周到さ。これぞ映画の楽しさ。


②サマーオブ84
棚:準新作(ホラー系統)
粗筋:「殺人鬼だって誰かの隣人だ。」
 前にも紹介したので読んでみてね。
https://magiclazy.diarynote.jp/202007251630441491/


③ブラッククリスマス
棚:準新作(ホラー系統)
粗筋:ヤリチンをやり込めたらブチギレて殺りに来た

 この前評した「ザ・ハント」
https://magiclazy.diarynote.jp/202011100043418635/
と同じく、ブラムハウス制作の風刺ホラー。どちらにも通底しているのが、「保守派の時代遅れは前提としながらも、リベラル側の狭量さもしっかりとらえている」ところ。
 そりゃ、男性優位主義は論外ですよ?でも、差別主義者を人生破滅させるほど糾弾したり、それをやんわり静止しようとする穏健派に「お前も屑か!」とレッテル貼りして噛みつくのも、間違いなく異常。人種・性差・性的マイノリティーに関わるポリコレヒステリーと、「弱者側は絶対的に正しい」という(非常に意地の悪い言い方ですが)被害者しぐさの流行。BLM暴動に感じた気持ち悪さを代弁してくれるような一作。
 あ、もちろんクソ男は全員ぶっ殺し返すエンドなので、そこはご安心を(ネタバレ)。

 …とはいえ、不満もあって。「正体不明の殺人鬼」ならまだしも、真相が明かされて以降は、男が女を殺す理由が却って分からなくなる。「無敵の男根パワーで世界を支配するのだ!」…いや、だからって手当たり次第女性殺し尽くしたら、男も生まれて来なくなるのでは?少数の女性を家畜化するとか、男同士で生殖が可能になるだとか、トンデモで良いから理屈つけてよ?
 社会風刺は良いのに、ジャンル的な完成度がイマイチなのはやっぱりブラムハウス映画。もはや愛嬌か?


④EXIT
棚:準新作(韓国映画)
粗筋:上へ上へと毒ガスから逃げきれ!
「数ブロック区画に広がる割に、それ以後は拡散しない即死毒ガス」「一定時間だけ使える防毒マスク+防護服」という圧倒的に都合の良いゲーム的設定を許せるかどうか。許せた僕はめちゃくちゃ楽しめました。

 その場の空間+周囲の小物を活かした「ありあわせアクション」、タイムリミットサスペンス、人生再帰もの、とジャンルミックスをしながらハイスピードに物語が進む。
 アクションはどれもスリルとユーモアに満ちていて楽しいんだけど、白眉はやっぱり「ジップライン」の場面だね。ビル群の間を抜けていきたいが、普通に行ったら時間切れ。しかし名もなき市民達の助けによって、すっ…と一本筋の活路が浮かび上がって来る…。多分これ、「アメイジングスパイダーマン1」のオマージュなんだけど、
https://www.youtube.com/watch?v=o_JzihiWvlQ&ab_channel=REDLionMovieShorts
ドローンとソーシャルメディアを活用した、まさに現代ならではのアクション。「いくら運搬用ドローンでも、数十メートル分のロープ過重は耐えなくね?」なんて気にするな!!

 この映画への批判点として、序盤のもたつきを指定する声もある。でも、韓国と同じく儒教的家父長文化の沁みついた日本人だからこそ、共感できると思うんですよね。親戚間にある「序列感覚」を延々見せられるからこそ、ダメ男が危機を通じて自己の尊厳を取り戻す姿に感動出来る。





 次回に続きます。
FGO クリスマスボックスガチャイベ 雑感
〇開催日時:12/16~1/6~12/30
 何で?(殺意)
 いつの間にかサイレント変更されていた開催日時。今年は初詣でも正月旅行も親戚周りも(常識のある人は)無いから、年始までボックスガチャやるのは良い筈なんだけどね。
 でも元旦は懐が緩む+みんな暇でソシャゲの書入れ時だから、新イベやらざるを得ないんだろうね。

〇ブラックプレゼント
 当たりが20箱まで増えた。石・結晶・レアプリ・呼符がもらえるのは普通に嬉しい。

〇周回
 5月に配布された玉藻、周年バラマキで実質配布のキャストリアを合わせ礼装5で陳宮3T周回。最高難易度変則周回はラムダWキャストリアでオダチェン不要の3T周回が可能らしいけど、持ってないので諦め。富豪じゃないので星4までは追えんのや…。

〇周回礼装
 前回のガッツ礼装よりは4億倍マシだけど、そろそろボックスガチャ礼装はartsアップにして♡(全ユーザの願い)。1年前もquick礼装やんけ!

〇超高難易度
 ゴリオンキャストリアキャストリア、1T令呪→宝具からひたすらチェインして3Tクリア。正直HPはあと3倍くらい欲しかった。


〇FGO一年振り返り
・キャストリア
 これに尽きる。周回の自由度が上がると共に超高難易度も激変させた。バサシ復刻が終わった直後に実装する意地の悪さは許さないよ(怒り

・復刻祭り
 コロナ禍ゆえ致し方なし…。とはいえ、サイゲゲーは普通のペースで新規イベントぼこじゃか開催してるんだよなあ…。FGOの5~7月、9~11月あたりの虚無感は尋常ではなかった。

・星4選択チケットなし
 何で?(殺意)

・ジュナオ、Sイシュタル復刻なし
 何で?(殺意)
 周回ゲーなのに万能周回鯖を復刻しないなんてダメだよなあ!?元旦はジュナオPUガチャにして?(なお星4アベンジャー実装のもよう
ヒストリックBO1 その4
〇パラドックス装置
 こんな感じのリストからスタートして
https://mtgdecks.net/Historic/simic-paradox-engine-decklist-by-masahito-masuda-1074934/visual
BO1用にチューン。BO1・BO3の違いは勿論承知してるけど、元リストってコンボデッキとしての完成度低すぎない?無限がパラドックス装置+加速2枚以上+宝球+召喚酔いのとけたエムリーでしか完成しないという欠陥仕様。ウーロもタミヨウもコンボに全く寄与しないし、エムリーなしでは決まらないからコンボの強みである「盤面完全に終わってるけどトップ解決で無限開始」って事態にもならない。デッキが檻に二重に弱いのもダサ過ぎる。

 で、BO1独自のカードとしては願いのフェイ。これはエムリーに頼らない無限パーツ。成就によるウィッシュから
①バラルのうまわざ→フェイバウンスして成就
②タミヨウ→うまわざ回収して上記動き
③逆説(フェイ・タミヨウ+@バウンス)
④天球儀設置で無限マナ無限ドロー
⑤増やした手札でフェイ起動コストを賄い、無限ダメージor無限ライブラリーアウトで勝利
という動き。算数さえできれば全自動ルート。


…という訳で30戦くらい回したんですが、使うメリットねえな!除去、檻はケア可能なものの大幅な速度減退になるし、何よりBO1流行りのカーンで即詰み。パラドックス装置へのアクセスは実質11枚で流石に高いものの、コンボ速度も遅い。これなら檻・波乱の悪魔ケア出来るチャンドラ4積みゴブリンの方が、ずっと上等なコンボかなあ…。チェインコンボ好きの方にだけお勧めのクソデッキでした。
ヒストリックBO1 その3
ヒストリックBO1 その3
ヒストリックBO1 その3
〇見捨てられた碑
 既存リストは2マナ加速8、4マナ以上26で論外だったので、2マナ加速16。無色土地19でも緑マナ源は一応14用意出来てる。
 ただ、碑自体がそんな強くないのよね。5Tウギンは別に碑じゃなくても出来る。おまけに無色生物+2/+2が全く活きない。スタンの方が却って強い有様。マイアバトルスフィア―みたいなカードがあれば、加速+アンセムの両方が使えるのだが。

〇緑単ランプ
 5Tウギンorウラモグはニッサでも出来るやん!デッキ。特に言うことはない。

〇シミックランプ
 同上。らせんは強いけどウーロは微妙だった。ウーロはやっぱり囲い+プッシュ+寓話の小道デッキでこそ輝くカードだね。





ヒストリックBO1 その2
〇断念デッキ

・青白オーラ
 フラッドスクリューはmtgの常。パーツが引けないのもコンボの宿痾としよう。それでも均等2色のチェインコンボゆえ色事故さえ発生するのは流石にクソだわ。そらスラム追加されても誰も使わん。

・(ゴブリン以外の)ギフトデッキ
 ギフト引けない時にゴミ。青白復元は一応ギフトへのアクセスがあるけど、6/6天使戻しても別にゲーム直ぐに勝てねえしなあ…。ヒストリック絶賛横行中の檻にクソ弱いし、使うメリットがない。

・霊気池
 スタンレベル。蓄霊、つむじ風は「ミッドレンジプランも取れる」良カードだったけど、流石に下環境では辛い。その癖パーツゆえに採用不可避というね…。ウギンウラモグ使いたいだけなら別のデッキで良いわ。


〇試したデッキ
・ビッグレッド
 カーンチャンドラ制圧デッキ。3マナ全除去で流してカーン→檻で後続も止められるので流石にゴブリン含めアグロにはバカ強い。半面、無駄牌ばかりになるコントロールには弱い。 
 デッキ相性の極端さもあるけど、気になるのは2マナアクションの弱さかね。折角4マナPW2種あるのに加速が2種しかなく、精神惑わせの秘本を積まざるを得ない。山20積むメリットもないし探検タッチしたいが、流石に狂気の沙汰か…。
ヒストリック BO1
ヒストリック BO1
ヒストリック BO1
 スタン1ミリもやらない代わりに、ヒストリック結構やってました。

〇バーン
 一番勝率の良いデッキ。ボーマットの強さに気づけるかどうか。鎖回しが環境から消滅してるからアド損することないのよね。
 相性で言えばグルール以外の全てのアグロに有利、カウンター積んだデッキにも有利、単除去全除去両方積んだデッキに激不利、といったところ。
 損魂積んでた頃はジェガンサをキャストすることなど夢のまた夢だったが、ボーマット4で土地を伸ばせるようになってからは5/5バニラハードキャストが可能になった。つーか損魂弱すぎない?(絢爛との相性の悪さゆえ)。


〇ウモーリゴブリン
 マクサス着地ターンを早める手段として、妙技・チャンドラ・角笛などがある。妙技はマナの使い道無さ過ぎてマジ論外(まだ紋章旗の方がずっと強い)、チャンドラ・角笛は非ゴブリンカウントなのでちょっと微妙。
 ということでウモーリ。3Tサーチ、4Tキャストから5Tマクサスに繋げられる。混成カウントは17あり、チェックランドは4枚だけなのでタップイン地獄で死ぬこともない。加速としては強くないけど、外部リソースだし4/5バニラがコントロール相手に丁度いい。


〇ゲートゴブリン
 マクサスを4Tに投げようデッキ。探鉱者(マトロンでサーチも出来る)でゲートを高速回転させられ、詮索ゴブリンと組み合わせればトップを調整し続けられる。
 メイン上等墓堀りの檻に2重に弱いので、戦長ではなく損壊名手。戦長が減ったが、マクサスへの速攻付与はギフトで補う。





 ネタがそこそこあるので何回か続きます。
 
アニメ呪術廻戦 雑感
 10話まで進んだのでまとめ。

〇長所
・戦闘作画が良い
 まあ先ずはこれだよね。ヌルヌル作画(デジタルの時代になったので死語か?)ってだけじゃなく、手足を活かした殺陣、上体下肢のしなり・体重移動、カメラワークと総合的なクオリティが高い。視聴継続させるために1話(~3話)の作画が良いっていうのが通例のところ、呪術廻戦は全話(例外は6話だけ?)でそういう戦闘が展開される。
 流石「ユーリ on ICE!」やリメイク版「どろろ」のMAPPAスタジオだなあ…と思ったら、MAPPAって元々片渕監督が『この世界の片隅に』を制作するために立ち上げたスタジオなのね。そりゃ神作画も納得。

・アニオリ小ネタ
 格闘の細かい所作・繋ぎ、無為転変で異形化された人の伏線などなど、小さな気配りが見えて大変良い!

・Cパートに力入ってる
 単眼猫先生監修の「じゅじゅさんぽ」がそれなりのボリュームで入っていて、何だかんだ非戦闘回でも最後まで観れる。


〇短所
・戦闘中の「間」の力が抜けすぎ
 映画鬼滅酷評の時にも書いたけど、どうしてこうも原作台詞をト書きに書き起こしたがるのかなあ…。もっとファンシー&ファンタジーなジャンルでは気にならんけど、とりわけ「一瞬でも気を抜いたら即死する」ってシリアスバトルで、ダラダラ会話するの止めない?せめてカメラをゆっくりパンするとか、じりじりあとずさりするとか、何らか「戦闘が継続している中での発話」って演出にしてくれや。

・呪霊が怖くない
 呪術廻戦に限らず、退魔系アニメに共通して言えることだけど、「序盤の雑魚敵は怖いのに、高位のボスキャラほど恐怖感薄れる」ってことない?
 第5話で特級呪霊4人がファミレス行くシーンはほんと失笑。べたーっとした配色、千葉ちゃんの過剰演技、てくてく上下動する歩き方…。どうにも実在感があり過ぎるのよね。歩く影を歪にするとか、カメラ(ガラス)に映らないとか、夏油に出されたお冷があっという間に沸騰するとか、映像的な小ネタで「こいつはヤバい」って見せて欲しかった。
 その点、真人が暗躍を始める9話以降は良い感じです。



 粗がないとは言わないけど、熱意、強み、アニメの独自性が感じられ大変に好印象。2クール最後まで観るし、0巻が映画化したら間違いなく観に行く。
 
海内無双のクソ映画!『ドクターデスの遺産 BLACK FILE』をこき下ろす
粗筋 「悪いお医者さんに父さんが殺された。」子供の通報に不審なものを感じた警視庁捜査一課の最強コンビ、犬養と高千穂らは葬儀場に向かう。ご遺体を一時預かり司法解剖に回したところ、体内からは多量の塩化カリウム反応が。
 少年の母親を取り調べたところ、「尊厳死を請け負う闇医者、ドクターデスに依頼した」と証言する。ドクターデスのサイトを調べる捜査一課…そこで判明したのはドクターデスは何件もの依頼をこなしていたこと。事件は氷山のほんの一角に過ぎなかった…。



①作品概要と前置き
 原作『ドクターデスの遺産』は中山七里の『刑事犬養隼人』シリーズの第4作目。ドラマ化もされた人気シリーズが、今回遂に映画化されました。
 私個人は原作未読で、ネタバレサイトで粗筋をかじった程度…なんですが評を始めていきます。弊ブログの映画評スタンスとして「映画は単体として価値を持つべきだ」ってのは繰り返し言ってますしね。…というのは建前、このクソ映画にこれ以上金落としたくなかったからっす!原作が高瀬舟級の名作だとしたらごめんね!これから貶すよ!
 大きく分けて「リアリティなさ過ぎ」「伏線下手過ぎ=ご都合主義」の2点を時系列を追いつつ突っ込んで行きます。


②ウィザード級スーパーハカー(笑)
 ドクターデスは自サイトを運営し、その掲示板で依頼された嘱託殺人を請け負っています。………え、頭大丈夫!!?? 
「デスノート」みたく、報道や有志の投稿を犯人が自分の匿名性を保ったまま利用するとか、昨年の映画「見えない目撃者」みたく、SNS時代にあってアナログゆえ却って捜査し辛い口コミ伝達じゃないんですよ。「嘱託殺人俺んところ来ィ!」って堂々宣言したサイトを運営し続けてる。こんなトンチキ野郎を国家権力が摘発出来ないってありえますかね????

 一応原作では、「海外のサーバを複数経由しリアルタイムでログが改ざんされるから追跡不可能」という理屈が付くとのこと(これはこれで、「たかが一市民が警察を凌ぐハカー(笑)ってありうるの?」って疑問が湧きますが)。なら、映画でもワンロジック入れようよ!何でサイト経由の捜査ではなく「遺族を当たって行け!」と論理が飛躍すんの??・


③似顔絵捜査
 捜査一課は掲示板のコメントから被害者(尊厳死依頼)家族を5件割り出し、取り調べを開始。そこで証言からモンタージュを作成していくのだが…。はい、ツッコミポイント来たよ!依頼と連絡の経緯を辿るのが先だよね?
 現実の事件を引き合いに出すのは不謹慎ですが、今年、とある嘱託殺人の報道がありましたよね。あの事件では患者と医師がSNS上でやり取りをし、具体的な内容を詰める段階では一定時間が経過するとログが消えるアプリを使って証拠隠滅をしたと聞いています。
 ならさ、ドクターデスと顧客はどうやり取りしたのさ?顧客はオープンな掲示板に住所氏名電話番号素性いきなり書いちゃう系の人?で、ドクターデスもある日突然「こんちゃーす」って自宅訪問すんの?そんなわけないじゃん。時系列順に足取りがつかめたら、聞き込みをしたり、直近の監視カメラの映像追えるでしょ?車移動なら車種やナンバー、電車移動なら生活圏を把捉できるじゃん?
 なのに何であやふやな記憶頼り、おまけに似顔絵係の先入観にも左右されるモンタージュ手法に辿り着くわけ?最終的にこれになったなら分かるよ、でも少なくとも「他はダメでモンタージュしかない」ってロジックの道筋付けてよ?警察そこまでバカじゃないよ!!


④共犯
 似顔絵捜査は、遺族らがドクターデスを庇うため嘘を付きバラバラのモンタージュ像となったため頓挫した。そのため捜査一課は患者が死の間際に遺したビデオメッセージを分析し、医師の隣にいる看護師の顔を割り出した。捜査の結果、彼女は元看護師の雛森めぐみと判明。取り調べると、自分はネットの診療補助アルバイトに誘われただけだ、と言うのだが…。
 で、ここでまた疑問。共犯、要るか?荷物は麻酔と毒物のアンプル、注射器、撮影用のデジカメだけだから、一人で十分だよね?注射してる画を撮りたいなら居合わせる顧客に頼めばいいだけだし。安楽死という闇稼業の片棒を、パンピーに担がせるメリットなくね?…って普通思いますよね。

 案の定というべきか、雛森めぐみはパンピーじゃなかったんです。その後の捜査で元介護福祉士のホームレス、寺町という男が逮捕されるが、彼はドクターデスではなかった。白衣の初老男性とナースキャップの女性の2人連れなら、当然男が医者側だと思うが彼こそが補助役。主犯と従犯が実は逆という、見事なミスリードだったんですね…!………見事か、これ?
 雛森こそがドクターデス、良しとしよう。じゃあ今度は、何でコイツは寺町を雇ったの?捜査の攪乱のため?でもそれって、寺町経由で犯行が露見するリスクに見合うもんなの?この展開、原作からしてそうらしいのよね。中山七里って人は「どんでん返しの帝王」と評されている。でもさ、「読者、観客を驚かせるトリック」が、「犯人が悪事を成功・持続させるためのギミック」であることには繋がらないよね。
 禁句言って良いっすか?もしかして原作からしてポンコツミステリーなのでは…?


⑤調達
 別角度でのつっこみポイント挙げます。ドクターデスって、どうやって薬物と金の工面してるの?
 劇中、ドクターデスは麻酔剤のチオペンタール、致死性薬物の塩化カリウムで安楽死を請け負っていると言われる。えっと…それってコストコやホームセンターで買えんの?通販だとしても、危険物は職業・所属証明求められるよね?元看護士、元介護福祉士とはいえ、35人を安楽死させる量を労なく手に入れられるのかな?
 もう一つがお金。雛森は非正規、寺町はホームレスと明らかに経済的に不自由な生活をしている。それなのに、「完全無償」で安楽死稼業続けられるもんかな?原作では一応「一件20万をもらう」とあるから、非営利にせよ諸経費を賄える理由づけにはなる。一方映画版では薄給長時間激務の労働に就いているが、機材資材調達して下調べして寺町にバイト料払って、おまけに警察やマスコミをシャットアウト出来る驚異のサイトを運営出来るのかな?これファンタジー映画だっけ?

 こここそ、共犯の使いどころだったんじゃないですかね。「模倣犯」みたく、実行犯とパトロンの関係にすれば良い。発案実行は雛森が賄い、寺町が調達と金工面を担う。そうすれば「共犯の必然性」「調達経路」の条件を満たせるじゃないですか。ミステリーのフリしてゼロロジックなのは勘弁してくれ。


⑥後出しジャンケン
 一度は途絶えた似顔絵捜査で、寺町を割り出すところは正直悪くない。高千穂は元似顔絵係で「隠し事のある犯人は、証言の始めに嘘を付く」ことを知っていた。そのため、5枚バラバラのモンタージュを並べ、それぞれ証言の前半部分を除外。証言の後半部分を合成し、寺町の顔を浮かび上がらせていく。5枚の「嘘モンタージュ像」と完成品を見比べれば成程特徴が残っているし、視覚メディアたる映画ならではの表現でもある。たださ、この高千穂の設定が後出しなのよ。
 折角犬養・高千穂コンビが取り調べるシーンがあるのだから、そこで高千穂が相手のウソを見破るシーン入れればいいじゃん。その場では「刑事の(女の)勘です」と冗談めかしておいて、今度は真実を語れば「成程そういう理屈だったのか」と後から分かる。
 
 もう一つが、寺町の住居割り出しシーンね。被害者宅のドアマットに残された藻が決め手になったってあるんだけど…それ、何気ないシーンで先に出そっか。あるシーンでは犬養が無造作にマットを踏むシーンを入れ、足繁く被害者宅に通う内、遂には踏み出そうとした足を止めマットに屈みこむ。そしたら伏線になるじゃん!
 その癖、無駄なシーンが多すぎんだよ!冒頭でのクソダサい刑事ドラマ風OP、高千穂が飲み屋で突然「私のぼんじり~!」と絶叫するコミカルシーン、無駄に人数が多い上に過剰な演技が粗目立ちする捜査一課のメンツたち…。冗長なシーンを入れても良いけど、先ずはミステリーとして成立させて♡


⑦評価点:改変その1
 それでも、評価できる部分はあるんですよ。それが(レビュー観る感じ原作ファンは発狂していますが)原作から改変したところ。「物語後半」「作品テーマ」の2点を挙げていきます。
 先ずは物語後半の展開。原作では、雛森=ドクターデスは「人道的理由」から尊厳死連続殺人を続けていたことが明らかになります。雛森というキャラ設定は、ぶっちゃけ「ブラックジャック」のドクターキリコのパクリです。彼女は戦場で、致命傷を負い痛苦に悶える患者を多く見ます。そんな彼らに先輩医師は慈悲として安楽死を施し、患者は死の瞬間に感謝の言葉を述べる。そこから彼女は「生きる権利と共に、死ぬ権利が人にはある」と気づき、帰国後に同じ稼業を始めた。刑事犬養は職業人としては反発しつつも、腎不全の娘を持つ身としてどうしても共感してしまい、遂には(止むを得ない状況下ながら)安楽死を見逃す選択をしてしまう。こっちは「オリエント急行殺人事件」のポアロのパクリですね。人として間違っていると分かっているのに、俺は加担してしまった…と忸怩たる思いを残して物語が終わる。その後悔こそがタイトルにある「ドクターデスの『遺産』」なんです。

 それでは映画はどうか。雛森を追う犬養に対し、雛森の側が犬養の娘に医者のフリをして病院にて接触。「あなたはお父さんの負担なの。それにドナー提供を待つのは誰かの死を願うこと。あなた、そうまでして生きたいの?」と精神攻撃を仕掛け、自分からドクターデスのサイトに書き込むよう仕向けます。
 これ、多分デビット・フィンチャー監督の『Se7en』のオマージュなんですわ。猟奇殺人鬼を追う刑事が、実は殺人鬼から執着を持たれ追い詰められる…このプロットしかり、刑事本人ではなく最愛の者を死に追い詰め心を削る展開しかり。優しげにしかし淡々と言葉責めにする演技もそっくりですよ。
 先に上げた「見えない目撃者」が『羊たちの沈黙』のコッテコテのオマージュシーンを入れてたように、最近のサスペンス邦画はこういう路線が流行りなんですかね?あざといながらも映画小ネタ入れられると…キモオタとしては弱いっす(自分語り)。


⑧改変その2:作品テーマ
 原作ラストの紹介から分かる通り、小説版は尊厳死、生きる意味を問う非常に重たい雰囲気の作品らしいです。一方、映画では雛森をサイコパスキャラに振り切っている。おまけに、とあるシーンで「(遺族・患者当人も納得づくなのだから)この事件に被害者って居るんですかね…」と自問する高千穂に対し、犬養は「俺たちは犯罪者にワッパかけるのが仕事だ」と非常に割り切った返答をしている。正反対の思想なんですね。

 でも、個人的にこの方向性は映画的に正しいと思います。理由は「大作社会派(笑)ミステリーの悪癖」「時勢を鑑みて」の2点。
 先ず一つ目、社会派(笑)ミステリー映画について。具体的に言えば東野〇〇原作映画ですね。個人の妄言なので真に受けないで欲しいんですけど、「〇〇の眠る家」とか「〇える刃」とか「容疑者〇の献身」とか、あの辺りの映画って人物描写がやたらウェットでドラマ部分が鈍重なうえ、(映画内においては)テーマの扱いが実は浅はかで。とにかく退屈なんですよ(個人の感想です)。
 一方、今作は「尊厳死テーマ」は早々に片隅に追いやられ、サイコパス殺人鬼を刑事が追うバディムービーに舵を振り切っている。ライトなエンタメ路線で差別化を図っているのは、僕は評価したいです。

 もう一つが、実例として挙げたあの事件ですね。現実に嘱託事件がつい最近起きたのに、「刑事が安楽死を見て見ぬふりをする」映画って出せないですよね。ここから僕の想像なんですが、この映画って実は完成直前まで原作通りだったんじゃないのかな…?それがあの報道を受け、急遽路線変更。急ピッチで後半部分を撮り直したから、こんな出来の映画になった…とか。


⑨結びに
 原作ファン発狂の改変パートを、僕は支持します。映画をエンタメとして成立させるために必要だったからね!でもさ、そうまでして、これほど詰まらない映画だっていうのは…深川監督がとんでもなく下手クソだってことだよね。フィルムグラフィー見る感じ、おセンチな映画は得意みたい。でも、ミステリーはもう止めた方が良いんじゃねーかな。







 貶し貶して5千字評でした。今年も色々酷評してきたけど、コイツァ格が違ェわ!韓国が「暗数殺人」を出してる隣で、大作社会派邦画がこれとか「AI崩壊」なんだからどうしようもねえな!
「闇を愛する皆様。」
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334790998
「闇のなかで強く燦めく「想像の力」を信じる皆様。
怪奇と恐怖、幻想と驚異、人外の唯美……。言葉の力で現実を超えようとする小説の作者と読者の皆々様。
そして、なによりも……異形の短篇小説を愛してくださる皆様。お待たせいたしました。四十九冊目の《異形コレクション》をお届けします。」



 おっぼぼぼぼぼぼぼぼ異形コレクション新刊出てたぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



 異形コレクションというのは、幻想怪奇テイストの書下ろしアンソロジーシリーズ(番外編には名品の収録あり)。最長アンソロタイトルとして、ギネスだか世界記録だかを保持し文学賞も受けている確かな企画です。
 いやーそれにしても、前回からほぼ10年ですか。傑作選『涙の招待席』だったり、現代ホラー小説の新鋭澤村先生との対談だったりで、ここ2年は異形の名をちょくちょく聞いてたとはいえ、まさかの復活。
 思えば、前回が震災後だったのでコロナ禍真っ最中に再開するのも意義深さを感じる。とはいえ、大災害と違って創作が不謹慎と弾圧される世相ではないし、インドア産業が活性化してる時勢でもあるので商売的にも正しいか。


 読むのが楽しみ過ぎるので、週末は百貨店の文具コーナーでブックカバー買おう。

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